どのくらい影響力があるのかは全く知らないが、こんなのがあるらしい。
積極財政を推進する地方議員連盟 https://t.co/ZECyAlkSDB
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
よく知らなかった地方議員連盟が積極財政派として推しているのは国民民主党、れいわ新選組、参政党、日本保守党です。消費税を減税すれば積極財政だと勘違いしている節がありますが、本来の積極財政は減税する事を意味しません。日本で言えば田中角栄的公共事業ケインズ経済「も」当てはまるでしょう https://t.co/M17Iufygnr
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
「消費税を減税すれば積極財政だと勘違いしている節がある」と書かれているが、たぶんそれだけではない。たとえば共産党や社民党も消費税減税を主張しているけれども「積極財政派として推されて」はいない。それは、たとえば共産党は所得税の累進性強化や法人税増税などを求めているからであろう。つまりこの「地方議連」は「純減税イコール積極財政」とみなしているのであろう。元号新選組は実際には純減税は主張していなのではないかと思うが、「新選組イコール減税政党」と思っている人が少なくないのではないか。
「本来の積極財政は減税する事を意味しません」というのはあまりにも当たり前のことだが、その当たり前のことを理解していない人たちを大量に発生させてしまったところに、今の日本の政治や経済に関する状況を根本的に狂わせている。
おかげで再分配の概念などひどく曲解された世の中になってしまった。
再分配を弱者に現金をばら撒く事という批判を受けましたが再分配という概念は現金だけじゃありません。高い水準の公教育が受けられる設備を整える。市民が集う場を提供するための施設の維持費に使われる。医療機関にどこへ住んでいてもアクセスしやすくなる。そういったインフラを整えるのも再分配です
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
「再分配という概念は現金だけじゃありません」どころか、財政学においては現金給付よりも現物給付(上記Xにおいて現金の配り直し以外に挙げられているの例)の方が効果が高いとされる。
海外ではどうか知らないが、日本ではリフレ派の多くがMMT派に転じた。彼らは神野直彦や金子勝らをこき下ろしたが、神野は宇沢弘文(1928-2014)の高弟だ。その神野の弟子に当たるのが民進党のアドバイザーだった井手英策。私は神野は宇沢と比較してリアルの政治に対して妥協的に過ぎたし、井手に至ってはかなり保守性が強い(井手は前原誠司のブレーンだった)と考えているが、リフレ派右派やMMT右派は宇沢弘文のいう「社会的共通資本」を否定する人たちと言って良い。彼ら(高橋洋一や飯田泰之ら)は「新自由主義」に括られる人たちであって、彼らが批判する神野直彦や金子勝の比ではない論外の人たちだと考えている。もし10年前に亡くなった宇沢弘文が今も生きていて玉木雄一郎の主張を知ったら激怒することは絶対に間違いない。
親の年収で学歴が決まるのも、格差がある事の証明です。公共で運営されている教育機関を拡充させる事がその差を縮めることになる。選択と集中では単純に多くの教育格差を生み出します。そういう意味において歴代の富裕層にもしっかりと納税してもらう必要があります。逃税は許されない。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
自分だけの力で億万長者になった人はいない。税金で公教育が維持され、道路などインフラを整えたから、起業家も成功できた。という言葉をしっかりと噛み締めてほしいです。貴方達の成功は皆が出し合って整えた公共によるものです。それが欠けていたら今の貴方はいない。そしてそれは累進課税であるべき
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
上記Xは、あのにっくき「駅前は朝の七時」がリポストしていた。昨年4月の衆院東京15区補選で酒井菜摘が共産党の応援を得て2位以下を引き離して勝ったことが気に食わないらしくて事実無根のデマを垂れ流していた「駅前は朝の七時」でも上記Xには同意するのかと不思議に思った。もちろん上記Xはまっとうそのものの意見だ。
再分配という考え方をただ単純に現金を配る事のみだと考えているのだとしたら、非常に残念な事です。だから配るぐらいなら取るなという発想が出てくるのでしょう。どういう施設においても経費は発生します。受けたサービスだけが代金になるわけではないです。そうした発想は簡単に出てくるものですが。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
