kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「山本太郎には目指したい社会像がないのでは?」「山本太郎は乱世において打たれ弱いのでは?」(by レバ子氏)

 どのくらい影響力があるのかは全く知らないが、こんなのがあるらしい。

 

 

sites.google.com

 

 

 「消費税を減税すれば積極財政だと勘違いしている節がある」と書かれているが、たぶんそれだけではない。たとえば共産党社民党も消費税減税を主張しているけれども「積極財政派として推されて」はいない。それは、たとえば共産党所得税の累進性強化や法人税増税などを求めているからであろう。つまりこの「地方議連」は「純減税イコール積極財政」とみなしているのであろう。元号新選組は実際には純減税は主張していなのではないかと思うが、「新選組イコール減税政党」と思っている人が少なくないのではないか。

 「本来の積極財政は減税する事を意味しません」というのはあまりにも当たり前のことだが、その当たり前のことを理解していない人たちを大量に発生させてしまったところに、今の日本の政治や経済に関する状況を根本的に狂わせている。

 おかげで再分配の概念などひどく曲解された世の中になってしまった。

 

 

 「再分配という概念は現金だけじゃありません」どころか、財政学においては現金給付よりも現物給付(上記Xにおいて現金の配り直し以外に挙げられているの例)の方が効果が高いとされる。

 海外ではどうか知らないが、日本ではリフレ派の多くがMMT派に転じた。彼らは神野直彦金子勝らをこき下ろしたが、神野は宇沢弘文(1928-2014)の高弟だ。その神野の弟子に当たるのが民進党のアドバイザーだった井手英策。私は神野は宇沢と比較してリアルの政治に対して妥協的に過ぎたし、井手に至ってはかなり保守性が強い(井手は前原誠司のブレーンだった)と考えているが、リフレ派右派やMMT右派は宇沢弘文のいう「社会的共通資本」を否定する人たちと言って良い。彼ら(高橋洋一飯田泰之ら)は「新自由主義」に括られる人たちであって、彼らが批判する神野直彦金子勝の比ではない論外の人たちだと考えている。もし10年前に亡くなった宇沢弘文が今も生きていて玉木雄一郎の主張を知ったら激怒することは絶対に間違いない。

 

 

 

 上記Xは、あのにっくき「駅前は朝の七時」がリポストしていた。昨年4月の衆院東京15区補選で酒井菜摘が共産党の応援を得て2位以下を引き離して勝ったことが気に食わないらしくて事実無根のデマを垂れ流していた「駅前は朝の七時」でも上記Xには同意するのかと不思議に思った。もちろん上記Xはまっとうそのものの意見だ。

 

 

 私は「配るぐらいなら取るな」という言葉に接するたびに頭に血が昇る。それは夜警国家を理想とする過激なネオリベラリストまたはリバタリアンの言い草であって、少し前なら相手にされなかった物言いだ。しかし今では「玉キッズ」の多くに好まれるフレーズになっている。新選組信者の中にもこのフレーズを好む人たちがいるかもしれない。

 

 

 これだな。

 

takaitakashi.com

 

 確かに高井崇志のウェブページにある。ただ、佐藤竜希という人の文責になっている。2019年12月3日のタイムスタンプがある。

 

MMT(現代貨幣理論)シンポジウム

 2019年12月3日  

最終更新日時 : 2021年3月15日 

佐藤竜希

 

MMT(現代貨幣理論)の創始者の一人で、名付け親でもあるビル・ミッチェル教授が来日しており、院内で開かれたシンポジウムに参加しました。

 

ミッチェル教授によれば、これまでの主流派経済学では、少子高齢化地球温暖化等の諸問題を解決することはできず、MMTを採用し、財政支出を大幅に増やすことが必要とのこと。

 

MMTに基づく政策とは、

 

〇インフレ率が2~4%に収まるように、様々な「財政・金融政策&税政策」を講ずる。

 

〇インフレ率が2~4%に収まらない場合には、政府の貨幣供給量=財政赤字を裁量的に調整し、インフレ率の適正化を図る。

 

〇つまり、日本の財政規律の目標を、「プライマリーバランスの黒字化」ではなく、「インフレ率の適正化」とする。

 

意外だったのは、自民党の参加者が多く、私が確認した範囲では、自民党10数名、立憲民主党4名、国民民主党3名でした。

 

URL: https://takaitakashi.com/archives/5914

 

