kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

麻生太郎の「ナチス妄言」への拍手で思い出した、稲田朋美の暴言に対する会場の爆笑

麻生太郎の「ナチスの手口を学んだらどうか」という発言に拍手が起きたという件が話題になっているが、それを知って私が真っ先に思い出したのは7年前の下記の件だった。


http://shizunaijin.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_de5b.html(2006年9月6日)

まずは、昨日の北海道新聞記事より一部抜粋。

2006年09月05日北海道新聞一面掲載
連載 「自民総裁選の底流 安倍政治の行方1」 
国家主義台頭に危うさ

保守系の論客らでつくる「『立ち上がれ!日本』ネットワーク」は八月二十九日夜、「新政権に何を期待するか」と題して都内でシンポジウムを開いた。同ネットの呼びかけ人は中西輝政京大教授、八木秀次高崎経済大教授ら、安倍氏の政権構想づくりにもかかわったとされるブレーン。安倍氏の持論の「草の根保守」の支持層拡大に向け、全国で支部設立を進めている。

出席した自民党下村博文稲田朋美衆院議員、山谷えり子参院議員は、小泉首相靖国参拝への礼賛や、中国、韓国批判、歴史教科書の検定強化などの主張を次々に展開した。

いずれもタカ派で熱心な安倍支持の中堅・若手。稲田氏は、地元福井の新聞で首相の靖国参拝を批判する加藤紘一元幹事長と対談したことを紹介。加藤氏の実家が右翼団体幹部に放火された事件について「対談記事が掲載された十五日に、先生の家が丸焼けになった」と軽い口調で話した。約三百五十人の会場は爆笑に包まれた。言論の自由を侵す重大なテロとの危機感は、そこにはみじんもなかった。…


赤字部分を読んで以来、生理的な気持ち悪さが消えない。記事中の稲田氏の発言がどのような文脈で為されたかは不明だが、たとえどのような文脈で為されようと、会場が爆笑に包まれるという事態は異常である。この人たちは、民主主義における最低限のルールを共有していない。恐ろしさを通り越して、どうにも気持ちが悪くて仕方がない。


下村博文山谷えり子らが演説していたのと同じ会場における稲田朋美の暴言とそれに対する爆笑。それと麻生太郎の「ナチスの手口を学んだらどうか」という、おそらくは場の雰囲気につられて飛び出した軽口ではあろうが、そうは言っても絶対に言ってはならないレッドカード(一発退場)ものの暴言に対する拍手は、みごとに二重写しとなる。7年前の稲田朋美や今回の麻生太郎の「絶対にいってはならない」内容を含む軽口に、ネトウヨに限らず日本の右翼的な大衆が快哉を叫ぶ。自民党支持者に対して、かつて「国民政党」だった自民党がとその支持者たちが近年どういう変化をとげているか、その事実を直視せよと言いたい。あなた方が支持している政党は、かつての自民党とは変容し切った醜悪な何物かなのだ*1

ところで今回気になったのはマスコミの反応だ。共同通信が記事を配信したが、真っ先に報じたのはなんとスポーツニッポン。読売と日経が続いたが、ネットでは目立ったもののおそらく紙面では小さい扱いだったに違いない。朝日は読売・日経よりさらに遅れた上に、当初両紙よりさらに抑制的な報じ方をしていたが、アメリカのユダヤ人系人権団体*2やドイツから麻生発言批判がなされると、大慌てで昨日(8/1)夕刊の1面トップに持ってきた。今朝(8/2)は社説で麻生太郎を批判しているが、初動の遅れはいかんともしがたい。

下種の勘ぐりをさせてもらうと、朝日の政治部長であり、政界で大きな動きがあるたびに紙面で目立つスペースにコラムを書く頻度が増えている「大記者」曽我豪が、かつて(2008年)『文藝春秋』に麻生太郎の「論文」を代筆したとされている人物であることと、今回の朝日の初動の鈍さが関係しているのではないか。朝日でさらなる出世を狙っている曽我豪にとって、この麻生発言は痛かったんだろうなと思う。

余談だが、アメリカのユダヤ人系人権団体から麻生太郎批判が行われたことについて、リチャード・コシミズ*3やヘンリー・オーツ(O. ヘンリー)*4が何か書いてないかと思ったが、見あたらなかった。コシミズとオーツはだいぶ前に袂を分かったんだったかもしれないが、2人のブログのトップページを麗々しく飾っていたのは「不正選挙」だった(8/2朝現在)*5。これほど気の合いそうなご両人がなぜ袂を分かったかは知らない。

ただ、朝日新聞のみならず、「小沢信者」に対しても歯切れの良い麻生太郎批判は望み薄だとはいえそうだ(笑)

*1:もっともその萌芽は「国民政党」と言われた頃の自民党にもあった。自民党内で悪貨が良貨を駆逐した結果、現在の自民党がある。

*2:サイモン・ウィーゼンタール・センター

*3:http://richardkoshimizu.at.webry.info/

*4:http://henrryd6.blog24.fc2.com/

*5:彼らがTwitterだのFacebookだので何を言っているかは知らない