kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

日本共産党の「所得再分配」解説より(2006年)

 最近、「リベラル・左派」の間で「富の再分配」を軽視する風潮が目立つ。その中に、「マルクスは再分配のことなど何も言っていない」と言って再分配を軽視し、結果的に「リベラル・左派」に「小さな政府」志向を再燃させようとするかのような言説がある。私はこれを看過できない傾向と考える者だが、他ならぬマルクス・レーニン主義の政党と思われる日本共産党は、実は現在の日本においては「所得再分配」を重視しているのだ。小泉純一郎政権の新自由主義経済政策に対する批判が高まりつつあった2006年4月6日付の『しんぶん赤旗』の記事がネット検索で引っかかったので以下に引用する。

 

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-04-06/20060406faq12_01_0.html

 

2006年4月6日(木)「しんぶん赤旗

所得再分配って?


 〈問い〉 貧富の差を広げる小泉「構造改革」を批判する中によく「所得再分配」という言葉がでてきますが、よくわかりません。どんな意味ですか?(東京・一読者)

 〈答え〉 「所得再分配」とは、ごく簡単に言えば、大企業や高額所得者など所得の大きいところにはより多く税負担してもらい、それを社会保障給付などの形で渡すことで、所得の低い人も生活できるようにすることです。

 資本主義では、放っておけば貧富の格差が広がる一方ですから、これを是正しなければなりません。この仕組みは、長年の民衆のたたかいの結果、つくりあげられてきて、現代国家の財政政策では当たり前になっています。ところが、小泉内閣新自由主義路線のもとでそれがこわされてきているのです。

 資本主義の市場経済では、働く者が働いてつくり出す価値(商品)が富の源泉となり、それが企業の利潤や賃金などのかたちで分配されています。その利潤や賃金にたいして、国家が税をとり、それを再分配する仕組みがあります。

 資本主義社会の初期には、利潤追求のための競争がなんの規制もなく「自由」におこなわれたため、労働者は非人間的な長時間労働と低賃金を強いられ、過酷に搾取されていました。それに加えて、徴収された税金の多くは軍事費や、国家権力を握る人たちに都合よく使われていました。その結果、不平等が広がり、一部の金持ちと多くの貧乏人ができるという対立が広がりました。

 しかし、20世紀前半にはこの矛盾が恐慌や社会革命となって爆発し、その修正を余儀なくされます。1929年の大恐慌後の米国のニューディール政策などがそれで、国家が市場経済に介入し、矛盾をやわらげる仕組みをとっていきます。(当時、アメリカの正統派の財政学者とされるマスグレイブは、市場機構を通じて実現される所得分配は社会的に最適なものではないとして、財政政策の目標として所得の適正な分配、経済の安定、資源の効率的配分の三つをあげている)

 こうして、かつては一部の金持ち階級のためにだけ使われていた税金が、いまでも軍事費や財界奉仕の予算部分は残していますが、しだいに、国民一般に、教育、保健、医療、保育、福祉、住宅、交通の便などのかたちで分配される部分が大きくなっていきます。

 戦後の日本国憲法が第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と明記したのもその流れです。

 小泉「改革」の結果、所得や雇用の不平等、地域間や産業構造のアンバランス化、「勝ち組」と「負け組」という極端な分解、亀裂が広がっています。憲法体制で守られてきた「所得再分配」構造を崩させない社会的反撃が求められています。(喜)

 〔2006・4・6(木)〕

(『しんぶん赤旗』より)

 

 胸のすくような正論だ。「マルクスは再分配のことなど何も言ってない」などとしたり顔で書く人間に、「ざまあみろ」と言いたくなる。彼らは資本主義体制下においては再分配を重視する日本共産党の姿勢を見習うべきだ。