 ただ、弊ブログに最初に「MMT」が初めて、「国家社会主義者・三橋貴明」の名前とともに出てきたのは2019年5月25日の下記記事だ。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 日本では山本太郎よりもっと早い段階から三橋貴明のような極右がMMTに目をつけていたのではないか。私がMMTに近寄らないようにしたのは右派に対する警戒感からだったように記憶する。

 

 

 私の認識では山本太郎は別に「急進左翼を名乗」ってはいない。それどころか2013年には東京スポーツのインタビューで自らを「保守ど真ん中」と言っていた。残念ながら東京スポーツの元記事はリンク切れだが、弊ブログの下記記事に、ごく短い1行だけの引用だが記録してある(2016年10月10日付)。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

山本は2013年11月に東京スポーツのインタビューに答えて

僕のポジションがどうこう言われれば“保守ど真ん中”です。

と明言している*2

 

URL: https://kojitaken.hatenablog.com/entry/20161010/1476110182

 

 また、もっとわかりやすい例としては下記2018年の日刊スポーツの記事がある。

 

www.nikkansports.com

 

 タイトルに "山本太郎氏が与党に「保守と名乗るな」と怒り絶叫" とあるが、普通に考えれば山本自身が保守を自認していなければこんな言葉は出てこない。

 また新選組の正式な党名は現元号が上につくし、安全保障政策のブレーンは「新9条論者」の伊勢崎賢治だ。つまり新選組は9条改憲政党である。

 私は「保守(右翼)の論客が飛びついた経済理論で、しかも左翼にも訴求力がある」ことから山本がMMTに飛びついたのではないかと考えている。脱原発で売り出した山本だから、新選組の支持者には「リベラル・左派」が多く、いかな独裁者・山本といえども彼らの意向を無視した党運営はできない。

 しかし以上はたいした問題ではない。重要なのはBIからMMTへの転向だが、これはあの『長周新聞』に山本がその経緯を語っていた。

 下記は同紙の2019年10月31日付記事。非常に長い。

 

www.chosyu-journal.jp

 

 福岡での街頭演説で、山本は下記の質問を受けた。

 

 9月29日付のニュース記事で岩手県衆議院議員階猛氏の、消費増税はせずに月8万円のベーシックインカムで年金はまかなえるという記事が出ていた。もう一つは2016年に山本さんが小沢さんと一緒にやっていたときの「生活の党と山本太郎と仲間たち」はベーシックインカムを明確に参議院選挙の公約にしてたたかっていた。しかしこれまでれいわ新選組の動画などを見ていて、山本さんがベーシックインカムにはまったくふれていないのはなにか理由があるのか。また、先ほどいった2000万円をさっさと使ってしまって国におんぶに抱っこという意見に対して対処法などがあれば答えてもらいたい。

 

URL: https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/13933

 

 これに対する山本の答えが下記。

 

 山本 (略)ベーシックインカムとは、雑な言い方をすると、生きているということだけが条件でお金を国を配るという考え方だ。赤ちゃんからお年寄りまで、寝たきりであったとしてもお金が配られる。当初はベーシックインカムというものを検討する必要があると考えていた。しかしそこからいろいろ知っていくなかで、ベーシックインカムのなかにはみんなに与えるサービスを現金を渡すだけで終わりにするという考え方にも繋がる可能性があると知った。国が人人に対して最大限の投資をし、産業や雇用を守らなければならないという「大きな政府」という考え方の人間だけではなく、竹中平蔵さんのような極力受けられるサービスは削っていくというような「小さな政府」を目指す人たちにもベーシックインカムという考え方を持っている。

 

 行政サービスを極端に減らし、あとは現金で決着をつけるというような話になると命を失う人がいる。そいうことにも繋がりかねないようなベーシックインカム論になっていくのは怖いという思いがある。これからAI社会になっていって感情労働しか人間には仕事がなくなるという状況になったときに、いかにみんなが生活できるようにするかということになれば、企業側からお金をとりながらみんなにお金を配っていくということもある。でもここでただ配るだけでいいのか。国が人人を雇用し、それに対して報酬として渡すという形にするのかなどいろいろな話し合いが必要だ。

 

 ただ今みたいな不景気で、20年以上のデフレから脱却できていないという状況のときには当然経済政策として税ではなく新規国債を発行しお金を配ることができる。新規国債の制限されるものはインフレだ。インフレが制御できるのであれば現金を配ることも可能だが、別にこれは現金でなくてもいい。消費税廃止という形で財源をそれにあてるということも可能だし、人人の生活を底上げするためであればやり方はなんでもいい。

