kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

玉木正之『「大相撲八百長批判」を嗤う』を読んで「小池劇場」「籠池劇場」を連想した

そういや6年前に東日本大震災が起きる直前まで、テレビのワイドショーは大相撲の八百長を連日騒いでたんだったな。図書館から借りた下記の本を読んで思い出した。


「大相撲八百長批判」を嗤う

「大相撲八百長批判」を嗤う


著者の玉木正之氏には80年代後半頃にはまっていたが、のち批判を強めて今に至る。本書に対する私のスタンスは半分支持、半分不支持といったところだが、ワイドショーで普段相撲に関心のないコメンテーターが繰り広げた八百長批判に、故北の湖親方が理事長をやっていた頃の相撲協会が『週刊現代』を提訴した拙劣な対応が火に油を注いだ形になり、八百長相撲の中身に言及した携帯メールの発覚から大量の力士や親方の処分につながった経緯は、最近の政治に関する2つの件を思い出させるものだ。

1つは昨年の舛添バッシング、もう1つは現在ワイドショーでもっとも人気のあるトピックであるに違いない「アッキード事件森友学園事件)」だ。

前者ではワイドショーの舛添バッシングが小池百合子という極右新自由主義者のアブナイことこの上ない新都知事を誕生させたうえ、今度はその小池を過剰に持ち上げる「小池劇場」を同じワイドショーが主導した。

後者では、政権の籠池泰典切り捨ての方針が出た途端繰り広げられたワイドショーの籠池バッシングに菅野完氏が逆襲し、「安倍昭恵からの100万円寄付」だの「安倍昭恵が籠池諄子に送った携帯メール」だのが次々と登場してワイドショーの題材になり、各局は安倍晋三への批判だけは慎重に避けながらも、それ以外の諸々にはバカ騒ぎするというわけのわからない流れになった。ワイドショーが本来狙っていた籠池バッシングがあちこちに飛び火する奇観を呈しているが、これらは「籠池劇場」と総称できるだろう。

玉木氏の本のサブタイトルは「幼稚な正義が伝統を破壊する」だが(この本で著者が擁護している大相撲の「伝統」に対して私自身は懐疑的であることを申し添えておく)、昨年来の東京都政については、「ワイドショーのいかさまな正義が都政を破壊し、『都民ファ□ストの会』なるモンスターを生み出した」といえるだろう。また、アッキード事件森友学園事件)については、その「ワイドショーのいかさまな正義」が、菅野完の参戦(というか舞台への飛び入り)などにより生じた現在のカオス(渾沌)を経て「日本会議のいかさまな伝統」を破壊するという「瓢箪から駒」になってくれれば良いのだが、と思う今日この頃。

もちろん、そうは問屋が卸さないだろうなと半分覚悟はしているが。