kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

辛坊治郎の恩を仇で返す自民党、「自己責任論」で辛坊を追及(呆)

辛坊治郎の海難事故救援の件だが、辛坊自身が宣伝して広めた「自己責任論」の論法で非難されているのは「因果応報」としか言いようがない*1。しかし、辛坊の「自己責任」プロパガンダの最大の受益者である自民党までもが、まるで「恩を仇で返す」かのような「辛坊叩き」をやっているらしいと知って呆れてしまった。


http://www.jiji.com/jc/zc?k=201306/2013062500667&g=pol

辛坊さんに批判相次ぐ=自民部会


 太平洋横断中に遭難したニュースキャスターの辛坊治郎さんら2人が海上自衛隊に救助されたことに関し、25日の自民党国防部会で、辛坊さんの行動を批判する意見が相次いだ。中山泰秀部会長は「東日本大震災(の津波)で流し出された人を救出するなら納税者も納得すると思うが、本当に深謀遠慮に足りる計画があったのか」と無謀さを指摘。辛坊さんを部会に呼んで事情を聴くことも検討する考えを示した。
 部会に出席した防衛省の黒江哲郎運用企画局長は、救出費用を当事者に請求しない根拠を問われ、「災害派遣自衛隊の任務であり、任務遂行のために認められた予算の範囲内で対応した」と説明した。

時事通信 2013/06/25-15:42)


辛坊治郎自民党国防部会に呼んで事情を聴こうとは、まるで「つるし上げ」みたいだなと思った。

ところで、今回の辛坊らの航海が無謀だったことはおそらく事実だろう。だが、この件は何も辛坊と岩本光弘氏の二人が独自に計画したものではない。3日前に書いた下記記事で示したように、辛坊らの航海には、辛坊がつい最近まで属していた読売テレビ(大阪)が大いに関係している。


今さっき知ったところだが、私が上記の記事を書いた同じ日、私の記事よりも早い時刻に、マーケティングコンサルタントの大西宏氏が下記記事を公開していた。


大西 宏のマーケティング・エッセンス : 辛坊さんたちは最初から無謀だったのではないか(2013年6月23日)

辛坊さんたちは最初から無謀だったのではないか


ヨットのことはよくわからないのですが、今回のブラインド・セーリングは、ちょっと危なっかしい試みではないかと感じていたら、その直感があたってしまいました。岩本光弘さん、辛坊治郎さんともに無事救助されよかったですが、ちょっと解せなかったのが、16日に小名浜港を出港し、はや19日の夜に時化に襲われ、21日朝には浸水がとまらず救助を要請したということです。ヨットに関しては知識がありませんが、それはヨットそのものに問題があったことを疑わせます。
それを裏付けるように、今は閉鎖されていてキャッシュでしか残っていない辛坊さんのブログに大阪から福島までの回航で問題が見つかっていたことが書かれています。

それにしても今回の大阪〜福島回航は、とても実りの多いものでした。まさに「荒天」に恵まれたために、完璧に整備したと皆が思い込んでいたエオラス号にいくつかの問題点が見つかったんです。まず一つは、船の舳先に突き出ている大きな棒、これをバウスプリットって言うんですが、この根元から少量の漏水が発見されました。エオラス号には既に太平洋横断用の資材をすべて積み込んでいたために相当喫水が下がっていて、台風の余波のうねりに舳先から突っ込んで派手に海水をすくい上げる局面が何回かあったんですが、この時バウスプリットの止水に不具合があって、水が漏れることが分かったんです。


試験の航行ですでに浸水の問題はでていたのです。

当初、この2日間で舳先をすべて解体して、充填剤を入れなおすことも計画されたんですが、様々なリスクを計算した結果、内側からの充填で対処することになりました。余程荒れた海でない限り漏水しませんし、エオラスの設備で簡単に排水できる程度のものですから、これで、まず大丈夫でしょう。


