kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

東京都知事選に見る「ネット言論」の病理

東京都知事選で立候補を辞退した宇都宮健児陣営には、訴求力の強い真面目な活動家がいると思われ、その熱誠ぶりには私も感心しているのだが、この陣営、特にネットにおけるそれには、一種病理的なものが潜んでいることが徐々にわかってきた。どうやらその主役は、この日記で再三指摘してきた(共同通信・毎日・TBS・フジ・産経)の世論調査小池百合子候補に投票すると答えた「3割の共産党支持者」たちではなく、彼らを煽り立てたある種の勢力であるらしい。それをうかがわせるコメントをいただいた。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20160719/1468880626#c1468950842

id:pomme1919 2016/07/20 02:54

小池支持の共産党支持者にもあきれかえりますが、加えてむかつくのが前都知事選では細川一本化に賛同しながら、今回は宇都宮擁護に寝返っている連中です。その筆頭があの天木直人で、前回は細川・小泉を連合を「圧倒的に応援」していたのに(http://blogos.com/article/78901/)今回は「宇都宮健児候補者が筋を通せば政局は一変する」http://天木直人.com/2016/07/13/post-4948/と宇都宮擁護に回ったあげく、最新のブログhttp://天木直人.com/2016/07/19/post-4990/では、小池百合子に熱烈なエールを送るという醜態を晒しています。

(以下一部引用)
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鳥越、増田の二人に対して、小池氏は文字通り孤軍奮闘している。
 もはやそれは、たとえ彼女の当初の目論見が自己本位の権力欲を満たすものであったとしても、いまや、それを超えて、文字通り既存の政党の組織選挙に挑むヒロインとなってしまったごとくだ。
 私の小池氏に対する評価は高くなかった。
 しかし、いまはすべてが変わった。
 小池氏は孤軍奮闘の辛さを経験し、頼みは東京都民ひとりひとりの支援しかないと痛感しているに違いない。
 だからこそ、小池氏は変わらざるを得ないのだ。
 「政界渡り鳥」と揶揄される小池百合子に戻れない。
 もし当選したら、小池氏は都民を裏切る事は出来ないし、しないと思う。
 もし当選したら、小池氏は、これまでの小池百合子ではなく、既得権益と本気で戦う政治家小池百合子に大変身するのではないか。
 そう私は期待する。
 それに比べ増田、鳥越の姑息さはどうか。
 応援する政党と叫ぶセリフは正反対であるけれど、組織を頼みとした保身的な言動はまったく同じだ。
 うんざりだ。
 小池氏が当選すれば俄然面白くなる。
 都政も国政も、大きく変わる事を期待する(了)

(引用ここまで)

しかも、周知の通り、もともとは天木は小泉を天敵としていた人で「イラク戦争参加に異を唱えて小泉によって外務省を追われた反骨の元外交官」がウリだったはずです。
この天木の支離滅裂な変遷こそ「既成政党批判至上主義」の行き着いた先というところでしょうか。

天木の他にもこの「前回は細川一本化・今回は宇都宮擁護」はいわゆる小沢信者系に多いようですね。
https://twitter.com/Thoton

そして、当の小池百合子までがそれに便乗している始末です。
「鳥越氏の公約には宇都宮さんの考えがあまり盛り込まれてない。宇都宮さんがかわいそう」
http://www.nikkansports.com/general/news/1680987.html?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=nikkansports_ogp


天木直人に「そとん」。もろ「小沢信者」系じゃないですか!

