少し前に中日スポーツ(中日新聞社発行)が高須克弥による大村秀章知事に対するデマに基づく批判をそのままネットで記事にして、記事の削除と大村知事への謝罪に追い込まれた一件があった。下記は5月20日付J-CASTニュースの記事へのリンク。
大村秀章といえば、13年前に第1次安倍内閣時代に、今はなきテレビ朝日の「サンデープロジェクト」に「自民等の年金問題の切り札」として登場したものの、民主党の長妻昭との論戦に完敗して涙目になった印象が今も強い。その後極右の河村たかしとつるんで維新の橋下徹に接近した時期もあったが、今では河村とも橋下とも袂を分かって、少なくとも大阪府や東京都の論外の知事たちよりははるかにマシな知事になっている。
中日スポーツ 大村愛知県知事に謝罪 どえりゃあ 恐ろしい。ジャーナリスト 表現の自由 どうなった。中日新聞 大丈夫か。
— 河村 たかし(本人) (@kawamura758) 2020年5月22日
河村は論外だが、オザシンやヤマシン(山本太郎は昨年の愛知トリエンナーレの件で河村たかしを批判するのがずいぶん遅れた)はどう思っているのだろうか。
それよりもさらに問題なのは、極右の高須克弥が発したデマに乗っかった中日新聞社であることはいうまでもない。東京新聞は、この中日新聞社が首都圏で発行している新聞だ。
スポーツ紙の偏向といえば、最近一番ひどいのは首都圏と関西で発行しているデイリースポーツで、阪神タイガース応援で知られる*1神戸新聞系の新聞社だが、露骨に維新を応援している。
大村知事は最近、東京都と大阪府が医療崩壊を起こしたと批判した。下記は朝日新聞デジタルの記事へのリンク。
東京都と大阪府の医療崩壊は、大村秀章が指摘する通り事実といえるだろう。しかしTwitterの応援団は、特に大阪では吉村洋文支持と大村秀章批判の一色で、一方名古屋ではどうかといえば、大村秀章への批判が多く、大村知事を批判する名古屋市長・河村たかしへの支持が多数を占める惨状を呈している。
この東京・大阪・愛知(名古屋)の3大都市に見られる強いネオリベ志向は相変わらずであって、維新が強い間に解散総選挙を行いたいと安倍晋三が考えているであろうことは疑う余地はない。
さすがに今通常国会中の衆議院解散は無理だろうし、秋の臨時国会は3年前と同じようになかなか召集しない可能性がかなり高いが、召集する時は衆議院を解散する時だと思っておいた方が良いだろう。
さしあたって懸念されるのは東京都知事選だ。都知事選はリベラル・左派にとっての「鬼門」と言っても過言ではなく、いつも決まって内閣支持率を上げる方向に作用する。第1次安倍内閣の2007年でさえそうだった。それまで発足以降下落の一途をたどっていた安倍内閣は支持率は、石原慎太郎が圧勝した4月の都知事選のあと1か月半ほどは反転上昇したのだった。結局それは長続きせず、5月末の「消えた年金問題」発覚をきっかけに自民党の参院選惨敗、安倍晋三の政権投げ出しへと続いていったのだったが。その時にテレビ番組に出てきて恥をかいたのが大村秀章だったことは記事の最初に書いた通り。
どうやったって小池百合子に勝つことはきわめて難しい状況にある中、特に旧民主・民進系(なんとか新選組を含む)の対応が問題になる。思い出されるのは2014年と2016年の都知事選だが、2014年は生活の党を含む旧民主・民進系(民主・生活・結いの党)が小泉純一郎と野合して細川護煕を担ぎ、共産と社民は宇都宮健児を担いだ。細川護煕は宇都宮健児にも及ばない惨敗を喫した。オザシンのブログや、のちに小池百合子と民進党の連携に「ワクワク」することになる「都会保守」のブログが細川応援に熱を上げていたことをよく覚えている。あの都知事選では宇都宮健児陣営内でもめごとがあり、澤藤統一郎弁護士が宇都宮氏批判を行ったいきさつもあった。私も澤藤氏の批判には理があると認めながらも、かといって細川護煕や舛添要一に投票する気など全く起きなかったので白紙を投票したのだった。2016年は「野党統一候補」がまたも私の好まない鳥越俊太郎だったが、最有力候補が私にとっては絶対に許容できない小池百合子だったので、鼻をつまんで鳥越に投票したが予想通り惨敗した。この選挙で怪しからんと思ったのは、「宇都宮健児さんが出ないのであれば、小池対鳥越なら小池の方がマシだ」などと言い出した宇都宮氏支持者たちが少なからず小池に投票したことだった。あの当時、某所で小池百合子評価を公言していた共産党支持者さえいた。その翌年に小池が前原誠司や小沢一郎とつるんで「希望の党」騒動を引き起こしたら、その「共産党支持者」は何やら変な理由をつけて意見を発信するのを止めてしまったが、このような筋の通らない人間が「反政権」側にはいくらでもいるという悪い見本だった。
このように、東京都知事選ではいつも、反自公・反安倍などの勢力にとって悪いことが起きる。今年はなんで安倍政権が大きく傾いたこんな時期に東京都知事選なんかがあるんだよ、と呪いたくもなるが、前回からもう4年も経つのだから仕方がない。
今回例によって早くも手を挙げた宇都宮健児で一本化できれば、相手が舛添要一ではなく小池百合子なので私も白票ではなく「消去法で」宇都宮氏に投票するが、「野党共闘」側も、宇都宮氏とは別の候補を出してまたぞろ対立陣営側の分裂を招くとか、ましてや玉木雄一郎が示唆しているとかいう、自主投票にしながら暗に小池百合子を応援するなどといった馬鹿なことは止めて、できれば宇都宮候補への一本化が望ましいだろう。もしそれでも宇都宮健児が小池百合子に惨敗するようなら、次回の都知事選では別の候補を立てれば良い。まあ次回には宇都宮氏も77歳だから*2今回が最後だろう。立民・民民・新選組*3の良識ある判断を望む。
以上述べた3大都市住民のネオリベ志向と東京都知事選は、現在危機に瀕している安倍晋三を大きく助けかねないファクターだけに、野党や政権批判側にとっては大きなハードルになりかねないと懸念する次第。