新潮文庫でフロイトの『精神分析入門』上下巻を読んだのは1987年だった。だからフロイトの「言い間違い」に関する論考は知っている。言い間違いには無意識の願望が反映されているとかいう例の話だ。
安倍晋三が昨夕(5/4)やらかした言い間違いは、プロンプターに示された「(5月)8日」を「8月」と読み間違えただけではなく、もう一件あったらしい。
首相、記者会見で「任期満了」と言い間違い 緊急事態宣言解除巡り https://t.co/E5qC32DUFd
— 毎日新聞ニュース (@mainichijpnews) 2020年5月4日
以下、毎日新聞記事を引用する。
首相、対策本部で「任期満了」と言い間違い 緊急事態宣言解除巡り
安倍晋三首相が4日、新型コロナウイルスに関する政府対策本部で、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の5月末までの延長を正式発表した際、「可能であると判断すれば、“任期満了”を待つことなく緊急事態を解除したい」と言い間違える一幕があった。
首相は2021年9月に自民党総裁の任期満了、21年10月には衆院議員の任期満了を迎える。政界では任期満了前の衆院解散の時期や党規約改正による総裁4選の可能性が常に耳目を集めており、「頭の片隅にもない」とけむに巻くことも多い安倍首相だが、今回は延長期間“満了”前の緊急事態宣言解除の可能性をはっきりと語った。【花澤葵】
毎日新聞 2020年5月4日 18時51分(最終更新 5月4日 21時51分)
出典:https://mainichi.jp/articles/20200504/k00/00m/010/115000c
「衣の下から鎧」とはこのことで、安倍が何を考えているかがはっきりわかる。
安倍は、新型コロナウイルス感染症対策になど全く関心がないのだ。
そんなものは専門家会議に任せておけばよい。うまくいかなければその責任を彼らに押しつければ良いと考えているのだ。
それでもネトウヨが熱狂的に支持してくれることはもちろん、NHKで岩田明子が言い繕って国民を騙してくれると高をくくっている。
安倍にとっての最大の関心事は、「追い込まれ解散」を回避することだ。前回の解散総選挙からもう2年半が経っているから、いつ衆議院を解散するか、そればかり考えている。だから自分の任期満了である2021年9月とか、衆議院議員の任期満了である同年10月という期限は片時も頭から離れない。
だから今回のような言い間違いをしたのだ。
これは「フロイト的言い間違い」でさえない。というのは、フロイトが言ったのは「無意識の願望」であるのに対し、解散総選挙は常に安倍の最大の関心事だからだ。意識レベルでの話であって、単に「そればかり考えているから言い間違えた」に過ぎない。
安倍という人間には常識は通用しないから、緊急事態宣言を終わらせるや否や衆議院を解散するということさえやりかねない。
野党はそのあたりを頭に入れた方が良い。特に民主党系は、枝野幸男と玉木雄一郎との亀裂はもはや修復不可能とさえ思われるし、特に玉木はほっといたらどんどん維新系などとの野合に走りかねないスタンドプレー専科の人間だから、玉木の暴走*1を抑えるためにも、現在無所属の岡田克也あたりが仲裁に入って、岡田が衆院選までの期限つきの党代表に就任する形で立憲民主・国民民主の両党を合流させた方が良いのではないか。3年前に前原誠司と小沢一郎が小池百合子と妄動を起こした結果、現在の旧民主・民進系は立民と民民に分かれており、立民は小池百合子に「排除された」人たちが中心になってはいるが、同党は旧みんなの党などの新自由主義勢力を多く抱えているうえ極右政治家も少なからずいるから、民民との大きな違いなどありはしない。
仮に安倍晋三が早期の解散総選挙の奇策(安倍にとっては当然の策)に走った場合、現在の野党の態勢では自公与党の地滑り的圧勝が目に見えている。