kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

フランスでも擁護されないゴーンに同情する「新自由主義に甘い『リベラル』」

フランスでは、民衆のデモが極端な新自由主義者ネオリベ)の大統領であるマクロンの政策を一部改めさせる成果を出した。対して日本では、安倍政権批判者(の一部)までもがゴーンに同情し、その敗後にいるルノー、そしてそのルノーを国策会社として操るマクロンの思う壺にはまるという醜態を晒している。

ゴーンの最初の逮捕のあと直ちに「小沢信者」の田中龍作が言い出した「スピン陰謀論」は括弧付きの「リベラル」層に大受けしたが、その「リベラル」たちに刮目して読んでもらいたい記事が『広島瀬戸内新聞ニュース』に出ていたので以下に引用する。

https://hiroseto.exblog.jp/27712152/(2018年12月14日)

フランス世論に見捨てられたゴーン被疑者と日本人が取り組むべきこと(備忘録)

ゴーン被疑者を擁護する声がフランスでも低調と言う。今は「反新自由主義」がトレンド。ゴーン被疑者にとってはフランス世論も逆風だろう。

日本のいわゆる人質司法は問題だが、労働運動関係者が不当逮捕されてもろくに声を上げていなかった日本人(それも左翼の一部も含めて)がゴーン被疑者のときだけ文句を言うのもおかしい話だ。それこそ、不公正だ。新自由主義に甘いと言われても仕方がないだろう。デモのフランス人が聞いたら呆れるのではないか?

やはり普段からきちんと日本国内のまずい点ををただしていく作業の積み重ねが(日本人が取り組むべきことの)基本だろう。それが決定的に日本は不足していたと思う。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』2018年12月14日)


ちなみに、某所で教えていただいたのだが、数日前に発信された川上浩一・国立遺伝学研究所教授の下記ツイートが「反安倍『リベラル』」の間で大ウケだという。確かに3千件以上のリツイートと5千件以上の「いいね」がついている。

https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1072562286987018242

どう考えてもゴーン氏の罪状が、甘利氏が大臣室で50万円を受け取ったことや、下村氏が加計関係者から200万円受け取ったことや、片山氏が数十件の収入記載漏れしたことや、森友の土地を8億円不当に値引きしたことや、加計に440(?)億円融通したことより重い理由がわかりません。誰か教えてください。

10:42 - 2018年12月11日

このツイートを発信した川上教授のTwitterサイトを参照すると、デニー玉城や小池晃リツイートがあり、典型的な「リベラル」人士らしい。「小沢信者」が絶滅危惧種となっている今時だから、明示的な「小沢信者」とはいえないようだが、思考様式はかつての「小沢信者」と同じだとの印象を持った。

この川上教授については知らないが、ゴーン逮捕が「小沢信者」たちの琴線に触れるのは、「陸山会事件」での小沢一郎を思い出させるからだろう。しかし、彼らがゴーンにリストラされた日産やその下請け会社の労働者に思いを馳せることは全くないようだ。こういう人たちは、たとえ括弧付きであっても「左翼」や「左派」とはみなされない。そして、まともなリベラルでもない。そう私はみなしているので、彼らのような人たちを、括弧付きの「リベラル」と表現している。ゴーン逮捕について「スピン陰謀論」に熱中しているのは、その括弧付き「リベラル」の典型的な人たちだといえる。彼らを、

新自由主義に甘いと言われても仕方がないだろう。デモのフランス人が聞いたら呆れるのではないか?

と評した『広島瀬戸内新聞ニュース』の記事に全面的に賛同する次第だ。

そもそも、「反政権」しか言わない彼らには「労働者対使用者」「労働者対資本家」という視点が欠落している。彼らの「反安倍」が何のための「反安倍」なのか私には理解できない。「反安倍」が自己目的化というか趣味化して、「『反安倍』のための『反安倍』」になっているのではないかと疑わずにはいられない。その程度の言説など、フランスのデモとは全く違って、政権にとっては何の脅威にもならない。

いくら彼らが「スピン陰謀論」を声高に叫んでも、安倍晋三や安倍政権は痛くもかゆくもないのである。