kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

孫崎享『戦後史の正体』の最大の問題点は、恣意的な「反米」「従米」の二分法と、「A級戦犯容疑者」岸信介に対する異様な高評価だ

「鍋ブログ」に掲載したshnさんの記事とは異なり、私はもちろん孫崎享の『戦後史の正体』に対してきわめてネガティブな評価を下している。


孫崎享のトンデモ本第2弾『アメリカに潰された政治家たち』を産経新聞読書欄で『週刊ポスト』編集者が激賞(爆) - kojitakenの日記 のコメント欄より*1

id:hitokotoiitai 2012/10/03 01:40
そうはいっても、アメリカが原発を継続しろと言ったとたんに閣議決定の内容がコロっと変わってしまうのがこの国の政治の現実なわけで。
しかも、その経緯が堂々とマスコミ報道されているのだから、陰謀でも何でもない。


この有様は、野田政権で初めて始まったことではないでしょう。
これまでも多かれ少なかれ同じことが行われていたのでは。
アメリカのコラムニストがルーピーという言葉を使ったとたんに日本のマスコミがそろってそれを口真似する。
こういうのって単なる偶然なんでしょうか。


hitokotoiitaiさんに対する私の反論*2

あなたのコメントの論旨と私の記事の関係が理解できません。

私は、

  1. 「政治家を『自主派』と『対米従属派』の2つに分類する」粗雑な二分法は誤りである。どんな保守政治家であっても、日本の(いわゆる)国益を主張する面と、アメリカの圧力に屈する面の二面がある。何もかもがアメリカの陰謀であるという孫崎流の「陰謀史観」は誤りである。
  2. 従来類書によって「対米従属派」とされてきた岸信介の位置づけを「自主独立派」と改めさせるところに孫崎本の大きな特徴があるが、それは誤りである。(さらに言えば、リベラル・左派を辞任する人間であれば、A級戦犯容疑者でありながらアメリカの逆コース政策によって戦後わずか12年で総理大臣になった岸信介に対して批判的視座を持つのは当然だが、孫崎はそれをひっくり返そうとしている。岸信介には確かに「自主独立」の意図はあったが、それは核武装を含む軍備増強を目指すものであった。)

という2点を論点の柱にしています。
日本の政治がアメリカに左右されていない、などと私は書いていません。

きちんと私の論点に沿った反論をしてください。というより、記事をよく読んでください。私が書いてもいないことを誤読して、あさっての方向を向いた見当違いの反論はしないでください。

どうぞよろしくお願いします。


hitokotoiitaiさんのコメントを読んでいて思ったのだが、「陰謀史観」を否定すると、あたかも「日本の政治がアメリカの圧力によって左右される」ことまで否定したかのように受け取る読者が多いのかもしれない。
それは、孫崎亨著「戦後史の正体」への朝日書評の不可解 | 郷原信郎が斬る を読んでも思った。この郷原信郎の批評は、氏の筆になるとは信じられない粗雑なものであって全く評価できないが、「陰謀史観」批判者は誰も「日本の政治がアメリカの圧力に左右されることはない」などとは書いていない。政治家を「抗米の愛国政治家」と「従米・属米の売国政治家」に分類する粗雑な二分論と、岸信介佐藤栄作田中角栄鳩山由紀夫小沢一郎といった孫崎享が肩入れする政治家、なかんずくA級戦犯容疑者の岸信介に対する異様な高評価を問題視しているものだ。

特に個人的には、孫崎の岸に対する高評価を私が批判していることに対する反論がいまだに1件も寄せられていないことについて、孫崎への同調者に対する不信感を強めていることを強調したい。