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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

社民党・吉田党首「民進党と合流も選択肢」 参院選向け(朝日)

昨日(12日)、社民党は「国民怒りの声」の統一名簿に参加すべし、と書いたら、タイミング良くというかこんなニュースが流れてきた。

http://www.asahi.com/articles/ASJ5D4VLWJ5DUTFK00G.html

社民党・吉田党首「民進党と合流も選択肢」 参院選向け
2016年5月12日17時43分

 社民党吉田忠智党首は12日の党常任幹事会で、「(参院選が)非常に厳しい状況なので、民進党との合流も選択肢として考えないといけない」と述べた。党勢の低迷が指摘されるなか、社民を解党したうえで民進党と合流することを選択肢の一つとして検討する考えを示した。

 出席者によると、吉田氏は他の党幹部らと、憲法学者小林節慶応大名誉教授が設立する政治団体「国民怒りの声」への対応を協議。その際に民進への合流に言及したという。

 社民の国会議員は現在、衆院2人、参院3人。このうち、参院比例選出の吉田党首と福島瑞穂副党首は、いずれも今夏の参院選で改選となる。2013年参院選では、獲得議席が1議席にとどまっていた。

朝日新聞デジタルより)


報棄てでもNEWS23でも、その他諸々のニュースとして扱っていた。NEWS23では、民進党への合流に前向きな吉田忠智党首と消極的な前党首の福島瑞穂とが対照的に扱われていて、私はふんぞり返っている福島瑞穂に悪い印象を持った。それでなくても、社民党がここまで衰退したことには、福島瑞穂の責任が極めて重いと私は以前からずっと思っている。

両者の態度はわかりやすいといえばあまりにもわかりやすい。このまま社民党単独で参院選に突っ込んだ場合、吉田党首の落選は必至である一方、福島瑞穂には根強い個人人気と社民党の固定票があって、1議席、すなわち福島瑞穂だけの当選は堅いと思われるからだ。だから福島瑞穂はふんぞり返っていられるんだよな、と冷ややかに思った。

現実問題としては、あの民進党社民党への合流を認めるはずがない。だから、社民党の選択は「国民怒りの声」の統一名簿への参加の一拓だと私は思う。「撃ちてし止まん」で社民党単独で戦うのは勝手だが、生産性ゼロだと私は思うのだ。

なお、上記に朝日新聞デジタルの記事を引用したが、今朝(5/13)の朝日新聞の3面と4面にも関連記事が出ている。3面記事は上記朝日新聞デジタルの記事をもう少し詳しくしたもので、高橋健次郎記者の署名がある。上記引用記事のうち、「その際に民進への合流に言及したという。」の部分が、下記のように詳しく書かれている。

その際に参院選に向けた選択肢として、社民を存続したまま比例区候補が「国民怒りの声」の「統一名簿」に参加▽社民単独で戦う▽民進に合流――の三つに言及したという。

 吉田氏はこの日、党内議論の内容を民進岡田克也代表にも説明した。ただ、社民党内には民進への合流に否定的な意見が根強く、地方組織の意見も踏まえて月内に結論を示すという。一方、民進幹部は、社民との合流について「現実的には無理だ」との見方を示している。

(2016年5月13日付朝日新聞3面掲載 高橋健次郎記者署名記事より)


民進党との合流は、社民党内に反対が強く、民進幹部とやらも無理だと言っている通り現実性はない。それなら、玉砕戦法ではなく、社民党自身もこれまで訴えてきたはずの比例代表制の意義を世に知らしめるためにも、小林節の「国民怒りの声」の統一名簿への参加しか今後の社民党の道を開くための選択肢はないと強く訴える次第だ。

なお、昨日の記事のコメント欄でも比例代表制についての議論がされているけれども、私が苦々しく思い出すのは、2013年の参院選に落選した三宅洋平を後押しした田中龍作が比例代表制をdisった恥ずべき言説だ。当時、私も田中を強く非難する記事を書いたが、今日はネット検索でみつけた記事から引用する。

「非拘束名簿式比例代表制」のわかりづらさ - Melting Potより

(前略)田中龍作という人が、以下のようなツイートをしていた。、運動の現場に密着した取材で原発レイシズムなど社会問題の告発をしており、尊敬に値する独立系ジャーナリストの1人だ。※この評価は現在、撤回しております。

17万6,970票を獲った三宅洋平氏が落選し、10万4,176票のワタミ氏が当選する。 大政党ほど有利になる比例区のシステムは、民主主義のシステムを破壊するものだ。https://twitter.com/tanakaryusaku/status/359512730278961155


これでは、私が記事内で説明した選挙システムを知らない人にとっては、「そうか、比例代表制は大政党有利で民主主義を破壊するのか」と受け止めかねない。というか、素直に文面だけを読めばそうなるだろう。

これは、比例代表制を否定する、明らかなミスリードである。大政党有利なのは、あくまで小選挙区制である。これは、昨年総選挙の「得票と議席数の乖離」を見ても明らかだ。それを少しでも緩和する役割が並立の比例代表制にはあるのだが、自公政権はその比例代表制部分で定数を削るという、民主主義への攻撃を仕掛けてきている。そういう時に、影響力のあるジャーナリストのこの発言は、私にとって看過できないものである。

票数による当落の違いを指摘するのであれば、「鳥取選挙区にてまいたち昇治候補、16万票で当選」に対して「東京選挙区ですずきかん候補、55万票獲得して落選」の方を問題にするべきだろう。これは「一票の格差」として、裁判所で違憲判決も出されている、国民の選挙権に関する重大な不平等である。

ご自身が選挙制度についての理解が不足していたのか、あるいは表現が適切でなかったと考えるのであれば、それなりの対応をしていただきたいものである。最初に記事を書いた時点(7/23、21時半ごろ)で600あまり、現在(7/25、16時)で900あまりリツイートされており、その影響力は無視できないものがある。

意図的なのであれば悪質なデマゴギーと言うほかない。現在、田中龍作氏にはなんどかtwitterでメンションを送っているが、残念ながら現在のところリアクションがない。

7/30追記

田中龍作氏は、私に対してメンションしてくることはなく、以下のような記事を書いていた。
大政党ほど有利 「比例していない比例選挙」とは…
http://tanakaryusaku.jp/2013/07/0007625

じゃあ、どうしろと言うのか。結局、1議席あたりおよそ100万票という当選ラインであることを無視して、「社民党は120万票なのに1議席しか取っていない。やはり大政党有利だ」と書いている。的外れもいいところだ。

比例配分に関して、ドント方式が、他の「少数政党有利」に修正を加えた方式に比較して、やや大政党有利な傾向があるのは確かだ。しかし、その誤差はわずかであり、定数が多ければ解消される。今回の参院選で言うなら、選挙区を無くしてすべて比例代表制にすれば、ドント方式とその他方式の差はほとんどなくなるだろう。そして何より、ドント方式は「計算が単純明快であり、誤解や矛盾の生じる余地がない」という点で、その欠点を超える利点を持っているのである。


三宅洋平ももう一度「国民怒りの声」の「統一名簿」に載せてもらって参院選に参戦してはどうかと思う。もちろんその場合、私は三宅以外の人間に投票するよう呼びかける、つまり三宅の落選キャンペーンを張るが、とにかくどんなことをしてでも「国民怒りの声」の「統一名簿方式」に関心を持ってもらうことが必要だと強く信じる次第である。