標記の件をめぐって堀茂樹氏と三春充希氏が論戦を展開しているが、これは堀氏に分がある。まず堀氏のツイートを示す。
更に、全国的に見てれいわ得票率の高かったのが東京、沖縄、首都圏と京都だった事にも注目。れいわが主に、「本当に困っている人たち」、「消えてしまいたい、死にたい、そう思ってしまう世の中のほうが間違ってんですよ」との山本太郎の「言葉が響く人たち」(はるさん)から得票したとは考えにくい。
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) August 13, 2019
次に三春氏の反論。
連続するツイートを受けてのその考えは、やや短絡的と言わざるを得ません。というのも、平均所得が高い地域に住んでいるのが、高所得者に限られないという簡単な事実があるからです。そうしたことは、海外の選挙ではいくらでも目にするものです。https://t.co/z6wKFXrveD
— 三春充希(はる)⭐みらい選挙プロジェクト (@miraisyakai) August 15, 2019
堀氏の再反論。
はるさんの日頃の統計値整理による社会貢献を格別高く評価し、尊敬・感謝しています。ただ、はるさんの最新のnoteの後半部のコメントは珍しく主観的で、データと背馳しています。平均所得が高い地域の住民が高所得者に限らぬ事など、先刻承知です。問題は全体的傾向であり、短絡的の誹りは返上します。
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) August 16, 2019
私は東京東部に在住しているので、東京西部よりは「本当に困っている人たち」や「消えてしまいたい、死にたい、そう思ってしまう」人たちが多いのではないかと思われる東京東部、その中でもそういう人たちの比率が高いのではないかと思われる足立、葛飾、江戸川の3区は他の区と比較して山本太郎の元号党への投票率はどうなっていただろうかと思って調べてみた。
上記リンクのブログ記事には、「れいわ新選組*1の支持層は、区内西部に偏っている」図も示されているが、東京23区各区の各党の得票率が、区全体の投票率とともに示されている。
それを見ると、山本党の得票率が最少なのは足立区と葛飾区の6.2%*2で、次いで江戸川区の6.4%が続く。つまり、足立・葛飾・江戸川区が23区中では山本党の得票率のワースト3なのだ。ちなみに足立区は公明党の得票率が23区中最多の17.2%で、江戸川区が第2位の16.3%、葛飾区が第3位の14.6%だ。この3区は立憲民主党が弱い区でもあり、立民の得票率のワーストは荒川区(ここも東京東部6区の1つだ)の14.0%だが、以下足立区14.2%、葛飾区14.3%、江戸川区14.4%と続く。ちなみにワースト5位も東京東部の墨田区の14.7%であり、立民の得票率が15%を下回っているのは上記5区だけだ。
もちろん、東京東部の各区においても全国平均の4.55%よりは山本党の得票率が高いが、「本当に困っている人たち」や「消えてしまいたい、死にたい、そう思ってしまう」人たちの心を掴んだとは言い難い。少し前に朝日新聞のオピニオン面で菅原琢氏が指摘していた通り、山本党は政策を自由に選べるメリットがあるので、今後打ち出す政策によっては「本当に困っている人たち」や「消えてしまいたい、死にたい、そう思ってしまう」人たちの心を掴めるポテンシャルが他党より高いとは私も思うが、参院選でこうした人たちの心を掴んだから躍進したという結論を導き出すことは不可能だ。参院選の投票率も足立区(46.4%)と江戸川区(47.0%)は5割を割っており、足立区は23区中最低、江戸川区はそれに次ぐワースト2位だ(葛飾区は51.2%で12位)。足立・江戸川両区ではこれまで通り公明党か共産党に投票するか、さもなくば棄権するという投票行動をとった人が多かったのではないか。
私には、下記ツイートが正鵠を射ているとしか思えない。
推測するに、高所得者が多い地域でのれいわの高得票は、山本太郎の当初基盤とした環境左派からの票が多く(脱原発・脱被曝)、得票のベースは未だそこにあるのではないかと思います。そして山本太郎の経済政策は、いわゆる本当に困っている層にまで届いていない可能性があるかとは思います。
— micha (@micha_soso) August 17, 2019