私は「配るぐらいなら取るな」という言葉に接するたびに頭に血が昇る。それは夜警国家を理想とする過激なネオリベラリストまたはリバタリアンの言い草であって、少し前なら相手にされなかった物言いだ。しかし今では「玉キッズ」の多くに好まれるフレーズになっている。新選組信者の中にもこのフレーズを好む人たちがいるかもしれない。
現代貨幣理論の名付け親でもあるビル・ミッチェル教授(豪州ニューカッスル大学)が来日した際、れいわ新選組の高井幹事長は自民党は10数人、立憲民主党4人、国民民主党から3人の参加者が来ていたと発信しています。6年前の話になります。れいわは比較的早くこの財政論にどこよりも前向きでした。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
これだな。
確かに高井崇志のウェブページにある。ただ、佐藤竜希という人の文責になっている。2019年12月3日のタイムスタンプがある。
MMT(現代貨幣理論)シンポジウム
2019年12月3日
最終更新日時 : 2021年3月15日
佐藤竜希
MMT(現代貨幣理論)の創始者の一人で、名付け親でもあるビル・ミッチェル教授が来日しており、院内で開かれたシンポジウムに参加しました。
ミッチェル教授によれば、これまでの主流派経済学では、少子高齢化や地球温暖化等の諸問題を解決することはできず、MMTを採用し、財政支出を大幅に増やすことが必要とのこと。
MMTに基づく政策とは、
〇インフレ率が2~4%に収まるように、様々な「財政・金融政策&税政策」を講ずる。
〇インフレ率が2~4%に収まらない場合には、政府の貨幣供給量=財政赤字を裁量的に調整し、インフレ率の適正化を図る。
〇つまり、日本の財政規律の目標を、「プライマリーバランスの黒字化」ではなく、「インフレ率の適正化」とする。
意外だったのは、自民党の参加者が多く、私が確認した範囲では、自民党10数名、立憲民主党4名、国民民主党3名でした。
ただ、弊ブログに最初に「MMT」が初めて、「国家社会主義者・三橋貴明」の名前とともに出てきたのは2019年5月25日の下記記事だ。
日本では山本太郎よりもっと早い段階から三橋貴明のような極右がMMTに目をつけていたのではないか。私がMMTに近寄らないようにしたのは右派に対する警戒感からだったように記憶する。
元々アレクサンドリア・オカシオ・コルテスが政治家として提唱した財政論なのだから、仮にも急進左翼を名乗る山本太郎が飛びつかないわけがないです。山本は忘れてはいけないから覚えている私が何度も言いますが小沢一郎傘下の時代はベーシックインカム論を推進していました。小沢の持論でしょう。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
私の認識では山本太郎は別に「急進左翼を名乗」ってはいない。それどころか2013年には東京スポーツのインタビューで自らを「保守ど真ん中」と言っていた。残念ながら東京スポーツの元記事はリンク切れだが、弊ブログの下記記事に、ごく短い1行だけの引用だが記録してある(2016年10月10日付)。
山本は2013年11月に東京スポーツのインタビューに答えて
僕のポジションがどうこう言われれば“保守ど真ん中”です。
と明言している*2。
URL: https://kojitaken.hatenablog.com/entry/20161010/1476110182
また、もっとわかりやすい例としては下記2018年の日刊スポーツの記事がある。
タイトルに "山本太郎氏が与党に「保守と名乗るな」と怒り絶叫" とあるが、普通に考えれば山本自身が保守を自認していなければこんな言葉は出てこない。
また新選組の正式な党名は現元号が上につくし、安全保障政策のブレーンは「新9条論者」の伊勢崎賢治だ。つまり新選組は9条改憲政党である。
私は「保守(右翼)の論客が飛びついた経済理論で、しかも左翼にも訴求力がある」ことから山本がMMTに飛びついたのではないかと考えている。脱原発で売り出した山本だから、新選組の支持者には「リベラル・左派」が多く、いかな独裁者・山本といえども彼らの意向を無視した党運営はできない。
しかし以上はたいした問題ではない。重要なのはBIからMMTへの転向だが、これはあの『長周新聞』に山本がその経緯を語っていた。
下記は同紙の2019年10月31日付記事。非常に長い。
福岡での街頭演説で、山本は下記の質問を受けた。
9月29日付のニュース記事で岩手県の衆議院議員・階猛氏の、消費増税はせずに月8万円のベーシックインカムで年金はまかなえるという記事が出ていた。もう一つは2016年に山本さんが小沢さんと一緒にやっていたときの「生活の党と山本太郎と仲間たち」はベーシックインカムを明確に参議院選挙の公約にしてたたかっていた。しかしこれまでれいわ新選組の動画などを見ていて、山本さんがベーシックインカムにはまったくふれていないのはなにか理由があるのか。また、先ほどいった2000万円をさっさと使ってしまって国におんぶに抱っこという意見に対して対処法などがあれば答えてもらいたい。
