kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

眉唾ものだった朝日新聞の政局記事「検証・民進分裂」

4日間更新を休んだが、その間朝日新聞衆院選前後の民進党分裂を取り上げた政局記事「検証・民進分裂」が3日間連載された(11/17-19)。

初日(19日)は特に、前原誠司小池百合子の密約を1面トップで大きく取り上げていたが、上杉隆の名前がデカデカと出てきたことにまず面食らった。私は、上杉の名前が出てきた時点で正直言って眉に唾をつけながら記事を読んだ。

あの記事については、「晴天とら日和」が下記のように論評していた。

【緑の狸とマエハラ】深夜の密談(ご大層なw)+【報道特集】小池劇場閉幕の後に(有権者をうんざりさせたマエハラ!)&「イスラム国」紛争終結もフィリピンに残る傷痕. : 晴天とら日和 (SEITEN TORA BIYORI)(2017年11月19日)より

朝日新聞 石井潤一郎、斉藤太郎、南彰2017年11月19日05時26分
小池氏「護憲、遠慮願う」前原氏「当たり前」深夜の密談
http://www.asahi.com/articles/ASKCJ5F9FKCJUTFK013.html?iref=com_alist_8_05


前原誠司小池百合子・神津里季生・上杉隆がいた。
よくもまぁダメな人達を集めたもんだな。
という意見が大多数ですが、。。。


朝日の、
この記事、
相当数の方が読んでおられると思いますが、
ふと思ったこと。


ここに来て、
どうして急に上杉隆の名前が出て来るのかと?
マカ不思議に思った。


確かにね、
小池推しだったし、
小池のいいことばかりしか言わないから、
そんな奴の言い草を信用するバカでもないし。


が、しかし、
どうして急に上杉隆の名前が出て来るのかと?
それで、
この朝日のソース元が上杉だとしたら、
上杉に裏を取ることもないしw
ハナシは実に簡単ですねw


これには私も同感で、いくら前原誠司小池百合子らがダメなやつらだからと言って、その前原や小池らに寄生して生きてきた、前原・小池らよりもさらに数倍ダメな人間である上杉隆なんかに仕切らせたわけないだろ、どう見たって上杉のリーク記事だよな、と思ったのだった。

同ブログは、下記のTwitterも引用していた。

  • (元ツイートのURL不明)

だから、自由党系希望支持者が隆情報をこれが正しいと言う様に
言っていたのに違和感を感じてましたから、
コッチは、あ、隆か疑って見てちょうどいいと思います。
隆は見る時間がもったいないです

この記事読んで「上杉隆なんぞに仕切らせてる小池と前原はやっぱりダメだ」と言う感想が流れてくるのですが、そもそもこの記事自体の出所が上杉隆であって、相当な割合で与太が含まれてると見るべきなのでは

朝日新聞(asahi shimbun)

民進党を解党したい」 前原氏と小池氏、深夜の密談 http://t.asahi.com/o2sp


16:06 - 2017年11月18日


同ブログはさらに、朝日新聞の記事をこう酷評した。

そう思えば、
メチャメチャ納得出来るわけよ!
急に、上杉は全面に出て来たことも、
そして、
相当な割合で与太が含まれてる、
と思って読めば、
納得しまくりの記事だった、ってことよ。 
※こんな記事、信用する方がどうにかしてるって、
読むだけ時間も無駄だった、ははははは)))


今にして思えば、
江川紹子さんの気持ちが、よーく分かるわね!


同ブログは、さらに翌日(11月20日)にはタイトルに前記の政局記事を指して「朝日新聞も劣化したねって心底思う!!」というフレーズを入れていた*1

もちろん私も全面的に同感だ。

今回の朝日の政局記事を読んで思い出したのは、同じ朝日が、民進・希望合流騒動の最中に、一読しただけで平野貞夫からのリークだとわかる「小沢氏の側近」の言い分を鵜呑みにした政局記事を掲載したことだ。なぜ平野からのリークとわかったかといえば、朝日の記事が載る直前に、「週刊ポスト」に平野貞夫のコメントと明記された同趣旨の記事が載っていたのを立ち読みしていたからだ。朝日の記事が載った直後には、今度は「週刊新潮」が、やはり平野の名前を明記した上で同趣旨の記事を掲載していた。ポストや新潮といった週刊誌が平野の実名を出しているのに、それを匿名にする朝日新聞はいったい何を考えてるのか。この記事を読んだ時にも私は「朝日新聞の劣化」を痛感したのだった。

これら週刊ポスト朝日新聞週刊新潮の記事はすべて、民進と希望の合流騒動を小沢一郎は何も知らなかった(知らされていなかった)と主張するものだった。週刊新潮は、小沢が合流騒動に深く関与したとする政局記事を載せた読売新聞と「週刊現代」の記事を揶揄していた。それを読んでも、単に読売や週刊現代平野貞夫とは全く立場の異なる情報提供者の言い分を記事にしただけだろう、どっちもどっちだろうが、としか思えなかった。

