ここ数日、およそ半年前に書いた記事を何度か読み直していたのだった。
長島昭久の離党は「民進党崩壊の始まり」だ - kojitakenの日記(2017年4月8日)より
上記リンク先の記事の書き出し↓
長島昭久の民進党離党届提出について、「リベラル・左派」の間には歓迎の声が強いが、私には民進党崩壊の始まりにしか思えない。
記事の結び↓
本当は、日本からもポデモスやバーニー・サンダースやジェレミー・コービンが出てきて一大政治勢力にならなければならないし、そういう政治勢力を作るためには今から民進党の崩壊を見越した政治運動を立ち上げなければならないと思うのだが、「長島昭久の離党は民進党や『野党共闘』にとってプラスだ」みたいな根拠のない楽観論しか唱えられない「リベラル・左派」の現状は、あまりにもお寒い限りだ。
そしてついにその日がきた。前原誠司が小沢一郎を介して小池百合子と三者で密室談合し、民進党を小池に売り渡したのだ。もちろん小池が民進党を丸々受け入れるはずがない。民主党政権時代の失敗を押しつけるための「スケープゴート」を排除した上で、右翼議員だけを選抜することは間違いない。数日前に、異変を察知したらしい菅直人が急に小池にすり寄ったが、当然ながら菅などは真っ先に排除される人間だ。もっとも菅の場合は前回衆院選でも「最後の当選者」だったし、もう政治的勘もすっかり衰えているから、衆院選には立候補せず引退して「脱原発」を叫びながら余生を送れば良い。
前原、小沢、小池の密室談合については、共同通信が短い記事を配信している。
https://this.kiji.is/285637269003584609?c=113147194022725109
民進、新党参加の容認を検討
前原、小池氏ら極秘会談
民進党の前原誠司代表が、小池百合子東京都知事が設立した国政新党「希望の党」への参加を望む議員の離党を容認する案を検討していることが分かった。安倍政権に対抗し、政権交代の受け皿になるには野党勢力の結集が必要と判断した。小池氏や自由党の小沢一郎共同代表と今月下旬に都内で極秘に会談していたことも判明した。複数の関係者が27日明らかにした。衆院選に向け野党再編が加速する見通しだ。ただ民進党内には小池新党との連携への慎重論も根強く、党内調整の難航が予想される。大量離脱による党分裂の可能性も出てきた。
(共同通信 2017/9/27 14:25)
小沢一郎の「最後の剛腕」だな。そう思った。この共同通信の記事を知る前から、党を丸ごと小池百合子に売り渡そうとする前原誠司の行動は、「口先番長」の異名からもうかがわれる通り行動力を全く欠く前原らしからぬものだったので、これは背後に小沢がいるな、と思ったら案の定だった。
「民進党信者」や「小沢信者」の反応が知りたいと思うが、後者のうち左寄りの人間の中には小沢を完全に見切って激烈な小沢批判をするようになった人もいるし、かと思えば右寄りの人間の中には「希望の党だろうが何だろうが、勝って、生き残れ!」と檄を飛ばす人間もいる。どこまでも小沢についていく、というわけだ。小沢はもともとタカ派の政治家であり、その本性は1989年の海部俊樹政権下で自民党幹事長に就任した時から今に至るまで何も変わっていない。だから、「右」の人間だけが小沢についていく。
上記共同通信の記事の1時間前には、時事通信が下記記事を配信していた。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017092700618&g=pol
民進・自由、合流へ調整=希望と連携模索−前原、小沢氏【17衆院選】
民進党の前原誠司代表が26日に自由党の小沢一郎代表と会談し、衆院選前の両党合流へ調整する方向で合意したことが27日、分かった。関係者が明らかにした。両氏は合流後に小池百合子東京都知事が代表を務める新党「希望の党」と選挙区の候補者調整に入りたい考え。ただ、民進党内には自由党との合併に反対論があり、前原氏の決断が焦点となる。
関係者によると、連合の神津里季生会長も会談に同席。連合は合流を支持する見通しだ。
一方、民進党の柚木道義衆院議員は大島敦幹事長と党本部で会い、衆院選で希望の党など自民党以外の政党との競合を避けるため、「発展的解党」を含めた新たな枠組みづくりが必要だとする申し入れ書を提出した。柚木氏によると、玉木雄一郎、小川淳也両衆院議員らも同じ考えだという。
