検察と官邸の攻防というか権力闘争は、これからが本番だ。下記は一昨日(5/28)の共同通信の報道。
下記はこの件に関する渡辺輝人弁護士の感想。
黒川氏辞任後の検察庁と首相官邸のやり取りを見ていると、どうも、手打ち説はあまり当たってない気がしてきた。ガチガチの闘争をしている可能性。そうだとすると、黒川氏を文春に売ったのは、検察側だということになるのでは。職員の素行はよく分かっているだろうし。肉を切らせて骨を断つ系。
— 渡辺輝人 (@nabeteru1Q78) 2020年5月28日
そりゃそうだよ。官邸は検察の人事を恣にしようとしたけど、人事こそ権力の源泉なんだから、それに手を突っ込もうとした官邸に検察が切れるのは当然。
上記渡辺弁護士のツイートについたリプライを見ていると、反政権の立場の人たちには、権力という一枚岩があるかのように錯覚している人が多いようだけど、トップに立つのはたった一人なんだから、権力機構の内部では絶え間ない権力闘争が行われているんだよ。だから今回のように官邸が露骨に検察の意向とは異なる人事を押しつけようとした場合には正面衝突にならない方がおかしい。検察は何か見返りが得られない限り「手打ち」なんかあり得ないよ。人間はみんな自分が一番かわいいんだから。今後仮に手打ちが行われるとしたら、それは官邸が検察の弱味を握った場合だろう。現在は、河井夫妻の捜査、及び河井案里への1億5千万円が官房機密費から出ているのではないかとの誰もが想像する疑惑という弱味が官邸の方にあるから、検察が強気に出ているんだよ。
黒川弘務を文春に売ったのはもちろん検察。そんなことは最初からわかり切っている。
実は私自身もずっと前に務めていた会社内で権力抗争に巻き込まれて、人事というか、私自身の異動が二転三転するという「あり得ないような目」に遭ったことがあって、同僚から同情もされたが、結局これがその3年後に私が転職する原因になった。14年前に私がブログを始めるよりもずっと前の話だ。それ以来、「人事こそ権力闘争のかなめ」であるとの視点から、報道される国の権力者同士の権力闘争を解釈するようにしている。この視点を持つと権力抗争のダイナミズムが実によく理解できる。権力機構は決して「一枚岩」などではない。
もちろん検察内部にも官邸と通じたスパイじみた人間がいる可能性が高いから、権力闘争の行方は予断を許さない。ただ、前回の検察庁法改正案をめぐる攻防は検察の完勝だったし、当面は検察有利の状態が続くことはほぼ間違いない。
それともう一つ、安倍晋三は担がれて最高権力者になった側面が強い人だから、安倍自身は尊大な人間ではあるけれども、冷酷非情な権力闘争のメカニズムやダイナミズムをよく理解していないのではないか。単に自分は最高権力者だから何をやっても許されるはずだという思い込みが今回の失敗を招いたのだと思う。
私は検察を美化するような論調にも強く反対するが、とはいえ安倍政権があまりにもひどい「悪の権化」である現状を思えば、トウ小平の「白猫黒猫論」にどうしても傾いてしまう今日この頃だ。