初めに書く。下記ツイートはいまどきの括弧付き「リベラル・左派」がいかに労働問題に関心がない(薄い)かを示す典型的な悪例だ。
https://twitter.com/masayo53/status/1067536237630636032
ゴーンさんがどんなに悪いことをやったとしても全部自分の会社で儲けたお金でやったことですよ。安倍の悪事とはまったく異なる。そんなことに怒ってる暇があったら安倍の悪事に全力で怒り、二度と自民党に投票しないで欲しい。B層ももういい加減に賢くなってください。
13:50 - 2018年11月27日
「いい加減に賢くな」らなければならない「B層」とは、つぶやきの主、お前自身のことだ。企業の利益を労働者に分配せずに経営陣が好き勝手に私物化しまくって良いとでもいうのか。私はこのツイートを見た瞬間、烈火のごとく怒り狂ったが、こんなツイートをリツイートする人たちがいるのだ。
ゴーンの逮捕が法的に正当なものといえるかどうかにはいろいろ議論があるようだが、リベラル・左派が関心を持つべきは、ゴーンや日産経営陣(もちろん現在ゴーンと敵対している日産経営立ちも含む)がこれまで労働者に対して何をやってきたかだ。
そんな視点が「リベラル・左派」の間でも結構欠けまくっているからこそ、企業の経営者やそれを甘やか続けてきた自民党政府(何も安倍政権だけに限らない)のやりたい放題が看過されてしまい、その結果、下記ワシントン・ポスト(保守系の新聞だよ)が報じたような「日本の恥」たる外国人実習生問題が引き起こされたのだ。
https://courrier.jp/news/archives/144984/
米紙が見た「外国人を使い捨てるニッポン」
ミャンマー人技能実習生「私は奴隷だった」週100時間労働で月6万円
ワシントン・ポスト(米国)
Text by Simon Denyer and Akiko Kashiwagi
安倍首相肝いりの入管法改正案が議会で審議されるなか、米紙ワシントン・ポストが技能実習制度に着目。「使い捨て」にされた挙げ句、「犯罪者」扱いされる日本の外国人労働者の窮状を伝えている。
週7日働かされたことも
ワー・ヌ(27)がミャンマー中部の村をあとにして日本へ向かったのは2017年末のことだった。岐阜県の縫製工場での職を仲介してくれた業者に手数料を払うため、34万円近くを借金した。日本での高額な給料だけが魅力だったわけではない。先進技術を誇る国で、新たなスキルを学べるチャンスに期待を膨らませた。
しかし、日本で彼女に与えられた仕事は、段ボールに衣服を詰める単純作業だった。週6日、朝7時から夜10時まで、同じ作業を繰り返した。深夜まで働かされたり、週7日勤務になったりすることもあった。
それで月給は6万円。約束されていた額の半分しかなかった。
おまけに上司は彼女を怒鳴り続けた。
「過酷でした」と、ワー・ヌは言う。
「ストレスと不安の毎日でした。あの日々を言葉でどう表せばいいのかわかりません。ただただ泣いていました」
米国務省「人身売買報告書」が技能実習制度に言及
ワー・ヌは技能実習制度を利用して来日した。この制度は途上国への技術移転という「国際貢献」とうたわれているが、日本国内の労働力不足を解消するためにできたといえる。米国務省は、世界各国の人身売買の実態をまとめた年次報告書のなかで、日本の技能実習制度はしばしば強制労働を引き起こしていると指摘している。
そうしたなか、安倍晋三首相は今月、出入国管理法改正案を議会に提出。向こう5年間で34万5000人の外国人労働者の受け入れを目指すとしている。
だが野党やメディアは、中身の薄さや受け入れ態勢の不備を批判。さらに門戸を広げる前に、技能実習制度に内在する「地獄の労働環境」「外国人の使い捨て」「奴隷労働」といった問題を解決すべきだと訴えている。
上司からの怒号と脅迫
現在、技能実習生として日本で働く外国人は約27万人。2016年から2017年にかけて20%増加した。茨城でイチゴを摘んだり長野でレタスを収獲したりと農業に従事する人もいれば、製造業や建設業で働く人もいる。そして、繊維産業が盛んな岐阜県は、世界での競争力を保つために、外国人の安い労働力に頼っている。
縫製会社「キングスタイル」で働いていたワー・ヌは、上司から「奴隷」のように扱われたと語る。
「毎日、言葉の暴力を振るわれました。友達と話すのさえ許してもらえなかった。彼の言うことに従わないと、『ミャンマー人はダメだ。使い物にならない』と言われ、ミャンマーに送り返すと脅されました。とても怖かったけど、耐えるしかなかった」
弁護士らによれば、技能実習制度の大きな問題の一つは、雇用主を変えることができない、つまり転職の自由が許されていないことにあるという。苦情を申し立てれば、就労ビザを奪われ強制送還されかねない。
失踪した実習生は「犯罪者」なのか
ワー・ヌは工場の上にある2部屋を、4人の女性と一緒に使っていた。食事をとる時間も睡眠をとる時間も充分には与えられなかったという。本紙ワシントン・ポストは、彼女のほかにも岐阜で働く外国人女性8人に話を聞いた。いずれも雇用主による賃金搾取や長時間労働といった同様のストーリーを語った。そして、来日前に期待していたような技能を学ぶ機会はなかった、と。
「携帯電話の所有や恋愛を禁止するなど、性的虐待やプライバシーの侵害も大きな問題だ」と、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘している。
そうした過酷な環境が要因となり、大勢の技能実習生が失踪している。2017年は約7000人、2018年は上半期だけで4300人以上が姿を消した。失踪者の多くは、不法就労者となるのだ。
識者らに言わせれば、技能実習制度は2つのステレオタイプを助長している。外国人を「日本社会の一員ではなく安い労働力」とみなし、失踪者を「強制労働の犠牲者ではなく犯罪者」とみなすことだ。
フジTV『タイキョの瞬間!』炎上の理由
そのような偏見は、メディアによって誇張されることも少なくない。たとえば、フジテレビが10月に放送して炎上した『タイキョの瞬間!密着24時』がそうだった。不法滞在者の強制送還をおこなう入管の仕事を取り上げた同番組は、入国警備官たちの奮闘ぶりをドラマチックに描いていた。その半面、技能実習制度の問題点や入管収容施設の劣悪な環境について触れていなかったことが批判されたのだ。
ワー・ヌは産業労働組合(JAM)と在日ビルマ市民労働組合の助けにより、就労ビザを保持したまま、岐阜県内の違う縫製工場で仕事に就くことができた。
在日ビルマ市民労働組合のミンスイ会長は、「技能実習制度は間違っている。多くの乱用が起きている」と指摘したうえで、日本政府が制度を見直そうとしない理由についてこう述べた。
「外国人労働者を奴隷のように安く使いたい人々がいるからです。彼らは自分たちの利益のことしか考えていません」
(『Courrie』 2018年12月1日)