この合流騒動については、リベラル界では有名な宮武嶺氏のブログも、さとうしゅういち氏の『広島瀬戸内新聞ニュース』も、ともに小沢一郎が関与したとの心証を表明した記事を公開していた。私も同感だったが、平野貞夫を使って巧みな印象操作を(朝日新聞週刊ポスト週刊新潮などを通じて)行い、どんなに怪しくとも物証をつかませなかった(=俗に言う「尻尾を出さなかった」)小沢はさすがに老獪だなあ、とも感心した。このあたりが軽率な(「偽メール事件」の前科もある)前原誠司はもちろん、一時は絶大な人気を誇った小池百合子と比較しても格が違う。

ただ、問題の11月19日付の朝日新聞記事について言えば、上杉のリーク(多分)によって信頼性が大きく毀損されてはいるものの、書かれたことの全部が嘘というわけでもなかろうとも思う。

下記は、id:kemouさんの前原誠司に対する論評。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20171117/1510875590#c1511181073

kemou 2017/11/20 21:31

希望の党への合流問題に関する前原の発言って、コロコロと内容が変わっているうえに、意図的も嘘を含んでいるのですよね。寺田学(現希望の党衆院議員)が「前提の事実だけ申し上げると、解散直前調査において、民進党のままでもそれなりの議席増でした。特に東北は強かった。」とツイートしていますが、そうした独自調査の結果を代表だった前原が知らなかったはずはないからです。「それなりの議席増」がまさか50議席なわけはないのですから、「民進党のままで戦ったら、もっとひどい結果になっていた」という前原の発言は事実に反するだけでなく、明らかな嘘です。
https://twitter.com/teratamanabu/status/924208104107008000


そして前原は10月6日の言い訳17ツイートのうちの半分以上で「民進党左傾化したと言われるのが嫌だった」、「4野党の共闘を続けるのが嫌だった」という旨の、端的に言うなら「保守二大政党で争う形を作りたかった」ということを希望の党の合流の最大の理由だったとして自ら語っています。要するに朝日の記事で言っている「民進党のままだと(今回起きた結果よりも)ひどい結果になりそうだったから合流した」という内容とは明らかに違うことを自分自身が言ってるのですよね。


おそらく前原の本当の動機は言い訳ツイートのほうにあって、合流決定当時に「希望の党に合流したほうが議席が増えそうだ」と判断した可能性は高いものの、「合流しなかったら今よりも酷い結果だった」は明確な嘘と断言して良く、単なる自己正当化のための発言と断じていいでしょう。要するに前原は「国民は二大保守政党制を望んでいるに違いない」、「右傾化すれば自民党に対抗できる勢力として国民に認めてもらえるはず」という自身の願望に拘泥してそれが真実であると思い込もうとするあまり、現実を受け止めることすらもできないのでしょう。単に自分の誤りを認めることができない人物なだけかもしれませんが。


何やら希望的観測にのみ拠って作戦を立てた戦時中の日本軍を思い出させる前原への論評ですな。

そういえば、この政変の前には「民進党は左に寄りすぎたから支持を失っていった。そこに小池百合子のような『まん中』が現れたから支持を集めたのだ」などという奇妙奇天烈な言説が幅を利かせていたことを苦々しく思い出す。

おそらく自分ではリベラルであると自己規定しているであろう与良正男毎日新聞)あたりまでもが上記のようなことを書いていたのを読んで頭を抱えた。民進党は左に寄りすぎてなどいなかったし、小池は「まん中」どころか下手したら安倍晋三よりももっと右の極右じゃないか、と私は思ったのだった。

自公の三たびの衆院選圧勝(参院選を合わせれば自公の5連勝)に終わった衆院選の唯一の収穫は、このような言説が完膚無きまでに叩きのめされ、90年代の小沢一郎に始まって現在の前原誠司長島昭久細野豪志小池百合子らへと連綿と受け継がれた「保守二大政党制」の実現不可能性が誰の目にも明らかになったことだろう。

この期に及んで小池百合子を「特別顧問」などに据えようとする希望の党の動きを見ていて、日本維新の会の斜陽を見て何も思わないのかな、この人たちは、と呆れるばかりだ。

この点では、あっさり新進党を解党した1997年の小沢一郎の方がまだマシだったというか潔かった。希望の党なる「ゾンビ政党」や小池百合子なる「堕ちた偶像」にいまだにしがみつこうとする希望の党の国会議員たちの「志の低さ」に対しては、強い嫌悪と軽蔑を感じないわけにはいかない。