kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

致死率を「真の感染者数」の指標にすることは専門家たちの間でもなされている周知の事項/日本国内での新型コロナウイルス感染症の致死率はほぼ横バイの5.28%(2020/5/29)

 日本国内の新型コロナウイルス感染症は、福岡県(北九州市)、東京都(小金井市)、北海道などでここ数日再び陽性者数*1が増えている。「広島瀬戸内新聞ニュース」は「安帝」(安倍晋三)が大見得を切ったことが間違いだと書いているが、その通りだと思う。

 

hiroseto.exblog.jp

 

 しかし、その「安帝」の下でのまやかしの「日本スゴイ」の夢に浸っていたいらしいにっしーさんは、昨日公開した下記記事にも、懲りもせず恥ずかしい捨て台詞のコメントを寄越してきた。

 

kojitaken.hatenablog.com

  

 にっしー

 「無知な人間はブログにコメントしてはいけない」というルールがあるわけでも無し。ブログ管理者から詳しい知識を教えられ感謝しております。ありがとうございました。

 それにしても、新型コロナウイルス問題では、多くの数値・指標が出てきています。管理者が薦める「致死率」が、メディアでメジャーになるといいですけどね……。

 

 にっしーさんが書いた字面上の「感謝」の言葉は、実際には嫌味であることはいうまでもない。安倍晋三とよく似た精神構造をお持ちの方なんだろうなと思う。

 「無知な人間はブログにコメントしてはいけない」というルールなどもちろんなく、だからこそ私はにっしーさんのふざけたコメントの相手をしてやっているのだが、それでもこのところ毎日公開している日のメインのエントリは作成開始から公開まで平均1時間程度の時間をかけているのだから、コメントする側もそれなりの労力を支払っていただきたいものだ。

 よく三春充希さんがTwitterで「そんなことは調べればすぐわかるだろ」と怒っているのを見るが、気持ちはわかる。彼など、私がブログにかけるよりもはるかに長い、気の遠くなるくらいの時間をかけて世論調査のデータの収集・整理・解析をやっているのだから、いわゆる「クソリプ」に切れるのは当然だ。

 「致死率」がマスメディアが取り上げる「メジャーな指標」になるかなどどうでも良い。私としてはより真実に迫りたいだけだ。

 実際、にっしーさんがご存知ないだけであって、致死率を「真の感染者数」の指標としてとらえる検討は広く行われている。下記記事はその例で、著者は専門家ではないが、専門家の研究の動向を調べてまとめている。但し少し古い、4月下旬に書かれたものだ。

 

note.com

 

 以下引用する(但しグラフの引用は省略)。残念ながら引用文から張られたリンクは切れているが。

 

CFRベースの推定

 

ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene & Tropical Medicine; LSHTM)の数理疫学チームによる検査の捕捉率の推定(未査読)は全世界をカバーしており、日本も比較対象に入っている。

こちらは死者数を基準とする計算法で、Case fatality rateCFR; 致死率、患者当たり死亡率)をベースとして、入院から死亡までの平均期間により直近の報告数の補正を行い、そのうえで真のCFR1.4%であると仮定したうえで死者数から真の入院が必要な患者数を推定し、検査陽性数がその何%を捕捉しているか推定している。この方法では、「重症者だけしか検査していない」といった批判に対して、もしそうならCFRが上がるはずなのでそれを補正しよう、という計算を行っていることになる。

この研究では、日本は真の患者数の31% (信頼区間22% - 74%)を検査で捕捉していると推定している。他の主要国では、英3.6%、仏4.3%、伊6.0%、西6.5%、米12%、加17%、独29%、中33%、タイ48%、韓55%などとなっている。日本は世界の中ではマシなほうだがSARS経験のあるアジア諸国の中では低位ということで、おおよそ直感に合う値ではないかと思う。

 

出典:https://note.com/kyslog/n/n071a6b9b91f4

 

