日曜日に書いた科学技術の「高度衰退国」ニッポン - kojitakenの日記(2018年8月19日)のコメント欄より。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20180819/1534654474
id:mtcedar 2018/08/23 08:48
高度衰退と言えば、こちらの統計結果も衝撃的ですよね。修士・博士:日本だけ減少…研究力衰退あらわ 7カ国調査 - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20180823/k00/00m/040/060000c
それでも「若い研究者よ、泣き言言うな」 https://blogs.yahoo.co.jp/otsuki1936/33614243.html などと言えるのがメディアで引っ張りだこの学者サマって言うのですからね。
コメントの最後にリンクが張られているブログを書いた大槻義彦は、専門分野では第一人者なんでしょうけど、テレビで「何でもプラズマのせいにしてしまう」愚かな言動をしきりに見せていた頃から、専門分野における業績を除けば俗物もいいところの人間だと思っています。特に原発や政治に関するこの人の文章には、軽侮の念しか抱きません。なので大槻に関してはここまでにします。
毎日新聞の記事は私も昨朝読みました。普段ならすぐに記事に取り上げるところでしたが、昨日は普段より早く出勤しなければいけなかったので記事にできませんでした。遅ればせながら以下に引用します。
https://mainichi.jp/articles/20180823/k00/00m/040/060000c
修士・博士
日本だけ減少…研究力衰退あらわ 7カ国調査
人口当たりの修士・博士号取得者が近年、主要国で日本だけ減ったことが、文部科学省科学技術・学術政策研究所の調査で判明した。日本の研究論文の質や量の低下が問題になっているが、大学院に進む若者の数でも「独り負け」で、研究力の衰退を示す結果といえる。比較可能な日米英独仏中韓の7カ国で修士・博士号の人口100万人当たり取得者数を、2014〜17年度と08年度で比べた。
その結果、最新の修士号の取得者数は、中国が08年度比1.55倍の350人▽フランスが1.27倍の1976人−−などで、日本以外で増加。日本だけが08年度比0.97倍の570人と微減だった。
博士号も同じ傾向で、韓国は1.46倍の279人▽英国は1.23倍の353人−−などと増える中、日本だけが0.90倍の118人と減った。内訳が明らかでない中国を除く6カ国で自然科学で比較しても、日本だけが修士・博士号取得者は横ばい、または減少していた。
研究所によると、日本の取得者は自然科学に偏るが、他国では特に修士で人文・社会科学の取得者が多く、全体の取得者数に影響しているという。
日本の博士号取得者は、06年度をピークに減少に転じた。取得後も多くが雇用が不安定な任期付き研究員にならざるを得ず、敬遠されたことも背景にあるとみられている。【酒造唯】
毎日新聞 2018年8月22日 19時49分(最終更新 8月22日 20時23分)
これでは文字通りの「学問の高度衰退(凋落)国」ですな。
前回書いた記事には、タイトルに「科学技術」という限定をつけましたけど、学問そのものが極端な衰退・凋落をきたしている。
「安倍信者」はよく「日本スゴイ」と叫びたがるけど、あれはきっと日本の学問の足腰が弱っていることを心のどこかで自覚していて、その不安を打ち消したいために「日本スゴイ」と叫んでるんだと私は信じて疑わない。本当に日本が「スゴイ」のなら、誰も「日本スゴイ」なんて言わない。本当はものすごい勢いで衰えていっているからこそ「日本スゴイ」と叫ぶのだ。
引用文中青字ボールドにした人文・社会科学の修士号取得者の件については、ここ数年安倍政権が日本の大学における文系の学部を圧縮したり廃止したりする方向に強い圧力をかけていることを思い出す。はるか何世紀も前の絶対王政かはたまた貴族たちによる寡占政治か、との様相を呈する今の自民党の政治家たちにとっては、文系の学問など自らに刃向かう不都合なもの以外の何物でもないから、そんなものは潰してしまえという発想しか出てこないのだ。
そもそも安倍晋三自体が「反知性*1の帝王」であり、そんな人間に独裁権力を与えてしまい*2、いまや東大法学部を出たキャリア官僚たちや厳しい就職戦線を勝ち上がったはずの(あるいは親のコネがはびこってるのかもしれないが)東京のマスメディアに勤務する括弧付きの「ジャーナリスト」たちが安倍の独裁権力をますます盤石にするべく日々懸命になっている。
そういやNHKの岩田明子の最終学歴はどうなのだろうとネット検索をかけたら、予想通り東大法学部卒だった(呆)。あの岩田や読売新聞などが「外交の安倍」を宣伝し続けた実例を、先日この目と耳で確認した。数年前には「小沢信者」だったその人間は、自民党総裁選について「外交を思ったらやっぱり安倍さんしかいない。森友・加計問題に答えない態度が良いとは思わないが」と言ったのだ。
この岩田明子の例に典型的に見られる通り、もっとも「ベンキョーがよくおできになった」人たちが、「反知性の帝王」安倍晋三を「裸の王様」にしてしまっているのが、「高度衰退国」「高度凋落国」ニッポンといえる。
この国の衰退・凋落ぶりは、以前には政権より野党を批判する方に熱心だった保守派の大宅映子を「日本はこのままではやっていけない」と言わせるレベルになっている。あの田原総一朗ですら、今頃になって自民党を批判するようになった*3。だが、「安倍信者」たちはまだ大宅映子や田原総一朗らの段階に達していない。今は、いよいよこの国の「崩壊」が誰の目にも明らかになる、そのとば口に立っているように、私には見える。
最後に、上記毎日新聞記事についた「はてなブックマーク」の人気コメントをいくつか挙げておく。
suzutaku7 国策の効果がきちんと出てる 2018/08/22
hyperlexia539 今の政策じゃそりゃ当たり前だ 2018/08/22
charliecgo 素晴らしく悲惨な政策の成果。 2018/08/22
身も蓋もないが、これがこの「崩壊の時代」にある国の独裁政権がなした政策の「成果」だ。