kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

大阪府廃止・特別区設置の住民投票「否決」について

 大阪市廃止と特別区設置の是非を問う住民投票は、下記NHKのサイトを参照すると、賛成が675,829票に対し、反対が692,996票で、賛成をわずか17,167票上回って否決された。

 

www.nhk.or.jp

 

 昨夜は夜10時台前半に帰宅して上記サイトにアクセスしたが、予想通りというかマスメディアの世論調査通り、票は真っ二つだった。朝日新聞NHKが相次いで否決確実を報じるまでには、しばらく時間がかかった。

 大雑把に言えば、新自由主義者及び彼らに煽動された人たちが賛成し、新自由主義に批判的ないし距離を置いているか、維新の政治家や元維新の橋下徹、それに読売・産経などの新自由主義右翼マスコミの煽動に乗らなかった人たちが反対し,両者が真っ二つに分かれて争った結果、前回(2015年、10,741票差)に続いて僅差で否決されたといえる。

 ただ、票の内訳は違う。5月頃、新型コロナウイルス感染症対策で、緊急事態宣言は大阪府では必要なかったなどと大見得を切った大阪府知事・吉村洋文が一時日本維新の会政党支持率を引き上げた時、それにつられたのが公明党代表山口那津男と新旧国民民主党代表の玉木雄一郎だった。民民は住民投票への賛否を一切明らかにしなかったし、そもそも大阪市には民民の支持者などほとんどいない(投票所に足を運ぶ立民支持者でさえ3〜4%しかいない)ので影響などほとんどなかった。問題は公明党であって、代表自ら大阪府廃止を大々的に呼びかけたのに、支持層の半分しか応じなかった。とはいえ前回は公明党支持層の賛成者は2割だったし、大阪では公明党は強いから、同党の転向は維新にとって大いなる追い風になったはずだ。

 しかし、前述の吉村はその後大阪から大量の新型コロナ感染者を出すなどして評判を大きく落とした。吉村が頼りにしようとしていた大阪府の核物理学者(=感染症の門外漢)がでっち上げた「K値」なる指標も、簡単に化けの皮が剥がれた。象徴的だったのが投票日当日である昨日(11/1)の新型コロナ陽性者であって、大阪府は123人で、大阪府と同様に新自由主義者小池百合子が知事を務める東京都の116人をも上回ってしまった。半年前に吉村がブチ上げた「緊急事態宣言の再検証」の話がその後どうなったのかは寡聞にして知らない。

 このような維新の失速が公明党の変節と相殺され、前回とほとんど変わらない結果になったのだった。新自由主義者たちの博打が敗れたといえる結果だが、歴史は往々にしてこういうほんのわずかの差が大きく拡大される結果を生じる。悪い方の典型的な例として、2000年のアメリカ大統領選におけるジョージ・ブッシュJr.の僅差の当選が挙げられる。あれがイラク戦争その他の災厄につながり、全世界に大きなダメージを与えた。

 今回の大阪市(及び日本国)はまことに運が良かったというほかない。その幸運を今後に活かせるかが課題だ。長い目で見れば維新(大阪維新の会及び日本維新の会)が長期低落傾向にあることは間違いないから、特に大阪では「ポスト維新」が課題になるだろう。

 なお今回の大阪市住民投票と、明後日投開票が行われるアメリカ大統領選については、このブログでは意識的にこれまで取り上げずにきた。それぞれ大阪府アメリカ国民が決めることであって、住民投票及び投票の段階では部外者が余計なことを言っても仕方がないと思ったからだ。

 アメリカ大統領選では「奇跡」が起きないことを願うばかり。