kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

北方四島の帰属はロシア領で構わないが、ロシアの軍事施設は断固撤去させて北方四島を日露の緩衝地域にすべきだ

 昨日(2/22)下記記事を公開した。

 

kojitaken.hatenablog.com 

 上記記事にいただいたコメントより。

 

安支滅

いや、そもそも日本には択捉島国後島を求める権利はないですよ。北方四島というのは大日本主義の歪んだナショナリズムがもたらした幻想です。

 

 お言葉ですが、私は仰るような「大日本主義の歪んだナショナリズム」などにとらわれているものでは全くありません。

 その証拠として、1月20日に公開した下記記事に書いた文章から引用します。

 

kojitaken.hatenablog.com

 これも以前にも書いた通り、日本の右翼が「ソ連脅威論」をがなり立てていた80年代には、ソ連北方四島などほったらかしにしていたのに対し、ソ連が崩壊してエリツィン、次いでプーチンのロシアになってからロシアの密漁や密猟が激化し、最近では軍事施設の建設も急ピッチになるなど、共産主義を放棄して以降の現在のロシアの方がよほど「脅威」ではないかと嫌味の一つも言いたくなる。プーチン政権は日本の安倍政権や中国の習近平政権などとともに強権的で危険な独裁権力とみるほかないだろう。

 ロシアが既成事実化を着々と進めた今となっては、「知床と北方四島・ウルップ島を含めた世界自然遺産区域拡張」の実現性も遠のいたとみるほかないが、それでもこれを辛抱強く求めていくべきだし、その際北方四島の帰属はロシア領のままでも良いし、ただそれを認める条件としてロシアがこれまでに建設してきた軍事施設を完全に撤去することを求めるべきだと私は思う。その際、ロシアの軍事施設撤去の費用の一部を日本が負担するのもありだろう。なぜならそれは日本の安全保障にも資することなのだから。

 一方、この記事の冒頭にも書いた通り、ロシアによる既成事実化に易々と手を貸そうとしているようにしか見えない安倍政権に対しては、これを強く非難するしかない。

 

 上記引用文で赤字ボールドにした部分に明記したように、北方四島の帰属自体はロシア領のままでは良い、但し、あんな国境近くに軍事施設を建設したロシアの暴挙は断じて許されないというのが私の立場です。 

 さらに、ロシアがなした所業の悪質さを示すために、はてなブログに併設している読書ブログに2月9日に公開した下記記事からも引用します。但し下記では北方四島の帰属については言及していません。

 

kj-books-and-music.hatenablog.com

 現在の総理大臣である安倍晋三は、決して日本国民から「圧倒的に支持されている」わけではありませんが、3割ほどの「岩盤支持層」とNHK(宣伝役・岩田明子)や読売新聞といった国民の多数への影響力のあるメディアを押さえているのを背景に、かつ鈴木宗男佐藤優らの助言も取り入れて、強引に「二島返還」の可能性を追求しているといったところでしょう。佐藤優には一定の「リベラル・左派」からの支持もあるようですが、私は佐藤はとんでもない詐欺師であって、「現代の蓑田胸喜」と言っても過言ではないと考えています*2

 佐々木さんの言う「プラグマチックな解決」は、本来なら1990年代の、日本経済にまだ力が残っていて、かつロシアがソ連崩壊後の混乱期にあった時期までに行わなければいけなかったことなんじゃないかと思います。遅くとも、佐々木さんが上記ブログ記事を書かれた2000年代後半でしょうか。当時、北方四島の面積を半分で等分した、択捉島南端近くを国境とする案が言われていたと記憶しますが、今やそんなことは誰も言い出さなくなりました。現在は、日本経済が力を失った一方、世界的な独裁権力の一つと評するべきプーチン択捉島などに軍事施設を建設する暴挙に出ており、それを追認するかのような二島返還論は絶対に認めてはならないと思います。現在の日本はロシアと緊張関係があるわけでもなく、平和条約を結ぶ必要に迫られているわけでも何でもないので、千島列島全体を日露の緩衝地域にする*3ことを最終目標にして粘り強く交渉を続けるしかないというのが私の意見です。

 なお、全千島を領有していた頃の日本も、民間人の居住を認めるのは択捉島までで、それより北のウルップ島からシュムシュ島までへの民間人の居住を禁止していたことを今回『エトロフ島発緊急電』を読んで知りました。それは良いのですが、一方でシュムシュ島などに住んでロシア化が進んでいた千島アイヌの住民を色丹島強制移住させたのは暴挙以外の何物でもなく(その悲劇から小説に登場する宣造が造形されたんですよね)、それは厳しく批判されるべきですし、同様にプーチンによる北方四島への軍事施設建設やロシア人移住奨励などの政策も(これはもともとソ連時代からやっていたものの遅々として進まなかったようですが)、戦前の軍国主義日本やスターリンソ連にも匹敵する恐るべき強権主義的な妄動として厳しく批判されなければなりません。そういえば日本の「リベラル・左派」にはプーチンに対して甘過ぎる悪弊もあるように思います。

 やはりソ連時代の終わり頃から新生ロシアの初め頃にかけて、むしろソ連・ロシア側から提案があったという、知床の世界以前遺産を北方四島及びウルップ島にまで拡張する案がベストだったのではないか。歴史的にもウルップ島が北海道アイヌと千島アイヌの共同漁場として両者の緩衝地域だったらしいこと、さらにこれらの地域が世界自然遺産に登録されてロシアの軍事施設なども撤去されれば、択捉島への墓参にも障害がなくなるだろうに。そう思えてなりません。

 今はむしろチャンスが遠のいてしまった状態ですが、そんな時に日本側から変な動きをするのは愚の骨頂であって、前回の記事にも書きましたが、安倍晋三だの鈴木宗男だの佐藤優だのといった俗物が己の虚栄心を満たそうとしているだけの妄動に対しては徹底的な批判あるのみ。私はそのように確信します。

 

 上記引用文の中で「佐々木さんの言う『プラグマチックな解決』」と書いたのは、一族が択捉島出身で自身も択捉島に何度か墓参した経験を持ち、小説『エトロフ発緊急電』の著者でもある作家・佐々木譲氏が麻生太郎政権時代の2009年に書いた下記の帰属案です。

国後島は、北海道と地理的一体感があり、地域の住民感情としても、経済的にも、返還が切望される島だ。しかし、択捉島はべつである。わたしの一族は択捉島出身だけれど、わたしは島民二世としても、国後島までの主権回復、という線での戦後処理は受け入れてよいと考える。択捉島には自由に往来できて、墓参りが可能になればよい。

 

 下記に、『エトロフ発緊急電』のアマゾンのサイトと、上記引用文の引用元である佐々木氏の当該ブログ記事へのリンクをそれぞれ張っておきます。

  

エトロフ発緊急電 (新潮文庫)

エトロフ発緊急電 (新潮文庫)

 

 

sasakijo.exblog.jp

 

 引用文がやたら長くて恐縮ですが、私の言いたいことは以上です。