kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

グールド、ボイジャー、バッハ

今朝(9/13)の朝日新聞1面記事。


http://www.asahi.com/tech_science/update/0913/TKY201309120704.html

ボイジャー1号、太陽系脱出 地球を旅立ち35年


 【ワシントン=行方史郎】1977年に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)の探査機「ボイジャー1号」が12日、人工物体として初めて太陽系を完全に出たことが確認された。米アイオワ大とNASAの研究者らによる観測データの分析で、陽子などからなる「太陽風」の届く領域を2012年8月に抜け出たと認定された。

 ボイジャー1号は現在、太陽から約187億キロ付近を時速約6万キロの速度で飛行中。すでに太陽の重力圏からは出て、太陽からの陽子なども劇的に減り、後は「太陽風の届く範囲を超えた」と、どのように認定できるかが焦点だった。

 米科学誌サイエンス電子版に12日発表された論文によると、太陽系から抜け出れば、宇宙を飛び交う宇宙線に由来する電子などの密度が急上昇すると考えられる。今春に送ってきたデータから電子の密度を分析したところ、太陽系外の恒星間に広がる「星間空間」で想定された値にすでに達していた。逆算すると、昨年8月25日ごろに太陽系の末端を通過したとみられるという。

朝日新聞デジタル 2013年9月13日3時6分)


ボイジャーとはなんとも懐かしい話題だなと思ったが、この件に関連して、同じ朝日の社会面には、こんな記事が出ている。

(前略)ボイジャーには、地球外の知的生命体に人類を紹介するレコードが積まれ、宇宙物理学者の佐治晴夫さん(78)=神奈川県伊勢原市=が提案した楽曲も収められている。

 佐治さんは70年代後半、NASAの客員研究員としてカリフォルニアにいた。レコードに収める曲が話題になった時に挙げたのが、バッハの平均律クラビーア曲集の前奏曲だった。カナダのピアニスト、グレン・グールドの名演だ。(後略)

朝日新聞 2013年9月13日付社会面掲載記事「宇宙への伝言『バッハで』 ボイジャー搭載のレコード」より=見出しは東京本社発行最終版)


個人的な思い出だが、まだiPodにたくさんの音楽を入れておくなどという器用なことができなかった20年前、カリフォルニアに長期出張したことがあって、その時に携帯用CDプレイヤーとともに持っていたのがグールドが弾く平均律曲集の4枚組のCDだった。

ところでこの記事、平均律曲集の前奏曲と言っても、第何巻の第何番かは書かれていなかったが、ネットですぐ調べがついた。第2巻の第1番である。同じ第1番でも、有名な第1巻のそれではないのがちょっと意外だった。

私がプレリュードから1曲選ぶなら、第2巻の第9番かな。この曲は、四半世紀前に通院していた歯医者で、スウィングル・シンガーズのスキャットで聴いて、改めて良い曲だなと思った。グールドはこの曲のプレリュードではなくフーガが大好きで、このフーガの構造を分析しながら弾き語りをする映像を記録したレーザーディスクも持っている。グールドがバッハのフーガを解説した映像は、確か「フーガの技法」の最後の、未完の三重フーガ(四重フーガ)で終わっているが、グールドの映像作品の中でも群を抜いて感動的な1枚なのである。

以上偉そうに書いたけれども、実は最近すっかり音楽を聴かなくなっている。しかし、この記事はグールドの弾く平均律曲集第2巻をiPodで(というかパソコンで)再生しながら書いている。第1番から聴き始めて、書き終わりの今は第5番ニ長調のフーガ。これも良い曲である。久々にリフレッシュできた。