 

 ベーシックインカムについては今すぐに自分たちの公約のなかには入れない方針だ。しかし先々、すべてがAIのような状況になってしまって人間の仕事が奪われていくというようなことがあるという前提のなか、失業者が増えていくというときには国家が救うしかない。だからそのときにはお金を配るという行為ではなく、労働の対価として受けとれるような状況にする議論が必要だと思う。

 

URL: https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/13933

 

 ベーシックインカムミルトン・フリードマンの「負の所得税」と数学的に同値だとは以前松尾匡も言っていた。それに橋下徹ベーシックインカムを言い出した2012年の2月18日に、弊ブログは下記記事を公開して橋下流ベーシックインカム」を強く批判したことがある。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 上記記事中で、橋下の下記ツイート(当時)を批判した。

 

 

 2012年の弊ブログ記事から張ったリンクでは上記Xは表示されなかったので、現在のURLで13年前の橋下のツイート(当時)を改めてリンクした次第。これは明らかに「現物給付を止めて現金給付に代える」新自由主義の政策であって、これでは再分配の効果は小さくなる。こんなのは批判されて当たり前であって、もし山本が2019年になってやっとそのことに気づいたとするなら「遅すぎる」というほかない(実際にはボスだった小沢一郎の政策に追従していただけだと想像しているが)。

 ただ、上記長周新聞の記事中で赤字ボールドにした部分からわかることは、山本の「消費税減税」あるいは「消費税廃止」論はMMTに立脚しているということだ。ただ減税はMMT理論そのものには含まれない。減税の代わりに現物給付をすることもできるし(むしろその方が再分配の効果は高い)、増税も比例されない。それどころか、レバ子氏が指摘する通り、MMT理論を採用している米民主党サンダース派のアレクサンドリア・オカシオコルテス(AOC)は70%の所得税累進課税を2019年1月に主張した。

 

jp.reuters.com

 

www.bloomberg.co.jp

 

 山本太郎ベーシックインカムMMTを混ぜているというレバ子氏の批判が当たっているかどうかは私には(まだ)判断できないが、山本がAOCのような70%税率を提唱せずに「消費税減税」「消費税廃止」ばかりを言うというレバ子氏の山本太郎批判は妥当だと思う。山本だったらAOCみたいなことを言っても良さそうなものなのになぜ言わないか私にはわからないが、もしかしたら自分が「むしり取られる」のが嫌なのかなあと勘ぐりたくなる。これが玉木雄一郎になると、最初から夜警国家志向しかないのだから本当に論外もいいところだ。究極の新自由主義者。自民や維新よりももっと悪い。

 それにしてもレバ子氏が連打するXは、少なくとも今日調べた分についてはどれも出店をたどることができた。それだけしっかり頭に入っているということであり、舌を巻かされた。

 「積極財政を推進する地方議員連盟」への批判が途中で切れてしまったが(この議連はなにしろあの河村たかしを推薦しているのだからあまりのトンデモぶりにぶっ飛ぶほかない)、それは時間があれば改めて取り上げることにして、このエントリはレバ子氏による山本太郎批判の一連のXで締める。延々と書き続けたので長くなったし随分遅くなって三が日はもう終わってしまった。今年は幸いそのあとが土日だけれども。

 

 

 

 

 防衛国債安倍晋三も言ってたんだったけね。

 

mainichi.jp

 

 言ってみれば安倍の遺言である軍事予算倍増を岸田文雄が実行したわけだ。岸田というのも本当にどうしようもない奴だ。

 

 

 確かに上記Xの初めの方の部分が今一番腹立たしい風潮だし、それに山本一派の反撃があまりにない、というより全くないことには、「緊縮」の誤用の風潮と同じくらいむかつく。だから「山本には目指したい社会像がないのでは?」とか「乱世において打たれ弱いのでは?」などの痛烈な批判に溜飲が下がる。

 

 

 

 日本でも2021年を底に物価が上がり始めた。これをインフレと認めてしまうとMMTが怪しくなるから「デフレをまだ脱却できていない」と言っているのではないかと私は疑っている(自信はないけど)。しかし皮肉にも、物価が上がって人々の生活が苦しくなったから民民の玉木分派への支持が増えたように私には思われる。そしてそれは非常に危険な傾向だとも危惧している。

 

 

 「富裕層のための反緊縮」って玉キッズの主張そのものだよな。そしてそれを呼び込んだのが山本太郎だった。山本の罪は重い。