kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

今日から「新聞週間」。新聞は「政府の言いなり」の報道姿勢を改めよ

今日(10/15)から「新聞週間」とのことで、朝日は「朝日新聞は変わりましたか」などと銘打って、池上彰にコメントさせているが、それだけでも私などはもううんざりだ。

私の意見は「朝日新聞は右傾化した」というものだ。より正確には、右傾化した世論に迎合しているというべきか。

例の産経と毎日の世論調査について意見を発していた菅原琢氏(特に左翼とも思われない)が、下記のようなTwitterを発信していた。

https://twitter.com/sugawarataku/status/653170575460859904

SUGAWARA, Taku
@sugawarataku

南京の登録、日本「無念」 日中関係に火種か 記憶遺産:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASHB66QS0HB6UHBI02Y.html … …この見出しなぜ「日本」という不明瞭な主語にするのだろうか。せいぜい、「日本政府」では。

4:29 - 2015年10月11日


https://twitter.com/sugawarataku/status/653172108869025792

SUGAWARA, Taku
@sugawarataku

30万人虐殺説が出てくれば、従前のように否定すればよいだけで、記憶遺産登録についてこの点ばかりを強調するのは、事件自体を否定しているように見え、筋が悪いように見える。朝日新聞にしては「政府筋」にかなり寄った記事のように感じる。

4:35 - 2015年10月11日


問題の朝日の記事は下記。

http://www.asahi.com/articles/ASHB66QS0HB6UHBI02Y.html

南京の登録、日本「無念」 日中関係に火種か 記憶遺産
武田肇 上海=金順姫、北京=林望 佐々波幸子
2015年10月11日15時49分

 「平和」を設立理念に掲げるユネスコ(国連教育科学文化機関)が、日中の戦争の記憶をめぐる摩擦の舞台となった。南京事件に関する「南京大虐殺の記録」の世界記憶遺産登録について、中国は自らの歴史観を国際社会に認めさせることを狙い、日本は阻止しようと再三働きかけた。今回の登録が、回復基調にある日中関係の新たな火種となる可能性もある。

 「無念だ」

 「南京」の登録が決まった直後の10日未明、外務省幹部は天を仰いだ。

 中国の登録申請が明らかになった昨年6月以降、外務省はユネスコに、南京事件は日中間で様々な見解の違いがあると指摘。申請資料は中国の一方的な主張に基づいており、ユネスコの選考基準である完全性や真正性を満たさないとして懸念を伝えてきた。

 日本政府は、日中戦争のさなかに日本軍が起こした南京事件について「(1937年の)日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」としつつ、犠牲者数については「政府として認定することは困難」との立場だ。中国の国営新華社通信によれば、中国が申請した資料には、犠牲者数を30万人以上と記した南京軍事法廷の判決書が含まれている。登録されれば、中国が、ユネスコのお墨付きを得たとして政治利用すると懸念した。

 しかし、記憶遺産の審査制度が「壁」となった。世界遺産の場合、政府代表が参加する公開の場で審査され、関係国が意見表明する機会もある。一方、記憶遺産はユネスコ事務局長が任命した専門家が非公開で審査し、その結果を事務局長が事実上追認し、発表する。日本政府関係者は「そもそもユネスコには政治利用されることの問題意識が希薄だ」と指摘する。

朝日新聞デジタルより)


この件で日本政府(安倍晋三極右政権)や自民党は、(アメリカの真似をして)ユネスコへの分担金を停止するぞなどと脅しをかけて、世界から大顰蹙を買うや発言をトーンダウンさせるなどの醜態を晒しているようだが、朝日の報道は政府・自民党の強硬姿勢を招いたといえるかもしれない。

もちろん問題は何も朝日だけに限らない。

http://www.npo-iasia.org/archive/2015/10/abe-conference.html

米記者から「出来レース」批判された安倍首相国連会見 
2015年10月 5日 14:38  

安保法案の成立後、ニューヨークで国連総会に出席した安倍首相。帰国前に現地で記者会見を開き、国連の安保理常任理事国入りに言及したことなどが日本でも華々しく伝えられた。しかし、その会見をめぐって外国の記者から強い批判が浴びせられたことは、日本では伝えられていない。そこで外国人記者が感じたのは、日本のメディアと政権との癒着だった。(アイ・アジア編集部)

