山本太郎の元号党の政党支持率が各メディアの世論調査で把握できるようになってきている。
TBS(8/3,4調査)が1.3%、NHK(同)が1.2%、産経・FNN(同)が1.6%となっている。いずれも8月最初の週末の調査で1パーセント台。参議院選挙比例区での得票率4.55%よりかなり低いが、野党の政党支持率とは山本党に限らずこのようなものであるのが常態だ。それは選挙の投票率と、必ずしも党を支持しているわけではないが消去法で選んだ人が多かったことなどから説明できる。同時に、参院選2週間後でも、山本党への支持はなお限定的なものにとどまっているともいえる。
三春充希氏が、立憲民主党の票が山本党に流れたことを示すデータ分析結果をまとめている。
これは、ざっと各党のを2017年衆院選における各ブロック比例代表得票率と、2019年参院選における比例区得票率を眺めただけでも容易に推測できることではあるが、いつもながら、それを詳細なデータ分析で示したところに意義がある。ちなみに、比較の対象を2016年参院選にまで広げると、2016年の参院選で共産党に投票した人のうちかなりの部分が2017年衆院選では立憲民主党に流れ、今年の参院選ではその票が共産党には戻らずに、ほぼそっくりそのまま山本党に流れたという推測が成り立つはずだ。このことは7/27のこの日記の記事で指摘した。
三春氏は、1983年参院選のサラリーマン新党の得票率と今回の参院選での山本党の得票率を比較して、山本党が「都市型政党」のカテゴリには収まり切れない、全国的に幅広い支持を獲得していることをも示している。
1983年の参院選のサラリーマン新党。極めて強い都市型の分布です。 pic.twitter.com/xfcLF1U77x
— 三春充希(はる)⭐みらい選挙プロジェクト (@miraisyakai) August 12, 2019
- 2019年参院選での山本党の得票率分布↓
第25回参院選(2019年)比例代表
— 三春充希(はる)⭐みらい選挙プロジェクト (@miraisyakai) August 7, 2019
れいわ新選組得票率 pic.twitter.com/7khbd7g4jM
一目瞭然、都市部に偏っていたサラ新党の得票率に比べると、山本党の得票は、都市部が地方よりも強い傾向は有しながらも、それにとどまらない広がりがある。
しかし、政党支持率が示す通りまだまだだ。
上記世論調査結果や三春氏の分析や、先日ブログで言及した菅原琢氏の分析(朝日新聞8/2オピニオン面掲載)、それに一昨年に橋本健二氏が『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)の巻末に書いた文章(前述の7/27付の当日記記事で紹介した)などが、山本党に限らず、立憲民主党、共産党やその他の野党が今後とるべき方向性の参考になるだろう。
一言でいえば、山本党はアンダークラス数を一定程度掘り起こしたが、その程度なら2017年衆院選で立憲民主党も掘り起こしていて(但し立民はその後に期待を裏切った)、得票の多くは都市部のリベラル層から得たものにとどまっている。
山本党は、まだアンダークラス層の多数をも動かすだけの訴求力は持ち得ていない。
私見では、山本党にとっての「壁」になっているのは、小澤一郎とその一派の呪縛だ。彼らの主張は、なお従来の小沢派の主張の影響、いや束縛を強く受けているが、小沢党(最終的には自由党)の政党支持率(長らく1%未満で推移していた)が示す通り、それは山本党への支持を広げるための阻害要因になる。特に、山本太郎の街宣で質問する人たちの口から、「不正選挙論」や「地球温暖化懐疑論」などといった、過去10年間の「小沢信者」のトンデモ教義*1に関するものが飛び出しているうちはどうしようもない。