行ってきます! :ブラインドセーリング


ほんとうに対処として正しかったのかという点です。

浸水だけでなく、「オートパイロットという舵を電気的に操作するシステムの軸受けにガタつき」が見つかったというのです。その修理が適切だったのかはよくわかりませんが、辛坊さんはこう書かれています。

なんて書くと、なんだかとても深刻な話みたいですが、実はそうでもないんです。楽観はしてませんが、そんなに悲観もしていません。


どうだったのでしょうか。頭の片隅に24時間テレビの番組があったために判断を誤ったのではないかという疑問も湧いてきます。

1994年に史上最年少ヨット単独無寄港世界一周を達成し、また単独世界一周を三度経験している海洋冒険家白石康次郎さんのお話を航行中の映像をまじえて二度聞かせていただいたことがあるのですが、ヨットで航行していると、さまざまなトラブルが起こるもので、そのヨットそのものを熟知していて、それを修理できなければ遠洋への航海はできないという白石さんの言葉が記憶にあったからです。

白石康次郎さんは、水産高校を卒業してヨットづくりの師匠多田雄幸さんに弟子入りをされます。師匠の多田雄幸さんは、史上初の世界一周単独ヨットレースに、手作りのヨットで出場し、数々のトラブルがあっても、自力で修理しながら走りつづけ、見事優勝を果たした方です。
白石さんの航行中の映像のなかには、嵐のなかで、ヨットが転覆し、ひっくり返ってまた元に戻るといったシーンもありました。いわゆるノックダウン(横転)でしょうか。座礁したり、マストが折れてしまうこともあるそうです。

冒険家白石さんと比べると、甘かったのではないか、無謀だったのではないかと感じてしまうのです。無謀でも、運が良ければ成功することもあるのでしょうが、無謀にリスクにチャレンジして失敗するとそのつけは大きく、自己責任で対処できるレベルを超えてしまうことがあることを今回の遭難は物語っているように思います。

辛坊さんが、白石康次郎さんも含めたヨットの専門家の人たちとお会いになって、なにが問題だったのかを明らかにされていくことが、きっとヨットへの理解を生み出し、ブラインド・セーリングの普及や発展への貢献もできるのではないかと感じます。またきっと辛坊さんの社会に対する見方が変わった出来事になったのではないかと感じます。一皮むけた辛坊さんに期待したいと思います。

それにしても海上自衛隊の能力の高さを印象づけた救出劇でした。


大西氏は、「頭の片隅に24時間テレビの番組があったために判断を誤ったのではないか」と書いている。私は、辛坊らの航海が24時間テレビの企画であるとの噂の裏がとれなかったので、かつての『噂の真相』の「一行情報 - 未確認ネタや掲載に間に合わなかったネタを各ページ左側32文字で掲載」のスタイルをパクって、「救助された辛坊治郎の『冒険』は日テレ『24時間テレビ』の企画だったとの噂」というタイトル(字あまりだが)の記事にした。そのおかげで、

この件で2chソースで適当なことを書いているのは本当に残念です。
これでは上杉隆と同レベルです。

というお叱りを頂戴してしまったわけだが(笑)*2


24時間テレビ』の噂をめぐって、夕刊フジはこんな記事を書いている。

辛坊氏の余波にテレビ局“ヒヤヒヤ”? ネットではあの番組名も - 芸能 - ZAKZAK

辛坊氏の余波にテレビ局“ヒヤヒヤ”? ネットではあの番組名も


 小型ヨット「エオラス号」で太平洋横断中に遭難し、宮城県沖で救助されたニュースキャスターの辛坊治郎氏(57)。先週末に大阪府内の自宅に戻り、今週、パートナーで全盲のセーラー、岩本光弘さん(46)らと海上保安庁などへ出向き事情説明するという。

 しばらく“謹慎”するという辛坊氏だが、航海の様子を報告してきたブログ記事を削除したことに疑問の声が上がっている。

 削除されたブログのうち、14日の記述は、大阪から福島に向かっての航海中ヨットの先端部分の棒の根元から漏水していることが分かり、荒れた海でない限り漏水しないとして内部から充填剤を入れて対処することにした、という内容だった。

