kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

スコットランド独立を問う住民投票、今日始まる

スコットランド独立の可否を問う住民投票が間もなく始まる。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140918/k10014682281000.html

スコットランド きょう住民投票


 イギリスからの独立の賛否を問うスコットランド住民投票は、直前の世論調査で賛成と反対がほぼきっ抗した状態のまま、日本時間の18日午後から投票が始まる予定で、世界の政治経済に大きな影響力を持つイギリスが分裂する事態につながるのかどうか、有権者の判断に世界中の関心が集まっています。

 イギリス北部のスコットランドの独立を巡る住民投票は、日本時間の18日午後3時からスコットランドにある2600か所の投票所で始まります。
 直前の世論調査では、独立に賛成が48%、反対が52%と反対がややリードしていますが、その差は僅かで、賛成派・反対派の双方は直前まで運動を繰り広げてきました。
 このうち、独立賛成派の運動を主導してきたスコットランド民族党のサモンド党首は、支持者に対して、「この住民投票は人生に一度のものであり、このチャンスをつかみ取らなければならない」と述べて支持を訴えました。
 これに対して、反対派のブラウン前首相は集会で、「われわれがこれまで一緒に作り上げてきたこの国を永遠に分裂させてしまってはならない」と述べて反対を呼びかけました。
投票では、「スコットランドは独立国になるべきか」という質問に「はい」か「いいえ」の二者択一で答えることになっていて、独立への賛成が反対を1票でも上回れば、投票率に関係なくスコットランドの独立が決まることになります。
 イギリスは先進国として政治面、経済面で国際的に大きな影響力を持つだけに、分裂して国が混乱する事態につながるのかどうかスコットランド有権者の判断に世界中の関心が集まっています。
 投票は日本時間の19日午前6時に締め切られ、即日開票されることになっていて、19日午後には大勢が判明する見通しです。


グラスゴー中心部の広場では

 住民投票を翌日に控え、スコットランド最大の都市グラスゴーの中心部の広場には、独立を支持する人たちが大勢集まりました。
 集まった人たちは翌日に迫った投票について、「自信はありますよ」とか「独立が決まって、パーティーが開けるといいですね」などと話していました。
 一方、この様子を見守っていた独立に反対の男性は「ここにはいないけど、静かに反対している人はいます。あすまで結果は分かりませんが、独立反対という結果になると思います」と話していました。


スペインのカタルーニャ州からも

 スコットランドの独立を支持する人たちが集まったグラスゴー市内の広場には、17日、スペインからの独立の賛否を問う住民投票の実施を求めているカタルーニャ州の人たちが応援に駆けつけていました。
 仲間4人で車とオートバイなどでカタルーニャ州からスコットランドまでやってきたという消防士の男性は「応援するために来ました。ここで独立派が勝てば、私たちにとってもよいことだと思います。ヨーロッパでこうしたプロセスが当然のことだと理解されるようになりますから。ただ、スペイン政府は私たちの住民投票を認めていないので、スコットランドの人たちがうらやましいです」と話していました。


スペイン首相は懸念示す

 スコットランド住民投票が実施されるのを前に、スペインのラホイ首相は17日、議会で、「通貨や公的債務、年金などさまざまな面で大きな問題を生みだし、景気の低迷や貧困をもたらしかねない」と述べて、独立したとしてもマイナス面ばかりだとして懸念を示しました。
 スペインでは北東部のカタルーニャ州で独立を目指す動きが高まっていて、今月11日には、独立の賛否を問う住民投票の実施を求めて大規模なデモが行われました。
ラホイ政権は、憲法違反だとして住民投票を認めておらず、この日の議会では、独立に向けた一連の動きについて「ヨーロッパ統合の精神を破壊する魚雷のようだ」と批判し、警戒を強めていました。

NHKニュース 2014年9月18日 5時43分)

昨夜(9/17)報棄てでこの件を報じていたが、スコットランドの独立賛成派が「あなたはスコットランド人ですか、それともイギリス人ですか」などと問いかけていると聞いてドン引きした。何かというと「ニッポンジン」だとか「日本が好きなだけなんだよ」などと言いたがる日本のネトウヨ(熱湯浴)ともろに被るからだ。