「もう1つ、質問が有る。あなたはシリアの難民問題で支援を表明したが、なぜ難民を受け入れないのか?」

ロイター通信の記者がこう質問すると、通訳を通して質問を理解した安倍首相の表情が強張った。実は、その質問に慌てたのは安倍首相だけではなかった。会見場にいた日本人記者全員が「予定外」の質問にざわめきたったのだ。

日本時間の9月30日朝に行われたニューヨークでの安倍首相の会見。「予定外」の質問とはどういうことなのか。アイ・アジアが入手した首相官邸の資料や取材に応じたアメリカ人記者の話によると、この会見では、質問者も質問内容も予め決められていたのだ。つまり、出来レース会見だったのである。

アイ・アジアが今回入手した資料は会見前に準備されていたもので、それによると、日本のメディアの記者と外国メディアの記者が交互に、5人まで質問することが決まっていた。極めて興味深いのは、その資料には、質問者の名前とともに、質問内容まで書かれていたことだ。

まずNHKの記者が、日ロ関係について質問、続いてロイター通信の記者がアベノミクスについて質問、続いて共同通信の記者が内閣改造について質問、そして4番目に米公共放送NPRの記者が、普天間基地の移設問題について質問し、最後が、テレビ朝日の記者で、国連改革について質問、となっている。

これについて、初めて日本の総理の会見に出たというアメリカの雑誌記者は驚きを隠さない。

「質問事項をあらかじめ提出しろということですから驚きました。そんなことは、アメリカでは記者倫理に違反する行為です。ところが、それは日本の政府と記者との間では常に行われていることだというではありませんか。本気かよ?と思ったのは私だけじゃありませんよ」

そして、前述のロイター通信の記者の「予想外」の質問となったわけだ。
予め決められていた質問は、「アベノミクス2.0の新しい3本の矢は、なぜこれを選んだのか。また、具体的に何をしようと考えているのか」で、安倍首相が準備されていた内容を答えている。

その記者が続けてシリア難民の質問を始めた際に、慌てたのが安倍首相だけでなかったことは前述の通りだ。結果的に、安倍首相は難民問題全体に対する取り組みの必要性を強調し、広報官が次に控えている共同通信の記者に振ったので、会見は荒れることもなく進んだ。しかし、それで終わらなかった。

共同通信の記者が想定通りの質問をし、安倍首相が想定通りの答えを行った後、今度は米公共放送NPRの記者が質問に立った。記者は最初、「普天間飛行場移設問題について、現状では日本政府と沖縄県との対立があるが、日本政府と沖縄県のどちらが責任をもって対処する問題なのか。妥協策を含む、政府の今後の対応は?」と質問。

これは予め、予定されていた質問だ。それに対して安倍首相が準備された答弁をし、広報官が予定されていたテレビ朝日の記者に振ろうとした時、NPRの記者が続けざまに、(辺野古)移転後に環境汚染が起こらないと保証できるのかと畳みかけた。

想定外の質問に、安倍総理は明確な返答が出来ず、その後、テレビ朝日の記者の質問は行われずに会見は中止となった。納得がいかない外国メディアの記者たちと対照的に、日本人記者たちは、広報官に挨拶をするなどして足早に会見場を立ち去ったという。

前述のアメリカの雑誌記者が表情を曇らせながら語った。

アメリカで今、日本のメディアは安倍政権に牛耳られていると報じられているのを、日本の記者たちは知らないのでしょうか?記者会見というのは市民を代表してジャーナリストが権力者に挑む場だというのは、アメリカにおいては一般の人も知っている常識です。しかし、残念ながら、日本の権力者の会見はそうではなかった。質問内容は権力側が予め検閲し、その答弁は予め準備されており、会見はその通りに行われる...ちょっと信じられません」

NHK共同通信の記者の質問は、総理官邸が作った資料と一字一句違わなかったという。企業の粉飾問題などが発覚するたびに「国際的な基準に照らして問題がある」と批判する日本の新聞やテレビだが、実は自分たちの姿こそ「国際的な基準に照らして問題がある」ことを自覚すべき時ではないか。

(アジアプレスより)


「何でもお上の言う通りにする」のは今に始まったことではなく、伝統的な日本のマスコミの体質であるといえる。
あるいは、普通の政権においては政府の方が一定のバランス感覚を持っていたのかも知れない。
しかし今は違う。安倍晋三内閣は戦後最悪の極右政権である。
それに対して政府の言いなりを続けるようでは、ますます日本は「世界の孤児」へと成り下がってしまう一方だ。
「新聞週間」に当たって、特に新聞陣はそのことを自覚し、従来の報道姿勢を改めるべきである。