kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安倍晋三政権の経済政策に欠如する「再分配」

ヤクルトの読売戦4連勝くらいしか良いことのない週末、朝日新聞(6/30)の読書欄を見ていたら、冒頭に置かれた「ニュースの本棚」というコラムで、齋藤純一・早稲田大学教授(政治理論)が、「参院選の争点 自民党の基本政策を問う」と題する文章の中でこんなことを書いていた。

(前略)長く続いたデフレを脱するために、安倍政権は思い切った経済政策をとった。この政策にはついに「最後の手段」に訴えたという面があり、国民はかたずをのんで行方を見守っている。

 アベノミクスを構成する「三本の矢」に明らかに欠けているのは、再分配に関する政策である。ノーベル賞経済学賞受賞者であるジョセフ・E・スティグリッツの『世界の99%を貧困にする経済』(原題『不平等の対価』)によれば、経済成長そのものを支え、それを安定軌道にのせていくための鍵は、中および低所得者層の所得を増やし、需要を拡大していくことにある。安倍政権は、逆に弱者の生活基盤を削ぐような政策を進めている。アベノミクスの賭けを悲惨な結果に終わらせないためにも、有権者は、再分配政策の具体的用意があるのかどうかを問わなくてはならない。(後略)

朝日新聞 2013年6月30日付読書欄掲載「ニュースの本棚」(著者・齋藤純一・早稲田大学教授(政治理論))より)


安倍政権の経済政策の問題点としては、齋藤教授が書いていることに尽きるだろう。スティグリッツといえば、クルーグマンともども日本のマスコミによって「アベノミクスにお墨付きを与えている」経済学者の両巨頭ということになっているが、ご両人が支持しているのは安倍政権というより黒田東彦日銀総裁の金融緩和だけだろうと以前からずっと考えている。たとえば安倍政権がやろうとしている生活保護水準の切り下げなどは、「弱者の生活基盤を削ぐような政策」そのものであり、そんなものをスティグリッツクルーグマンが支持するとは全く考えられないからである。

参院選だが、かつて住んでいた定数1の選挙区では自民党候補を落とすための投票行動をとったものだけれど*1、現在は東京在住であり、東京選挙区は定数5である。本来なら自民党丸川珠代は落としたい候補の筆頭だが、ダントツの1位当選は確実と見られている。それどころか、5議席のうち3議席は自自公*2で決まりで、残り2議席を民主2人、維新の怪、みんな、共産、みどりの風、それに「生活の党」に支援を受ける無所属が争う混戦になっている。

このうち、民主党は今になって候補者を一本化したいなどと海江田万里が言っているが、このまま2人を立てれば共倒れは確実だし、1人に絞ったところで2人分ではなく、せいぜい1.3人分くらいの得票にしかならないと思われる。「生活の党」の支援を受ける売名屋の山本太郎や、その山本に「(脱原発派の)大河原雅子議員(民主)の邪魔になるから参院選に出るな」と言っておきながら、谷岡郁子にせがまれて自分が出ることになったと聞くみどりの風丸子安子などは、間違っても当選させたくない候補者だ。そうなると、都議選と同様、共産党吉良佳子に投票するしかない。少し前に山本太郎の出馬を「実質的な脱原発候補つぶし」として論難する声が出た時、「共産党候補の当選可能性を前提にして論じるのは非現実的だ」という批評が出たけれども、都議選で共産党は大きく議席を増やし、参院選の東京選挙区でも、今や自民党の調査だったかで吉良氏の当選可能性が高いとの結果が出たとも仄聞する。そうなれば、山本や丸子を落とすためにも、吉良氏に投票するしかない。

再分配の話からそれてしまったが、参院選では「弱者の生活基盤を削ぐような政策」を行う自民党が大きく党勢を伸ばすのは不可避だから、せめて自民党新自由主義政策をさらに経済軸上の「右」から過激に進めよと圧力をかける維新の怪を、東京都議選に続いて壊滅的な惨敗に追い込む必要があろう。

*1:とはいえ、参院選香川選挙区選出の植松恵美子民主党→無所属)のその後の行動を見るにつけ、2007年の参院選では自民党真鍋賢二が当選した方がよほどマシではなかったかと現在では考えている。

*2:なんだか小沢一郎自由党が加わっていた頃の連立政権みたいだが(笑)。