kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

まずは「負けている」事実を直視することだろう

2012年の衆議院選挙に「希望の党」じゃなかった、「日本未来の党」が獲得議席1桁の惨敗を喫した時、「小沢信者」たちが「不正選挙ガー」と叫んだ、そのあまりの見苦しさには絶句したものだが、同様の悪弊は今や「野党共闘」を支持する「リベラル・左派」層全体に行き渡っているように思われる。

安倍政権批判側の人間は、まず自分たちが「負けている」事実を直視するところから始める必要がある。現在は明らかにそれができていない。立憲民主党支持者(信者?)が「本当は立民の政党支持率は落ちていない」と強弁したり、かつて「不正選挙ガー」と言っていた「小沢信者」が「マスメディアの世論調査など信用できない」などと空しく言っているさまが見られるばかりだ。

プロ野球のヤクルトや阪神や中日が、読売のヤングマンだのメルセデスだのといった聞いたことのない先発投手たち(ヤングマンは先日西城秀樹が亡くなった直後にその存在を知ったが)に負けまくって2位読売に水を開けられているのと同じく、「野党共闘」は一昨年の参院選やそれに続く東京都知事選、昨年の東京都議選*1、それに今年の新潟県知事選などの主立った選挙に負け続けた。しかし「有権者に支持されていないから負けた」という反省の弁が聞こえてくることはほとんどなく、たとえば新潟県知事選でも「短い準備期間だったのによく接戦に持ち込めた。次につながる」などという強がりばかりが目立った。これまでにも(最近で特に印象が強かったのは、2015年に安保法案が成立した直後のことだったが)同様の言葉は耳にタコができるくらい聞き飽きたが、現実に「次につながった」事例はみごとなまでに一つもない。

しかし、プロ野球では阪神やヤクルトや中日がBクラスにいる結果を疑う人間は誰もいないのに、選挙結果やメディアの世論調査を疑う人間はいくらでもいる。本当にどうしようもない。

以下、記事にいただいたコメントより。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20180717/1531781862#c1531875207

id:mtcedar 2018/07/18 09:53

今自分が遣り取りしている方に言わせれば、id:kojitaken 様は「ネオリベ民進党に比べたら安倍政権の方がはるかにマシ」ってことになっているんですね。 https://twitter.com/seatv35/status/1018450496770568194


こういうのが野党を強力に擁護しまくってたら、却って支持が拡がらなくなるのも道理では。

リンク先のツイートは読めないのですが、「安倍政権の全ての政策を批判しない人間は安倍の擁護者」みたいな幼稚なことを言う人間が「リベラル」には目立ちます。金融政策なんかもっとも賛否の分かれるところで、かつ、第2次安倍内閣発足直後に「効果をあげた」印象を人々に与える政策なのに、安倍政権の新自由主義的弊害が明らかな政策の数々を攻めるよりも金融政策批判を優先させてそれに血道をあげる姿勢が私には理解できません。プロ野球の読売対策でいうなら、難敵であるエース・菅野の攻略法ばかり研究してヤングマンメルセデスや内海の攻め方などそっちのけにしたあげく、彼らに抑え込まれて読売に本拠地で負けまくっているヤクルトや阪神や中日みたいな醜態というほかないと思います。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20180717/1531781862#c1531913270

id:RASEN-KAIDAN 2018/07/18 20:27

id:mtcedarさんは金融緩和による雇用拡大を評価されていたと思います。もし金融緩和が団塊世代のリタイアを上回る雇用拡大に貢献していたとしても、それ以前から日本の失業率は先進国で常に一番低い数字です。リーマン直後ですら5%台、西欧諸国なら通常の再分配で対応できる水準ではないでしょうか。成人男性だけに安定した雇用があればよかった時代と違い、女性や高齢者にも就労が求められる現代で失業率は高くなって当然。それなのに失業率が2%台にまで下がるのは、失業者の支援が弱いためだと警戒しています。ブラック企業を淘汰する意味でも、従来より高めの失業率を許容できる社会(制度と意識)を目指すべきではないでしょうか。『何よりもまず雇用』という姿勢が野放図な非正規の増加に繋がった面を感じずにはいられません。