 引用文中の赤字ボールドは引用者(私)によるが、各国が発表した(見かけの)致死率と真の致死率とを比較して、真の患者数を推計するというのは、ごく普通に行われている方法なのだ。

 但し、ロンドン大学が用いている真の致死率1.4%という数字は高すぎるのではないかと思うが。たとえば西浦博教授が4月上旬に、人の行動を抑えなければ42万人が死ぬとの試算を発表したが、3千万人が罹患する場合に真の致死率1.4%だとちょうどこの数字になる。しかし、当時は集団免疫を獲得した場合、感染率は60%になると見積もられていたから、およそ7千5百万人から8千万人くらいが感染するとして死亡者42万人なら、西浦教授は真の致死率を0.55%程度と見積もっていたことになる。このことは少し前の記事に書いた。

 真の致死率が0.55%なら、発表された陽性者数と死亡者数から計算される日本の致死率約5.3%と比較すると、捕捉率は約10%で、真の感染者数は約17万人になる。さらに、抗体検査の結果から推計される真の致死率は0.2%未満との研究結果もあるから、これを用いると日本国内の真の感染者数は約45万人以上ということになる。いずれにせよ、日本国内の真の感染率は全人口の0.1%以上1%未満の範囲にある可能性が非常に高いと私は推測している。

 なお、以上述べたことはドイツや韓国など他の国にも当てはまる。とはいえ、ロンドン大学の研究で示された、日本におけるPCR検査による感染の捕捉率が中国やドイツと同じくらいで、韓国と比較すると半分程度というのは、マスメディアのいうところの「第1波」の数字がほぼ落ち着きつつある現時点で見ても妥当な数字だと思われる。ただ、各国の捕捉率が3倍くらいずつ高く見積もられているのではないかとの疑念を持つだけだ。それから、日本での捕捉率がドイツを除く欧米より高いのは、単純にこれまでアジアでは感染者数が少なかったという幸運によるものに過ぎない*2ことは、何度強調しても強調しすぎることはない。山中伸弥教授がよく言う「ファクターX」が何かは解明されていないが、おそらく欧米とアジアでは初期状態が異なっていたのではないか、つまり各国が感染に気づいた時の感染率がアジアと欧米とで大差があったのではないかとの仮説を私は立てている。いずれにせよ「日本モデル」などまやかし以外の何物でもない。

 

 昨日日本国内で新たに確認された新型コロナウイルスの陽性者数は74人、死亡者は6人。累計では陽性者16833人に対して陽性者889人、致死率は5.28%で前日とほとんど変わらない横バイだった(0.02ポイントだけ微増した)。新たな陽性者がここ数日増加傾向にある影響を受けていると思われる。

 前々からずっと書いている通り、致死率が下がる時は新たな感染の波に襲われ始める時期であって、これは悪い兆しだ。致死率は一定である状態が一番良い。致死率が一定になる状態とは、新たな感染者も死亡者も出ない状態のことなのだ。死んだ人間は生き返らないのだから仕方ない。私が毎日の致死率をずっと記録してきたのも、最終的な致死率に至るまでにどんな曲線を描くかを体感することが真の目的だった。大半の読者にとっては意味のない数字だろうが、ここは個人の「日記」だ。次の波に襲われたのではその目的に適わなくなるから、今後そういう事態になった場合は、毎日の致死率を記録するのは止める*3。古い感染と新しい感染の影響が混在しては、意味のない数字になってしまうからだ。

 下記はNHKニュースへのリンク。

 

www3.nhk.or.jp

*1:感染者でなく陽性者というべきだ。発表されている陽性者数は真の感染者数ではないからだ。極右政治家なのであまり評価したくはないが、東京都知事小池百合子は一貫して「陽性者」の言葉を使っており、その一点だけは評価できる。

*2:野村克也が言う「勝ちに不思議の勝ちあり」というやつだ。

*3:この場合はピークに達した時の致死率を、私の定義による第2波までの致死率(=武漢由来の第1波と欧州以来の第2波との和)とみなすことにする。なお同様の定義による第1波単独での致死率は3.7%だった。