 解体しての修理には2日間かかるとも。

 梅雨さなかの天候が不安定な時期に、出港を急いだように見えたことから、ネットでは「日本テレビの『24時間テレビ』に合わせる計算だったのでは?」といぶかる声が上がっている。

 もともと米サンディエゴへのゴール予定は8月10日前後で、24時間テレビの放送予定(8月24〜25日)とはかなりずれている上、番組公式ホームページにも今回のヨットが番組企画であるなどとの記述はない。時期が近かったので臆測を呼んでいるが、「系列の読売テレビが全面的にバックアップした企画。成功していれば2人をゲスト出演させたりドキュメント映像を紹介したりするのはテレビ的には当然。タイムラグはそのための準備期間とみえなくもない」(番組制作会社ディレクター)。

 日本中をヒヤヒヤドキドキさせた救出劇。テレビマンのヒヤヒヤはこれからか。

ZAKZAK 2013.06.24)


私はヨットには全く疎いのだが、8月10日「前後」に到着予定の太平洋横断の「前後」とは何日くらいかといえば、1日や2日ではないのではないか。『24時間テレビ』がよくやるマラソンのような、放送時間中に到着などという離れ業ができるとは到底思われない。「『24時間テレビ』の企画であれば24日に到着するように予定を立てるはず」と考えるほうが非現実的だろう。天候の関係などで到着日が予定よりも遅れてしまえば元も子もないからだ。それよりは、ある程度余裕を持った日程で航海を行い、帰国した辛坊と岩本光弘氏をスタジオに呼んで「ドキュメント映像を紹介する」やり方をとると想定するほうがよほど自然だ。

邪推だが、辛坊らの「航海」が『24時間テレビ』の企画だったことは、業界では「公然の秘密」なのではないか。大西宏氏がブログに番組名を書いたのは、その情報を知っているためではないか。そう「陰謀論」的な想像をしてしまうのである。百歩譲って『24時間テレビ』の企画ではないとしても、日テレ系列の在阪準キー局である読売テレビの上層部の了解をとって行われた航海であることは辛坊自身が削除されたブログに書いた通りであって、辛坊が嘘を書いたのでもない限り、紛れもない事実である。

何が言いたいかというと、自民党国防部会とやらは辛坊個人をあげつらうけれど、なぜ読売テレビ(及びもしかしたら日本テレビも)の責任を問おうとしないのかということだ。いくら辛坊が高給取りの電波芸者であるとはいえ、巨大なマスメディアと比較すれば生命の危機に晒された無力な個人に過ぎない。今回、辛坊らの救助にかかった費用が税金から出ているにせよ、その費用を発生させた最大の責任は在阪準キー局に(及び場合によっては在京キー局にも)あるということだ。

海上自衛隊の救出劇の手際が良かったとは私も思うが、それもこれも、企画の無謀さを熟知していた読売テレビのスタッフが、最悪の事態が発生すれば、いつでも海上自衛隊の手を借りられるように、と準備万端整えていたからではないかと勘繰ってしまうのである。昔、テレビ番組の収録のためにアフリカに送り込まれた芸能人が猛獣に襲われて重傷を負ったことがあったように記憶するが、それと今回の辛坊と岩本光弘氏の遭難が二重写しになる。

そうはいっても辛坊個人の責任ももちろん追及されるべきだろうが、それよりも何よりも読売テレビの責任こそ問われるべきだと私は思うのである。しかし、自民党が辛坊をつるし上げようとしているかのような時事通信の記事からは、自民党読売テレビの責任を問う気配など全く感じられない。

辛坊治郎自身ややしきたかじんらの司会で知られる数々の極右番組制作によって、自民党や維新の怪に多大な貢献をしてきた読売テレビの責任など、自民党のセンセイたちは恐れ多くて問えないとでもいうのだろうか。

*1:辛坊らが救出にかかった費用を負担せよというのはもちろんトンデモな妄論であり、そんな言説を私は一切支持しない。

*2:http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20130623/1371949135#c1371965790