「小沢信者」系ももはや一枚岩ではなく、植草一秀などは「鳥越俊太郎が負けるなら『不正選挙』だ」などという主旨のトンデモ記事を書いていたのをちらりと見ましたが、確かに宇都宮健児支持者の不満を煽り立てている中には、別段リベラルでも左派でも左翼でもない「小沢信者」系の連中が多数いるようです。その中に、あの「『右』も『左』もない」を旗印にしてかつて極右政治家にして安倍晋三の盟友である城内実平沼赳夫らへの応援を「政権交代を要求する人々」に広めることに熱中していた「喜八」氏がいたことは再三指摘してきた通りです。

小沢一郎自身はもう政界引退も間近で、最近では自らの政党に所属する国会議員たちを民主党(当時)に引き取ってもらおうとしたりなどの行動をしていますが、「政権交代」の2009年をピークに主にネットに跳梁跋扈した「小沢信者」たちは、ネット言論に数々の害毒を撒き散らしました。彼らはしまいには小沢一郎自身にも悪影響を与える始末で、その「小沢信者」たちの行状を、「大人の保守政治家だった小沢一郎をダメにしてしまった。こんなにひどいひいきの引き倒しは見たことがない」と評したブロガー(「Blog Blues」のブログ主氏)がいたことを覚えています。

おそらく、宇都宮健児支持者に「いっそのこと、×××××に投票しようか」などと焚き付けたのはこの手の人々ではなかったか、との疑惑は強まる一方です。

以下はブログ主さんに迷惑がかかるかもしれないから書かないでおこう、といったんは思ったことですが、上記の事情を知ったので書くことにしました。

リベラル系の「反自民・反安倍」のブログでは最大のアクセス数を誇ると思われる宮武嶺さんのブログに、昨日、下記記事が公開されました。


この記事は、澤藤統一郎弁護士の下記ブログ記事を引用しながら、リベラルや左派(あえて括弧を外す)が極右新自由主義の候補者に投票することの非を指摘したもので、正論そのものだと私は思います。


しかし、宮武嶺さんのブログ記事についたコメント群の多く(もちろん全部ではありません。中には私から見て正論と思われるコメントもあります)は、「これはひどい」としか言いようのないものでした。私は下記の「はてなブックマーク」のコメントをつけました。

kojitaken コメント欄が酷い。ブログ主はリベラルや左翼(あえて括弧なし)が極右の小池百合子に投票する非を指摘してるのに、聞く耳持たずに鳥越俊太郎のこき下ろしと宇都宮健児のヨイショに専心してるんだもの。処置なし。


特に腹が立ったのは、さる山本太郎びいきの、つまりリベラルでも左派でも左翼でもない保守系と思われる方のコメントで、

鳥越候補のリベラル性を、これでもか、これでもかと出してますけど、そんなことをしても共産党の3割に反発を買うだけですよ。

とブログ主を批判したあげく、最後にはこんなことを書いています。

真面目に取り組まないと、宇都宮支持のん十万人を取り込めまへんで。
そちらが没義道なこと(少なくとも宇都宮陣営から見れば)をしておいて、鳥越を支持しないのはバカだウヨクだって、
「うるせえ〜〜っ」
ちゃぶ台返ししたいよね。
共産党の支持者で、ふだん上意下達であまり考えない人は、自民の推薦を貰えずに闘う女・小池を見て、宇都宮氏を投影したのであろう。

最後の「共産党の支持者で、ふだん上意下達であまり考えない人」というフレーズから明らかなように、コメンテーターはふだん共産党を全然支持してなくて、それどころか批判的な立場であるようです。だから、「ふだん上意下達であまり考えない人」などという侮蔑的な書き方をしたのでしょう。

そして、

自民の推薦を貰えずに闘う女・小池を見て、宇都宮氏を投影したのであろう。

という文句には、開いた口が塞がりませんでした。

ああ、こういう人には何を言ってもムダなんだろうなと思うとともに、「情念」、「古層」、それに辺見庸の言う「湿土に隠れた地下茎部分」といった言葉を連想しました。あまりにも、あまりにもウェットなんですね。

しかも、そうした病理的な現象に引き起こされた声を利用して、当の極右・新自由主義系の候補者自身が「宇都宮さんがかわいそう」と言うに至っては、何をか況んや。

今回の東京都知事選については、もうこれ以上何も書かない方が良いかも知れないと思った今日この頃です。