杉山さんが批判される藻谷浩介氏が、保守本流のコミュニティを過大評価しているなら、杉山さんは男性サラリーマンの居場所としての会社にこだわる民社党のような立場に見えるのですが。


すみません、金融緩和と「民社党」というアナロジーがさっぱり理解できません。どういう道筋でそういう推論が出てくるのか教えていただけませんか。

なお、現在の日本は「階級社会」であるとともに、より下の階級からより上の階級に這い上がるチャンスはほとんどないばかりか、世襲などによって事実上固定されていることによって守られている富裕層*2を除いて、より上の階級からより下の階級に転落するリスクは決して小さくない(たとえばビジネスマンが健康を損ねただけでもそうなってしまう)現状、言い換えれば社会保障などのセーフティーネットがそこまで貧弱な今の日本にあって、軽々しく「従来より高めの失業率を許容できる社会(制度と意識)を目指すべきではないでしょうか」などと言うべきではないと思います。加えて、第2次安倍内閣発足以降増えたのは非正規雇用者ばかりではなく、正規雇用者も増えています。そういった事実から目を背けて、「××ノミクス」(この日記では禁句なので一部伏せ字にしました)のうち特に金融政策ばかり批判しても、安倍政権批判者を増やすことには全く何も寄与しないと思います。

さて、「リベラル・左派」の「金融緩和・財政支出嫌い」ですが、私は保守本流財務省(旧大蔵省)と朝日新聞の悪弊を強く感じます。

保守本流」には大蔵省(財務省)出身者が多く、その「保守本流」に対するシンパ(故石川真澄記者などもそうでした)が多いのが朝日新聞という流れです。保守傍流であっても福田赳夫などは早くから(1970年頃から)佐藤栄作政権で財政赤字削減を力説してましたし、大平正芳に至っては「小さな政府」の言い出しっぺのような存在です(みごとにそれを継承した「小さな政府」論者が加藤紘一)。朝日新聞では今も原真人が経済問題のイデオローグとなって緊縮財政を推しまくっています。

その「保守本流」の後継を自認する枝野幸男が党代表を務める立憲民主党が「保守本流財務省朝日新聞」的な体質が強いのもむべなるかな、といったところでしょうか。但し、枝野自身は昨年の衆院選前に「政権を獲ってもただちに金融緩和を止めたりはしない」と明言したしたことからもうかがわれるように、一種の「風を読む」ポピュリスト的才能があると私は思っています*3。というより、それが本人の思想信条や主義主張には全く賛同できない枝野幸男の唯一の「取り柄」だと私は考えているのですが、いかんせん教条主義的な立民支持層が党首のその才能に由来する党の伸びる芽を摘んでしまっているように私には思えるんですね。エピゴーネンが指導者より硬直した考え方しかできないのは、何も立憲民主党に限らず、あらゆる集団で観察されることだと私は思っていますが、先のseatv35氏の(読めなかった)ツイートに即していうなら、「ネオリベ民進党」よりもっとダメなのは、「ネオリベ民主党系政党(立憲民主党自由党、国民民主党)支持者やシンパ」だと私は思っています。

現状がこれだから、やはり安倍政権は批判勢力が選挙を通じて、などではなく、何らかの外的要因による以外の終わり方は、残念ながら想像がつきません。

*1:この選挙では、民進党系から「都民ファ□ストの会」に亡命する連中が続出し、亡命し損ねて無所属で落選した柿沢未途の妻・柿沢幸絵のような人物も現れたが、この選挙を正しく「『野党共闘』の敗北」と捉えた論評はほとんど見あたらなかった。。

*2:もちろんサラリーマン社長やサラリーマン重役などは例外。

*3:枝野幸男のポピュリスト的資質を私にを教えてくれたのは木下ちがや(こたつぬこ)氏ですが、氏は現在でも「失脚」状態のままのようです。