kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

蓮舫「二重国籍」の言いがかりと、池田信夫・産経・朝日のていたらく(呆)

来週の火曜日頃まではほとんど暇がないので、ここ数日はネットどころか本も読めない状態だが、今朝久しぶりにちょっとネットを覗いてみると、やはりというべきか、東京都知事選惨敗後の「リベラル」論陣は惨憺たる様相を呈していて、見るべき文章がほとんどなかった。論者の多くもすっかり意気消沈しているようだ。

中には、東京都知事選を制した小池百合子と「都議会自民のドン」内田茂との(括弧付きの)「バトル」に興味をつなごうとする「リベラル」のブログなどもあるようだが、「小池対ドン」の記事なんか何もわざわざ「リベラル」のブログなんか見に行かなくったって、産経系列の『夕刊フジ』をはじめとする保守系・右翼系の媒体、それに保守系ブログなどでいくらでも読める。そのせいもあってか、「小池対ドン」の記事にかまける「リベラル」のブログには、ここ最近はコメントもほとんどつかなくなっている。

しかし、その『夕刊フジ』が当てる焦点が、ここにきて「小池対ドン」から「蓮舫の国籍問題」に(一時的にかもしれないが)変わった。この件には一昨日(9/6)あたりから朝日も追随を始めた。今朝(9/8)の朝日新聞3面にも出ている。記事は有料で、冒頭部分のみ記された記事にリンクを張ると、またぞろ「朝日新聞デジタルの登録へ誘導している」と言わんばかりの、あたかも私が朝日の回し者であるかのような言いがかりをつけるふざけた読者がいるので、当該記事の書き出しのURLへのリンクは張らない。

朝日の紙面の記事には、その後半に「ネットから批判広がる」との小見出しがついている。その小見出しに続く部分を引用する。

 蓮舫氏への批判が広がったのは、元通産官僚の大学院教授の指摘を、ネット上の言論サイト「アゴラ」が取り上げ、夕刊フジが報道したのがきっかけ。産経新聞は6日付朝刊で「蓮舫氏くすぶる『二重国籍』」との見出しで、「深刻な問題が浮上している」と報じた。

 政権与党からも「国会議員としてどうか」(閣僚の一人)との声があがる。

(2016年9月8日付 朝日新聞3面掲載記事より


この記事は無署名だが、なんとも腰の引けまくった「客観報道」スタイルの情けない記事である。

ところで「アゴラ」といえば主宰者はかの池田信夫(ノビー)だが、その「アゴラ」系列だったと記憶する「BLOGOS」に下記の記事が出ている。


この件は、ノビーが火をつけて夕刊フジが延焼させたもののようだ。

記事の後半部を以下に引用する。

(前略)
 これはネットデマではないのか。
 池田氏は、確信犯的にそれをやっているのではないか。

 池田氏が記事で挙げている、この問題で先鞭をつけたらしい八幡和郎氏も、先に挙げた産経のインタビューを受けて書かれた「蓮舫さんが国籍問題を語ったものの謎は深まる」という記事で、

蓮舫さんは生まれたときは中華民国籍だった。17歳のときに法律が変わって日本国籍も与えられて二重国籍となったが、22歳までに日本国籍を選択宣言した。しかし、そのあと、日本の法律で要求されている中華民国籍の離脱手続きをして二重国籍を解消したかどうかは、日本側では分からない(実際にはしない人がかなり多い)。蓮舫さんが自身で説明し証明するしかなく、ぜひ、お願いしたいというのが本問題だ。

と述べているが、先に述べたように日本の国籍法はそんなことを要求してはいない。

 そもそも、中華民国の国籍離脱手続を取れといったって、わが国はその中華民国を国家として承認していないのである。そんなものに何の効力があるのだろうか。
 では、わが国が承認している中華人民共和国政府が国籍離脱を許可すべきなのだろうか。しかし、1967年生まれの蓮舫氏の国籍が中華人民共和国にあるとも思えない。
 そして、わが国における蓮舫議員の国籍選択は既に完了しており、わが国の当局が蓮舫議員に国籍離脱の証明を要求しているわけではないのである。そんなことに何の意味があるというのか。
 これは一種の人民裁判ではないか。

 昨日そんなことを思っていたら、今日、蓮舫議員が台湾籍を放棄する手続をとったとの報道を読んだ。

蓮舫氏、台湾籍放棄手続き 二重国籍の指摘受け

 民進党代表選(15日投開票)に立候補している蓮舫代表代行(48)は6日、台湾籍を放棄する書類を、東京都内にある台北駐日経済文化代表処に提出した。高松市内での代表選候補者の共同記者会見で「台湾籍を放棄する手続きをとった」と明らかにした。

 蓮舫氏は日本国籍を取得しているが、父(故人)が台湾出身で、台湾との「二重国籍」の可能性が一部報道で指摘されていた。

 蓮舫氏は会見で、17歳だった1985年、「父と一緒に東京にある台湾の代表処に行って、台湾籍放棄の手続きをしている」と説明した。

 ただ、「(代表処での)やりとりが台湾語だったので、どういう作業が行われていたかわからなかった。私は台湾籍の放棄をしたと思っている。父を信じて今に至っている」とも述べた。

 蓮舫氏は続けて「台湾に確認を求めているが、まだ確認が取れていない。少し時間がかかるかもしれない。(このため)台湾の代表処に対して台湾籍を放棄する書類を提出した」と明らかにした。

 蓮舫氏は3日の読売テレビの番組でも二重国籍の可能性を指摘され、「(台湾)籍を抜いています。高校3年の18歳で日本人を選びましたので」と語っていた。

 台湾の法律では、親が台湾籍を喪失すれば、未成年者も台湾籍を喪失できる。東京の代表処でも届け出を受け付けることができ、台湾内政部に許可を求める。ただ、蓮舫氏が説明した台湾籍喪失の手続きの時点で、父も手続きをしていたかどうかは明らかになっていない。


 この朝日新聞デジタルの記事も、蓮舫氏が国籍法上解消すべき二重国籍の状態でもでも何でもないことに触れていない、誤解を招くものであり、残念に思う。

 八幡氏や池田氏らはこの蓮舫議員の対応を自分たちのネット言論の勝利だと考えるのかもしれないが、私には、先のビジネスジャーナルの虚報にも似た、ネットメディアの信頼性を失わせる実に愚劣な騒動だったと思える。

(深沢明人「蓮舫議員の二重国籍疑惑はネットデマでは?」 2016年09月07日 12:00 より)


まったくだ。

ノビーらが搗き、夕刊フジや産経が捏ねた「国籍法餅」を朝日その他が無批判に拡散しているという構図のようだ。座りしままに食うのはもちろん安倍晋三らであろう。8年前に城内実は国籍法改正に反対してURLに「bakawashinanakyanaoranai」という文字列を含む醜い記事を書いて世の人々の顰蹙を買ったが、今や日本中が城内実だらけのようだ。


蓮舫を含む民進党代表選の3候補はいずれも右派に属する政治家であって(彼らは、3人の誰をとっても長島昭久との距離はほとんどないように私には思われる)、その「論戦」とやらには空しさしか感じないが、そんな右派政治家の蓮舫に対してさえ言いがかりをつける右翼(ノビー、夕刊フジ、産経)、それに対してろくに批判もできない朝日など「リベラル」の双方ともに対して、暗澹たる気分にさせられる。

またぞろ「批判する言論が絶え果てた『崩壊の時代』」という、4年前に坂野潤治が書いた言葉を思い出す今日この頃なのである。