これに対する山本の答えが下記。
山本 (略)ベーシックインカムとは、雑な言い方をすると、生きているということだけが条件でお金を国を配るという考え方だ。赤ちゃんからお年寄りまで、寝たきりであったとしてもお金が配られる。当初はベーシックインカムというものを検討する必要があると考えていた。しかしそこからいろいろ知っていくなかで、ベーシックインカムのなかにはみんなに与えるサービスを現金を渡すだけで終わりにするという考え方にも繋がる可能性があると知った。国が人人に対して最大限の投資をし、産業や雇用を守らなければならないという「大きな政府」という考え方の人間だけではなく、竹中平蔵さんのような極力受けられるサービスは削っていくというような「小さな政府」を目指す人たちにもベーシックインカムという考え方を持っている。
行政サービスを極端に減らし、あとは現金で決着をつけるというような話になると命を失う人がいる。そいうことにも繋がりかねないようなベーシックインカム論になっていくのは怖いという思いがある。これからAI社会になっていって感情労働しか人間には仕事がなくなるという状況になったときに、いかにみんなが生活できるようにするかということになれば、企業側からお金をとりながらみんなにお金を配っていくということもある。でもここでただ配るだけでいいのか。国が人人を雇用し、それに対して報酬として渡すという形にするのかなどいろいろな話し合いが必要だ。
ただ今みたいな不景気で、20年以上のデフレから脱却できていないという状況のときには当然経済政策として税ではなく新規国債を発行しお金を配ることができる。新規国債の制限されるものはインフレだ。インフレが制御できるのであれば現金を配ることも可能だが、別にこれは現金でなくてもいい。消費税廃止という形で財源をそれにあてるということも可能だし、人人の生活を底上げするためであればやり方はなんでもいい。
ベーシックインカムについては今すぐに自分たちの公約のなかには入れない方針だ。しかし先々、すべてがAIのような状況になってしまって人間の仕事が奪われていくというようなことがあるという前提のなか、失業者が増えていくというときには国家が救うしかない。だからそのときにはお金を配るという行為ではなく、労働の対価として受けとれるような状況にする議論が必要だと思う。
ベーシックインカムがミルトン・フリードマンの「負の所得税」と数学的に同値だとは以前松尾匡も言っていた。それに橋下徹がベーシックインカムを言い出した2012年の2月18日に、弊ブログは下記記事を公開して橋下流「ベーシックインカム」を強く批判したことがある。
上記記事中で、橋下の下記ツイート(当時)を批判した。
ベーシックインカムは不可能な制度だと言われています。だけど研究の一考はある。これは単純なばらまきではありません。福祉国家を歩みつつある日本。複雑怪奇な補助・助成制度。これによって行政組織は肥大化。色んな中間団体が存在し、天下りもごろごろ。これをバサーット整理する。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) 2012年2月16日
2012年の弊ブログ記事から張ったリンクでは上記Xは表示されなかったので、現在のURLで13年前の橋下のツイート(当時)を改めてリンクした次第。これは明らかに「現物給付を止めて現金給付に代える」新自由主義の政策であって、これでは再分配の効果は小さくなる。こんなのは批判されて当たり前であって、もし山本が2019年になってやっとそのことに気づいたとするなら「遅すぎる」というほかない(実際にはボスだった小沢一郎の政策に追従していただけだと想像しているが)。
ただ、上記長周新聞の記事中で赤字ボールドにした部分からわかることは、山本の「消費税減税」あるいは「消費税廃止」論はMMTに立脚しているということだ。ただ減税はMMT理論そのものには含まれない。減税の代わりに現物給付をすることもできるし(むしろその方が再分配の効果は高い)、増税も比例されない。それどころか、レバ子氏が指摘する通り、MMT理論を採用している米民主党サンダース派のアレクサンドリア・オカシオコルテス(AOC)は70%の所得税累進課税を2019年1月に主張した。
山本太郎がベーシックインカムとMMTを混ぜているというレバ子氏の批判が当たっているかどうかは私には(まだ)判断できないが、山本がAOCのような70%税率を提唱せずに「消費税減税」「消費税廃止」ばかりを言うというレバ子氏の山本太郎批判は妥当だと思う。山本だったらAOCみたいなことを言っても良さそうなものなのになぜ言わないか私にはわからないが、もしかしたら自分が「むしり取られる」のが嫌なのかなあと勘ぐりたくなる。これが玉木雄一郎になると、最初から夜警国家志向しかないのだから本当に論外もいいところだ。究極の新自由主義者。自民や維新よりももっと悪い。
