kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「おじさまキラー」橋下徹は安倍晋三を口説き落とせるか

橋下徹大阪維新の会」が安倍晋三にモーションをかけた件だが、わからないことが多くある。

常識的に考えれば、母方の祖父と父親が自民党の大物政治家で、自らも自民党首班の総理大臣を務めた安倍晋三自民党を離党するのはあり得ないように思われる。

しかし、橋下が安倍にアタックしていると報じられた前日、超党派の国会議員と「維新」の勉強会に安倍の側近・西村康稔が参加していた件がどうにも引っかかるのである。


なお、ネットの反応を見ると、「もともと右翼思想には関心の薄そうな橋下が安倍にアタックするとは意外だ」との意見を結構見かけるが、古くから橋下に関心を持っている人間にとっては「橋下=強烈な極右イデオローグ」というのは常識だし、何より「教育基本条例」は安倍内閣最大の「成果」である「教育基本法改定」(改悪)の嫡子みたいなものだ。つい数か月前には、「こんなトンデモ学者が安倍内閣のブレーンとは」と批判された「親学」の高橋史朗大阪市のブレーンとして「家庭教育支援条例」を制定しようとして失敗した件があったばかりだ。橋下が安倍にアタックをかけたことはごく当然の行動だったと私には思われる。

この件に関して、「橋下はどうでも良いと考えていたが、大阪府知事松井一郎らに押し切られた」という一部の推測は完全に誤っている。「大阪維新の会」は橋下徹が独裁しているのであって、すべての決定は橋下の意思に基づくと考えなければならない。だって、橋下が応援してなかったり、「大阪維新の会」の幹部でなかったりしたら、誰が松井一郎なんかを大阪府知事に選ぶというのか。松井は橋下には頭が上がらないのである。

安倍晋三にアタックをかけたのは、橋下徹の強い意向によると考えなければならない。どうしてもわからないのは、果たして橋下に成算はあるのかということだ。

また、自民党における安倍晋三の位置づけもはっきりとはわからない。冷や飯を食わされていることは確実だが、谷垣禎一安倍晋三をどう位置づけているのか。「維新」に行かれては困ると思っているのか、それとも、出て行ってくれた方がかえって好都合(たとえば、自らの総裁の地位が脅かされずに済むから)なのか。それによっても「安倍晋三の選択」は変わってくる。一つだけいえるのは、民自公か自公民かわからないが、いわゆる「大連立」が成立してしまえば、民主・自民両党の政治家にとっては安倍晋三は「要らない政治家」になるであろうことだ。

だから、「安倍晋三自民党を離れるはずがない」という確信は私には持てない。谷垣の次は石破茂石原伸晃の争いになるであろう自民党において、「保守傍流」の清和会が再び勢力を盛り返すことに期待するのか、橋下徹に「担ぐ御輿は軽くてパーが良い」とばかりおだて上げられて「維新」で総理大臣カムバックを目指すのか。これは、世間一般に思われているほど「自民党残留の方がはるかにメリットが大きい」選択ではない。

思い出されるのは、1994年の首班指名争いに、誰も予想しなかった海部俊樹が当時新進党小沢一郎におだて上げられたあげく、自民党を離党して立候補したことだ。この時は、これまた誰も予想しなかった自社さ連合が担いだ社会党村山富市に敗れた。

間違いないのは、橋下が大きな賭けに出ていることだ。1959年山口県生まれの飯田哲也口説き落とした「おじさまキラー」橋下が、1954年東京生まれ、山口4区の安倍晋三をも口説き落とすことはできるだろうか。


それにしても見苦しいのは「小沢信者」だ。橋下に、「体制を変革したいのなら安倍晋三なんかじゃなく小沢一郎と組め」などと橋下に秋波を送っている。安倍晋三とて「右からの革新」を狙っていて、小沢一郎となんぼも違わない。それに「維新」なら山口県が本家本元だ。いっそのこと、安倍晋三橋下徹小沢一郎三者が「維新大連合」を組んではどうかと思う今日この頃である。