前原氏は野党連携の進め方を最終判断し、28日の党両院議員総会で提案する意向。ただ、党内がまとまるかは予断を許さず、前原氏が強引に合流を進めれば党分裂や解党につながる恐れもある。
一方、自民、公明両党幹部は同日午前、東京都内で会談した。10月の衆院選について、希望の党の旗揚げで「厳しい戦いになる」との認識で一致。安倍晋三首相が勝敗ラインに掲げた「与党過半数」獲得へ結束して臨むことを確認した。
会合後、公明党の斉藤鉄夫選対委員長は記者団に、先の都議選で連携した小池氏との衆院選での選挙協力について、「自公で政権を共有することを国民に約束して選挙をするので、希望との協力はない」と語った。
民進、共産など野党4党は国対委員長が会談。首相が臨時国会冒頭での衆院解散を表明したことに対し、代表質問や党首討論を実施するよう大島理森衆院議長に申し入れることで合意した。
(共同通信 2017/09/27-13:02)
記事に名前が出てきた柚木道義・玉木雄一郎・小川淳也といえば保守王国の岡山・香川にあって選挙に強い(少なくとも比例復活で勝ち上がる力がある=玉木の場合は選挙区でも勝てる)保守系の民進党議員だが、それはともかく、やはり連合(神津里季生)も一枚噛んでいた。民進と自由の合流も何も、民進は衆院選には公認候補を立てないらしいから、実質的には両党も「小池ファ★スト」、つまり「希望の党」(その実態は「絶望の党」または「野望の党」)への吸収合併になる。これで、岩手の合区によって何もしなければ競合するはずだった現岩手3区の黄川田徹と同4区の小沢一郎の公認問題も解決する。どちらかが「希望の党」の比例東北ブロック比例名簿登載順位1位で遇すれば確実に当選できるからだ(と思ったら、岩手の地元紙が黄川田徹の引退を報じているらしい=追記)。
前原誠司と小沢一郎と小池百合子の悪党3人に一杯食わされたのは「野党共闘」だった。木下ちがや(こたつぬこ)氏などは、一昨日まで「前原頑張れ」とか「小沢一郎の思想だ」などと前原・小沢を応援し続けていたが、昨日には
結論。民進党を売りました。
と書かざるを得ない羽目に陥った*1。省略された主語は「前原は」であることはいうまでもない。
「9.27政変」は、小池・小沢・前原によるクーデターだった。というより、小沢と前原が小池のクーデターを幇助した。小池黄門にとっての助さん、格さんは若狭勝と細野豪志ではなく、小沢一郎と前原誠司だった。今こそ、「民進党信者」や「小沢信者」はもちろん、過去に民進党や小沢に期待した人間は一斉に総括をすべき時だ。
それにしても小池百合子。その権謀術数と冷酷非情さには驚かされる。実力のない若狭勝や細野豪志を泳がせていたのは、「野党共闘」陣営と安倍自民党をともに油断させるための作戦だった。今になってやっとそれに気づいた私も、あまりにも間抜けで、かつ小池を甘く見すぎていた。所詮石原慎太郎や橋下徹らと比べて小物だ、と軽く見てしまったことが痛恨だ。
小池の衆院選出馬も、まさかないだろうと高をくくっていたが、ことここに至っては小池が衆院選に出馬しない目の方が考えられなくなった*2。東京都知事就任から1年あまり、小池都政の成果など全く何もないのだが、それを投げ出して衆院選出馬になると、「小池劇場」の喧噪は、あの12年前の思い出したくもない「小泉劇場」の再来となるだろう。安倍晋三との論戦になると、安倍には突っ込みどころがあまりにも満載。かつ安倍は議論を極端に苦手とする人間だから、選挙戦が進むにつれて夏の都議選の再現が起きる可能性がある。現在は自公連立を崩さず、かえって都議会与党からの離脱を言っている公明党にしても、今後態度を豹変しない保証など何もない。
信長ならぬ「百合子の野望」の醜悪な「劇場」が今後展開されるかと思うと気分は真っ暗になる。
そういえば今日通常国会が召集されて衆議院が解散される予定だが、「小池劇場」に恐れをなした安倍晋三が急遽解散を取り止めることはないのだろうか。
*1:https://twitter.com/sangituyama/status/912992618463686656
*2:逆に言えば、ここまで環境を整えてリスクを軽減してからでなければ小池が安心して都知事を投げ出して衆院選に挑むことはできなかった。