kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

元号を政治団体名に冠した山本太郎を「日本共産党(左派)」系の『長周新聞』が応援する怪

 最近某所で知ったが、元号政治団体名に冠した山本太郎を「日本共産党(左派)」の機関紙『長周新聞』が応援しているらしい。「山本太郎 長周新聞」を検索語にしてネット検索をかけると、同紙による山本太郎応援記事が多数引っかかる。

 知らない人が多いかも知れないが、『長周新聞』とは、昔日本共産党から分かれた「日本共産党(左派)」というセクトの事実上の機関紙で、本社は安倍晋三の本拠地とも言うべき下関市にある。かつて下関市長を務めていた江島潔(現参議院議員)の批判記事をさかんに書いていたので、この新聞の正体を知らなかった2006年頃には『きまぐれな日々』(無期限で更新停止中)で何度か同紙の江島潔批判記事を紹介したことがあるが、同紙の正体を知ってからは止めた*1。というのも、「日本共産党(左派)」は毛沢東を信奉する人たちが、中国共産党への批判を強める日本共産党に反対して党を割った(自分たちから出て行ったか追い出されたかは知らない)経緯があるからだ。私は毛沢東が大嫌いなので、そんな勢力に肩入れする気など「毛頭」起こらない。

 なお、分派は日本共産党の「民主集中制」に違反するため、「日本共産党(左派)」は日本共産党と鋭く対立している。両者は「不倶戴天の敵」同士なのだ。『長周新聞』に言及する者は、この程度のことは最低限知っておかねばならない。

 前振りが長くなったが、先日山本太郎が小倉(福岡県北九州市)を訪れて街宣した時に発した言葉を記事にした(5/9)。以下に山本太郎の言葉を抜粋する。

 

「れいわ新選組」が小倉で街頭宣伝 新勢力の結集めざし熱こもる山本太郎の演説 | 長周新聞

 

 「れいわ新選組」という名前についてご意見もあるが、短い期間に旗揚げして次の選挙までにたたかえる準備を整えなければならない。多くの方に覚えていただける名前を考えた場合、よくある政党名ではやはり難しい。7月には参議院選だけでなく、おそらく衆議院選もある。ダブル選挙になったとき政権を狙いに行くのだ。「一人なのになにいってるんだ」といわれるかもしれないが、政権をとれるかどうか、もしくは野党のなかでも数を増やせるかどうかの鍵はみなさんがお持ちなのだ。元号に対しては天皇制につながるという考えで否定される方もおられるかもしれないが、私たちはイデオロギーに縛られたところでのたたかいをしたいのではない。勝ちに行かなければならない。「元号を政治利用するのか」という方もおられるかもしれないが、平成も大学名や企業名に使われた。元号はみんなのものだ。

 

(『長周新聞』2019年5月9日より山本太郎の街宣での言葉=於小倉)

 

 「元号はみんなのものだ」とは開いた口がふさがらない物言いだ。そもそも山本太郎は2013年10月31日に行われた秋の園遊会で当時の天皇だった明仁に「直訴」したり、皇居に向かって90度の角度で体を折り曲げたりなどと言語道断の振る舞いをした。山本太郎は右翼民族主義者そのものであって*2、間違ってもリベラルではない*3。経済政策では左派といえるが、政治思想右派と経済左派の組み合わせは、ナチスの看板であったところの「国家社会主義」に通じる。

 「日本共産党(左派)」が山本太郎を持ち上げるのには、そうした要因もあるのかもしれない。極右と極左とは似た者同士だということだ。松本清張推理小説に、山登りの同行者を休ませることによってわざと疲労を蓄積させ*4、同行者を死に至らせるという筋の作品があったが*5、「野党共闘」を共産党に押しつけた小沢一郎の狙いはそこにあるのではないかと私は疑っている。というのは、小沢の最終的な目標は保守二大政党制であり、そのためには共産党を衰退させる動機は小沢には十分あるからだ。現に小沢には衆院選小選挙区制を導入し、社民党を衰退させた経緯がある。その小沢の罠に現在かかっているのが共産党であるように見える。共産党は直近の歴史から何も学んでいないというべきだが、そんな共産党の衰退は、同党と鋭く対立する「日本共産党(左派)」にとっては大いに望むところに違いないのである。

 おそらく山本太郎の場合はそこまでは考えておらず、単に小沢一郎の掌の上で踊っているだけだろうが、今後の山本の動きには大いに警戒が必要だと思う次第。『長周新聞』が報じた下記の山本の言葉など、不要な混乱を招くだけではないか。

 

 自由党の共同代表という立場にあったり、どこかの政党に属しているという立場にあったりしたら、与党と野党が机の下で手を結んでいるなんていいづらいが、一人になったら何でもいえる。これから全部みなさんにばらす。これが政治のあり方だ。コントロールするのは企業ではない。あなただ。あなたが判断するために必要な情報をどんどん発信していく。国は何でもできる。自分の奥さんの友だちの学校経営者にただ同然で国有地を差し上げることもできるし、歴史的公文書の改竄だってできる。賃金統計8年分を捨てることだってできる。長時間労働も可能にするし、企業側に税金だって流すしやりたい放題。だったらその逆をやりましょう。一部の人間に忖度することなんてやめろ! みんなに忖度しろ! ということをやらせてほしい。

 

(『長周新聞』2019年5月9日より山本太郎の街宣での言葉=於小倉)

 

 赤字ボールドにした部分は、現在話題になっている丸山穂高の物言いと瓜二つだ。また、青字ボールドにした部分について言えば、山本太郎こそ小沢一郎に対する忖度を止めろと言いたい。

 これまでは、「反緊縮」については山本太郎を評価できるために(それは今も変わらない)、ひところよりも山本太郎への批判を抑えていたが、どうやらそうもいかなくなった。今後は山本太郎に対する批判を強めていくつもりだ。

*1:https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2019/05/18/070521

*2:そのくせに山本太郎はリベラル・左派に媚びているが、大いなる欺瞞だ。

*3:括弧付きの「リベラル」ですらない。

*4:山歩きの最中に長時間の休憩をとると、溜まった疲労が噴き出して体が動かなくなるのは事実で、私にも経験がある。

*5:「遭難」(1958)。『黒い画集』に収録。