kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

古舘伊知郎インタビュー(5/31朝日)寸評

朝日新聞(5/31)オピニオン面に古舘伊知郎のインタビューが出ている。古舘は明日(6/1)、トークライブで「復帰」するとのこと。調べてみると、東京・恵比寿のアクト・スクエアで開催されるトークライブ『微妙な果実〜トーキングフルーツ』に出るらしい。

見出しに「予定調和破れず 自制と葛藤あった 反権力には自負」とある。この最後の「反権力」について、古舘は、自分には筑紫哲也岸井成格のような「ジャーナルな目線」はあまりなかったが、「ただ、テレビという情動のメディアで、反権力、反戦争という姿勢は持ち続けようとやってきた。その自負は、あります」(カギ括弧内は記事中の古舘の言葉からの引用。以下同様=引用者註)という。

確かに古舘には「反戦争」の明確なスタンスはあった。だが、「反権力」については必ずしも合格点はやれない。というのは、2005年の郵政解散・総選挙で古舘は思いっ切り小泉純一郎を援護したからである。あれは今思い出しても腹が立つほどひどかった。また古舘には財務省的な目線があり、しばしば俗流財政再建至上主義的コメントを出しがちだった(これは朝日・毎日新聞の論調とも共通するものではあるが)。

また古舘は、「原発事故後の福島の甲状腺がんの特集も、ドイツのワイマール憲法の特集も、考え方が違う人は『偏っている』と言う」と言っている。古舘降板直前のワイマール憲法の特集に関しては、私もこの日記で絶賛した。しかし、福島の甲状腺がんの特集に関しては、私は古舘が脱原発を言い出すよりずっと前からの反原発派を自負する人間だが全く評価しない。事実認識が間違っているからである。甲状腺がんを「全数検査」すれば、福島ならずとも従来の数十倍の罹患者がみつかっても不思議はない。甲状腺とはそういうがんなのだ。甲状腺がんの検査については、下記記事などを参照されたい。


私は、誰についてもいえることだが、反原発派・脱原発派を自認する人間は特に事実認識には厳しくなければならないということを信条にしている。その評価基準に照らし合わせると、古舘時代の報ステ原発報道にも、3月に終わった朝日新聞の「プロメテウスの罠」にも合格点はやれない。それでなくても、反原発派・脱原発派には九州のデマ医師・小野某(onodekita。ブログ「院長の独り言」主宰者)を持ち上げたり、すぐ切れることで悪評の高いブロガー・座間宮ガレイを生み出したりした前科がある。これらが反原発脱原発界隈全般の評判を下げた悪影響は計り知れない。

古舘は岸井成格にも国谷裕子にも会ったことがないという。そういえば、岸井成格はよく田原総一朗らとともに高市早苗の電波停止発言に抗議を行うなどしていたが、古舘はそういう抗議行動に参加したことは一度もなかった。

読み終えて、古舘はよく健闘したとは辛口の私も認めるけれども、やはりネガティブにならざるを得ない点が多いと思った。早い話が最後まで古舘を好きにはなれなかったのだった。