それにしてもレバ子氏が連打するXは、少なくとも今日調べた分についてはどれも出店をたどることができた。それだけしっかり頭に入っているということであり、舌を巻かされた。
「積極財政を推進する地方議員連盟」への批判が途中で切れてしまったが(この議連はなにしろあの河村たかしを推薦しているのだからあまりのトンデモぶりにぶっ飛ぶほかない)、それは時間があれば改めて取り上げることにして、このエントリはレバ子氏による山本太郎批判の一連のXで締める。延々と書き続けたので長くなったし随分遅くなって三が日はもう終わってしまった。今年は幸いそのあとが土日だけれども。
足りない分は公債で財源を作るという理論自体は古くからありましたが、それが国家の破綻、デフォルトを意味しない、インフレが起こらないという理論の体系化がなされたのは比較的最近の話です。だから山本太郎は私は飛びついたという印象が深いです。いわんや山本以下郎党においてもです。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
今や山本郎党の1人になっている高井崇志は江田五月直系だったため、不祥事起こした後も江田が頭を下げさせ続けた人というイメージしかないですが、随分と山本郎党になりイキイキしているように見えます。菅直人が内閣を総辞職した後は馬淵澄夫の推薦人までなってしまったそうなので、何を思ったやら
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
むしろ自民党に現代貨幣理論を大っぴらに公言する人がいる事も正直驚きです。海外の右派は政策が現代貨幣理論に近くても自分がそうだという機会はほとんどゼロに近いです。ただ日本の場合は西田昌司中心に右翼や極右が好意的にケルトン教授を持ち出す。挙句防衛国債がどうだという話を持ち出す。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
言ってみれば安倍の遺言である軍事予算倍増を岸田文雄が実行したわけだ。岸田というのも本当にどうしようもない奴だ。
緊縮という言葉や積極財政という言葉をわざと混同させるような最右翼の思想ですが、その一端には山本太郎郎党の反撃があまりにない。本来こうした社会像を目指したいというものがあって然るべきですが、山本にはそうしたものがないのでは?だから宗旨替えも厭わないし、乱世において打たれ弱いのでは?
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
確かに上記Xの初めの方の部分が今一番腹立たしい風潮だし、それに山本一派の反撃があまりにない、というより全くないことには、「緊縮」の誤用の風潮と同じくらいむかつく。だから「山本には目指したい社会像がないのでは?」とか「乱世において打たれ弱いのでは?」などの痛烈な批判に溜飲が下がる。
私は山本太郎には批判的です。れいわ労働政策というものを読んでみましたが、彼らは介護保険も第二の税金と言い切る組織なので情け容赦なく批判しますが、最近はまるで憑き物が落ちたかのように政策は一才語らなくなった。以前は実現性はどうあれあれをするこれをすると言ったものです。限界では?
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
ケインジアン主流派も別に積極財政という概念は否定的ではなく、むしろ財政出動は行うべきだ。ここ30年はあまりにも軽視したという主張が大半です。その同じケインジアンの中でも現代貨幣理論はインフレはコントロールできるという持論が懐疑的で疑問視されているのです。左右関係なく。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
日本でも2021年を底に物価が上がり始めた。これをインフレと認めてしまうとMMTが怪しくなるから「デフレをまだ脱却できていない」と言っているのではないかと私は疑っている(自信はないけど)。しかし皮肉にも、物価が上がって人々の生活が苦しくなったから民民の玉木分派への支持が増えたように私には思われる。そしてそれは非常に危険な傾向だとも危惧している。
積極財政自体は否定されていないです。問題はその理論が目新しいので細部どころか肝心の部分もしっかり体系化されているか?を問われているのです。必要な課税強化を緊縮と言われるなら、それはもう富裕層のための反緊縮です。最近はウォール街も現代貨幣理論に夢中になっているとの報道も。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2025年1月3日
「富裕層のための反緊縮」って玉キッズの主張そのものだよな。そしてそれを呼び込んだのが山本太郎だった。山本の罪は重い。