そんなスコットランド独立派の主張で唯一心引かれるのは「スコットランド非核化」の主張だ。核ミサイル搭載潜水艦の母港はグラスゴー近郊にあるが、これを追い出すというのである。スコットランドが独立すれば母港をイングランドに移さざるを得ないが、この手の施設は典型的な "NIMBY (Not In My Back Yard)" の迷惑施設であるため、受け入れ先が見つからずイギリスの非核化につながるのではないかという。実際、イギリスの指導者たちは自国の安全保障上の障害になることを、スコットランド独立反対論の根拠の一つに挙げている。しかし、この主張は下記の毎日新聞記事にバカにされている。

http://mainichi.jp/select/news/20140918k0000m030139000c.html

スコットランド独立投票:戸惑う欧米、結果注視

 【ブリュッセル斎藤義彦、ワシントン和田浩明】18日実施の英北部スコットランドの独立を巡る住民投票がヤマ場を迎える中、欧州連合(EU)や米国は想定外の独立賛成派の伸長ぶりに戸惑いながらも、慎重に事態の成り行きを見守っている。

 独立賛成運動のここまでの高まりは、EU加盟国も欧州委員会も予想しておらず、無防備な中で難問を突きつけられた格好だ。ただ、独立賛成派がEUにも北大西洋条約機構NATO)にも残留する方針を明確にしているため、欧州では域内統合にも安全保障にも影響は与えないとの見方が大勢だ。

 独立を想定した議論は十分なされていない。バローゾ欧州委員長は今年2月、英BBCのインタビューで、独立後のスコットランドのEU再加盟は「極めて困難」と発言した。しかし、独立派が伸びた今月以降、欧州委はこのコメントの確認を拒否している。

 ラスムセンNATO事務総長は15日、どんな結果が出ても「英国の安全保障への貢献は変わらない」と述べ、スコットランドも独立賛成なら加盟を申請すればよいとの考えを示した。安全保障の激変はないとの見方を示したものだ。

 非核化を唱えるスコットランドに対し、英政府は安全保障上の障害を指摘する。だが、核兵器を配備させたり、保有したりする国はNATO28カ国中8カ国しかなく、英政府の主張は実情とはかけ離れているとみられる。

 「我々の最も緊密な同盟国が、強く、健全で、統一され、効率的なパートナーであることに、米国は深い利害がある。しかし、最終的には現地の人が決めることだ」−−。これが、スコットランド住民投票に関する米国の公式見解だ。

 「統一され」の部分を文字通り解釈すれば、スコットランドの独立は好ましくないと考えていると読める。歴代指導者同士が「特別な関係」と認め合ってきた米英のつながりが、英国の「分裂」により弱体化したり混乱したりしてもらっては困る、ということだ。

 この問題への米国内の関心は総じて低いが、最近になって一部米メディアから「経済的混乱がEUに波及し、いずれ米国にも影響を与えかねない」(公共ラジオ)、「英国政治が混乱し、イスラム過激派やウクライナ紛争などで米国との連携が困難になる」(アトランティック誌)との指摘が出ている。

毎日新聞 2014年09月18日 00時00分(最終更新 09月18日 00時11分)

とはいえ仮にスコットランドが独立したとしてもイギリスが非核化するかどうかというと、そうはならないだろう。というのは、イングランドにも「迷惑施設」があるからだ。そう、1957年に原発事故を起こし、現在は核燃料の再処理施設があるセラフィールド(旧ウィンズケール)である。セラフィールドイングランド北部、すなわちスコットランドの近くにあって、グラスゴーと同じ西海岸にある。つまり、セラフィールドグラスゴーはいくらも離れていないのである。私は別に何も核ミサイル搭載潜水艦がセラフィールドに押し付けられるだろうなどとは言わないが、日本における六ヶ所村のような場所はイングランドにもあり、他の受け入れ先から全て拒絶されてどうにもならなくなった場合は、そういう場所に移してでも「非核化」を避ける選択肢をイギリスの指導者たちは選ぶに違いないと悲観的に見ているだけである。

こうして考えると、スコットランド独立論を支持する唯一の論拠もさほどの説得力を持たないのではないか。