kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「歳出削減(=緊縮策)はマクロ的にもミクロ的にも経済にマイナスだった」(by『ニュースの社会科学的な裏側』)

 数日前に、「自覚なき新自由主義者」と私が認定しているクライマー某が、下記のツイートを発信した。

 

 

 クライマー某がリンクを張ったのは、いつだったかも批判した覚えがある『ニュースの社会科学的な裏側』というブログの「ポルトガルは緊縮財政を止めて経済回復をしたのか?」と題する2018年7月25日付記事だが、ここではその記事の論旨そのものではなく、記事中に含まれる記述について突っ込んでおく。

 まず当該記事から引用する。

 

 ポルトガルは、2015年11月にコスタ政権が成立して2016年予算が成立するまでは、緊縮的であった。VAT標準税率はリーマンショック前は20%で、現在の23%なので、3%ポイント引き上がっている。富裕層への所得増税や、公務員給与の引き下げ、年金給付額の実質削減なども実施されている。

 

 上記記事中に、緊縮財政の例として「富裕層への所得増税」が挙げられているが、なぜこれが緊縮に当たるのか全く理解できない。

 私の理解では、緊縮財政とは財政の歳出を削減することであって、富裕層への所得増税は歳出のための原資を確保する手段だから、これを緊縮と呼ぶのは間違っていると思う。だから富裕層増税を緊縮と書いてあるのを見て目が点になった。

 同様の理屈によって、消費増税そのものも緊縮策とはいえないと考えている。ただ、消費増税は逆進性が強いので、主に低所得層の消費を減らし、景気を冷やす。つまり逆進性による富の再分配の効果を弱めるし、景気を冷やすので直接税の税収も減らす。それが大問題なのだが、消費増税自体を緊縮と呼ぶこと自体は間違っていると思う。

 私は以上のように考える人間だから、同じ引用元の下記のくだりには笑うほかなかった。

 

 そもそも緊縮と言っても、歳出削減か増税か方法は二つあり、同じ効果とも限らない。歳出削減がマクロ的にもミクロ的にもマイナスであったと言うような話は出て来ているが、増税が悪影響と言う話はまだ無いようである。

 

 私の理解によれば増税は(少なくとも直接的には)緊縮には当たらない一方、歳出削減は緊縮そのものだ。その歳出削減が「マクロ的にもミクロ的にもマイナスであった」というのだから、「緊縮財政政策は(不況期には*1)経済に悪影響を与える」ことになる。

 要するに、クライマー某の自爆だってことだ。

*1:当たり前だが、緊縮財政をとるべき時期も確かにあって、それは好況期だ。しかし、バブル経済当時の竹下登政権はとんでもないバラマキ財政をやらかした。これは強く批判されるべきだと私自身は考えているし、そのことはこの日記に何度も書いてきた。