kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」、愛知県知事の再開意向表明直後に補助金不交付の方針が報じられる

 先週半ばは平日に休みをとってネットから離れていたのだが、その間に前回書いた電力会社の問題よりもっと重大な問題を安倍政権が引き起こしていた。あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」再開の意向を大村秀章・愛知県知事が表明した直後に、文化庁補助金を交付しない方針だと報じられた一件がそれだ。調べてみると、第一報はNHKが伝えたらしい。日時(9月26日12時45分)を参照すると、ちょうどNHKニュースのタイムスタンプの時刻には、私は山のてっぺんにいて開放感を満喫していた。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190926/k10012099321000.html

 

愛知 国際芸術祭への補助金 不交付の方針 文化庁

 

慰安婦を象徴する少女像などの展示をめぐって脅迫めいた電話などが相次ぎ一部の展示が中止された愛知県の国際芸術祭について、文化庁は、事前の申請内容が不十分だったとして、予定していたおよそ7800万円の補助金を交付しない方針を固めたことが、関係者への取材で分かりました。

 
愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」のうち「表現の不自由」をテーマにした企画展は、慰安婦を象徴する少女像などをめぐって脅迫めいた電話などが相次ぎ、先月、開幕から3日で中止されました。

「あいちトリエンナーレ」について、文化庁は、ことし4月、観光資源としての文化の活用推進を目的とした国の補助事業として採択し、およそ7800万円を交付する予定でした。

しかし一連の事態を受けて改めて検討を行い、愛知県からの申請は、少女像などの具体的な展示内容の説明がなく不十分だったとして、補助金を交付しない方針を固めたことが、関係者への取材で分かりました。

この補助金について菅官房長官は先月2日の会見で「審査の時点では、具体的な展示内容の記載はなかったことから、補助金の交付決定では事実関係を確認、精査したうえで適切に対応していきたい」と述べていて、文化庁の判断が注目されていました。
「あいちトリエンナーレ」に対する補助金の取り扱いについて、文化庁は、審査の結果「申請者である愛知県は、開催にあたり、来場者を含め、展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、事実を申告することなく、文化庁から問い合わせを受けるまで事実を申告しなかった」と指摘しています。

そして「審査の視点で重要な点である、実現可能な内容になっているか、事業の継続が見込まれるかの2点で、適正な審査を行うことができなかった」としています。

そのうえで「補助事業の申請手続きにおいて不適当な行為であったと評価した」として、補助金適正化法に基づき、全額不交付とする方針を固めました。

こうした方針について、文化庁は「文化資源活用推進事業」では、申請された事業は、全体として審査するもので「あいちトリエンナーレ」は、申請金額も事業全体として不可分一体な申請がなされているとして、総合的に判断したとしています。

表現の自由”めぐって議論

愛知県の国際芸術祭、「あいちトリエンナーレ」のうち「表現の不自由」をテーマにした企画展をめぐっては、主催者側を脅迫するファックスや脅迫めいた電話のほか、あわせて770通の脅迫メールが届きました。

また、政治家の発言が相次ぎ、憲法が保障する表現の自由をめぐって議論が起きました。

このうち名古屋市の河村市長は、先月2日、会場を訪れたあと記者団に対し「どう考えても日本国民の心を踏みにじるものだ。税金を使ってやるべきものではない」と述べ、この企画展の中止を求めました。

この発言について、愛知県の大村知事は先月5日の会見で「憲法違反の疑いが濃厚だ。公権力が『この内容はよくてこれはダメだ』と言うのは、検閲ととられても仕方ない」と批判しました。

また、河村市長の発言のほか、菅官房長官が先月2日の会見で芸術際への国の補助金について、事実関係を精査し、交付するかどうか慎重に検討する考えを示したことについて、日本ペンクラブが声明で「行政の要人によるこうした発言は政治的圧力そのものであり、憲法が禁じている『検閲』にもつながるものである」と指摘するなど議論を呼んでいます。

官房長官は先月5日の会見で、補助金をめぐるみずからの発言が主催者側の判断に影響を与えたと考えるか問われたのに対し「まったくない。国民の大事な税金を交付するので、事実関係を確認した上で適切に対応すると答弁しただけで、記者の質問に対して申し上げただけだ」と述べました。

そのうえで「暴力や脅迫はあってはならない。刑事事件として取り上げるべきものがあれば、捜査機関で適切に対応する」と述べました。

官房長官補助金文化庁で審査中」

官房長官は午前の記者会見で「展覧会を開催するかどうかについては、主催者において判断されるべきことだ。文化庁補助金の取り扱いについては、文化庁で審査中であると報告を受けている」と述べました。

憲法学者の木村草太さん「不交付は被害者を追撃したことに」

愛知県で開かれている国際芸術祭について、文化庁補助金を交付しない方針を固めたことについて、憲法学者で、首都大学東京の木村草太教授は「安全を害したから補助金を交付しないとなると、脅迫を受けた被害者を追加で攻撃していることになってしまう。脅迫は犯罪なので、警察や司法機関が適切に対応して解決すべき問題だ。文化庁は、寄り添うべき相手が加害者なのか被害者なのかという点を、もう一度冷静に考えるべきだ」と指摘しています。

そのうえで「補助金の交付は、芸術作品としての価値を基準に判断するのが原則で、今回のような理由で交付しないとなれば、不十分な理由での補助金の運用が横行して、補助金を通じて特定の思想表現には援助しないという排除が進む危険性が高い。交付しないのであれば、極めて慎重に、また十分な理由をもって判断すべきだ」と指摘しています。
 
NHKニュースより)

  

 決定した補助金の交付を事後に不交付にするなど前代未聞で、これは表現の自由への公然たる挑戦以外の何物でもない。平河エリ氏が下記の怒りに満ちたツイートを発信している。これがあいちトリエンナーレの一件を指していることは、その前後のリツイート疑う余地がない。

 

 

 平河氏は旧民主・民進支持系のライターで、私と意見が合わないことも少なくないが、このツイートに見る感度の鋭さや怒りの強さは他の件でもしばしば見られる。気候変動の件やN国党・立花孝志の暴言の件などがそうで、それらはこのあと引き続いて公開する記事で言及する。休暇を取って山に登ったり旅の電車の中でのんびり村上春樹なんぞを読んだりしていた先週は、実はとんでもない1週間だったようだ。慄然とさせられる。

 各野党があいちトリエンナーレ、立花、気候変動などの問題にどう反応したかも気になるところだ。特に最初の2つの問題では山本太郎*1やその支持者、最後の問題では玉木雄一郎*2や民民支持者の反応が気になる。彼らは平河エリ氏が示したような敏感にして強い反応を示すことができたのだろうか。

 この国の「崩壊の時代」はもうとんでもなく深刻な局面を迎えているのだ。 

*1:「表現の不自由展・その後」に中止の圧力をかけた名古屋市長・河村たかし小沢一郎系のお仲間だし、地球温暖化懐疑論は「小沢信者」の間に蔓延している。

*2:国民民主党代表・玉木雄一郎は、立花孝志との対談のYouTube動画をまだ公開された状態のままに放置しており、立花を批判する言葉も発信していないらしい。