kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

解散は総理大臣の専権事項、反対に耳を傾ける安倍晋三ではないが

朝日新聞(11/12)の社説を見ると、「解散に大義はあるか」という見出しがついているが、解散に大義などあったためしがない。時の総理大臣の好き勝手に行われる。その最たる例が2005年の小泉純一郎による「郵政解散」だろう。解散は総理大臣の専権事項だから、いくら政権批判者が反対したからって総理大臣が耳を傾けるはずがない。ましてや現総理は、アメリカの反対にも耳を貸さずに昨年暮に靖国参拝を強行した安倍晋三である。

だが、あの時のように国民が衆院選に熱狂するかというと、そうはならないだろう。多くの国民は政治に倦み疲れている。今回の衆院選は、関心も低く、投票率も下がるのではないか。

一つだけ間違いないのは、下記の小政党の大転落である。みんなの党、次世代の党、生活の党、維新の党(大阪を除く)。他にもあったっけ。社民党は減るところまで減っているので、もう減らないと見る。小選挙区制下で政党が分裂するとどうなるか、その結果は既に前回、2012年の「日本未来の党」が教訓を与えてくれているのだが、その未来の党がさらに分裂してできた生活の党を含め、一昨年の衆院選後に分裂劇を行った政党群がわかりやすく教えてくれるはずだ。

あと、週刊誌や、とりわけ『日刊ゲンダイ』の選挙予想は絶対に当たらない。『日刊ゲンダイ』は一昨年の衆院選の前、最初は日本未来の党が100議席以上獲ると書き、徐々にトーンダウンさせながらも、60議席台だの70議席台だのと大ボラを吹いてきたが、蓋を開けてみると日本未来の党はわずか9議席だった。『日刊ゲンダイ』は論外だが、週刊誌の選挙予想もたいがいだ。『週刊文春』もかつて宮川隆義が選挙予想をやっていた頃と比較すると、最近の選挙予想記事は質ががくんと落ちる。各誌とも、小選挙区制下の選挙の実体から目をそらし、売らんかなの商魂だけで、もっとも雑誌が売れそうな記事を書いているに過ぎないから、そんなものが当たるはずがないのである。

極端な選挙結果が4回続けば、国民も小選挙区制の恐ろしさを痛感するだろうか。いうまでもなく、極端な選挙結果は、本の少しの民意の差でも大きく拡大する小選挙区制の特性によるものである。最近の新聞の選挙情勢調査は恐ろしいくらいよく当たるが、小選挙区制の効果もあるだろう。各選挙区で一番得票の多い候補者を予想するのはそう難しくないと思われるからである。12月上旬に「衆院選・序盤戦の情勢」が載る頃には、『日刊ゲンダイ』は独裁者・安倍晋三の批判をするしか能がなくなっているはずだ。

なお、衆院選が確実に早まりそうなので、私が予想していた、小沢一郎が配下の議員を民主党に復帰させた上での自らの引退も先送りになるだろうし(おかげで小沢一郎の政治家としての末路はさらに悲惨なものにならざるを得ない)、橋下徹一派と分裂する時に、自民党から衆院選になった暁の選挙協力の口約束をもらっていたであろう次世代の党の議員、とりわけ比例ブロック選出議員は、話が違うじゃないかと青ざめているだろう。

ただ、選挙は間違いなく自民党が勝つか、悪くとも横バイだと思うが、安倍晋三政権運営の難しさはこれまでと大差ないどころか、これまでよりも困難さを増すだろうと私は予想している。

小泉純一郎政権を思い出しても、3次にわたった同政権がもっとも強い批判に晒されたのは、郵政総選挙で大勝したあとの第3次内閣時代(2005〜06年)だった。耐震偽装事件とライブドア事件が起き、NHKスペシャルが『ラーキングプア』を放送した頃から、格差と貧困の問題がクローズアップされた。安倍晋三はそういう背景下で総理大臣になったから、2007年の参院選大敗の直後に政権を投げ出す羽目になってしまった。

いかに多くの議席を抱えようが、政治家の政策が民意から乖離したり、国際関係において摩擦を引き起こしたりしたら、権力者の政権運営は壁にぶち当たる。第3次安倍内閣でも、それが起きるだろうと私は予想している。政治とは、議会の多数をバックにして権力者が好き勝手にできるものではない。これまでだって議会の多数をバックにした安倍晋三が、東京ドームで背番号96のユニフォームを着るパフォーマンスをして96条改憲を企てたものの、もののみごとに失敗した。あるいは直近でも、安倍晋三は日中間で尖閣問題に関する見解の違いがあることを認めたり、村山談話の継承を声明したりせざるを得なかった。いわばネトウヨの親玉が総理大臣を務める現在でさえも、現実の政治は(世間一般の)ネトウヨの思い通りにはならないのである。

安倍政権は長期政権にはなるだろうが(たとえば第1次内閣時代と合わせて5年も続けば立派な長期政権である)、超長期政権にはならない。第4次安倍内閣は成立しないとみる。安倍晋三がいずれストレスに耐え切れなくなる。但し、自民党政権は当分続く。質をどんどん劣化させながら。