kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

愛知県知事リコール不正署名問題の焦点は高須克弥と河村たかしの関与/吉村洋文が高須を応援した悪行を忘れるな

 愛知県知事リコールの不正署名問題を、愛知県選管が愛知県警に被疑者不詳で刑事告発した。大村秀章知事も刑事告発する意向らしい。

 Qアノン信者やかつてのオザシンが騒ぎ立てた、ドミニオンだのムサシだのを用いたとかいうありもしない「不正投票」とは違って、本件は正真正銘の不正署名であって、なんと全署名のうち83.2%、つまり6分の5までもが不正と認定された。署名数は6倍に水増しされていたのだった。

 遠く九州の佐賀県からも大量の不正署名が名古屋に送られていたことが明らかになった。

 この件の焦点は、ネトウヨの星ともいうべき高須克弥が関与していたかどうかだろう。普通に考えれば、首謀したかどうかまではわからないが、関与していないと考える方がおかしい。しかし証拠を掴まなければ高須を逮捕することはできない。そう、高須が逮捕されるかどうかが注目の的だ。

 名古屋市長の河村たかしは泥舟から逃げ出そうと、自らも刑事告発する構えを見せているというが、茶番もいいところだろう。しかし河村の関与を立証するところにまでこぎ着けるのはなかなか難しいと思われる。下記のツイートのような指摘もあるけれども。

 

 

 こういう疑惑が明らかにされて河村逮捕まで行けば本当に万々歳なのだが、とりあえず河村に関しては4月の名古屋市長選で引きずり下ろすことができるかどうかが焦点になる。

 忘れてはならないことは、昨年6月に高須がリコールを言い出した頃、大阪府知事の吉村洋文が高須を応援したことだ。下記は当時のサンケイスポーツの記事。

 

www.sanspo.com

 

 以下引用する。

 

吉村知事、大村知事リコール運動の高須院長に「応援してます」

 

 美容外科高須クリニック」の高須克弥院長(75)が愛知県の大村秀章知事(60)の解職請求(リコール)運動を起こすことが1日、分かった。高須氏はこの日、名古屋市内で2日に記者会見すると自身のツイッターで発表。「吉村知事のご臨席の栄を賜れれば克弥望外の喜びであります」と大阪府の吉村洋文知事(44)に呼びかけた。

 吉村氏はツイッターで「高須先生、さすがに明日の14時は松井市長と大阪で会議の公務がありますので、出席は難しいです」とした上で、「リコールは簡単にはいかないと思いますが、応援してます」とつづり、「行政が税金であの『表現の不自由展』はさすがにおかしいですよね」と指摘した。

 高須氏は5月23日のツイッターで、芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」を巡り、「英霊を侮辱する作品展を、血税を使って行う大村知事は愛知県の恥です。リコールします」と投稿していた。新型コロナウイルス感染対策を巡る大村氏の言動についても批判を重ねている。

 また大村氏が新型コロナウイルス感染拡大を巡って「東京、大阪は医療崩壊の状態」との発言を繰り返した際、吉村氏は「大阪で医療崩壊は起きておらず、根拠が不明」と反論し、知事同士による異例の応酬になっている。

 

サンケイスポーツ 2020.6.2 00:01)

 

出典:https://www.sanspo.com/geino/news/20200602/pol20060200010001-n1.html

 

 この吉村に限らず、今回の愛知県知事リコールを一貫して煽り続けていたのが、部外者であるはずの大阪維新の会だった。

 今では高須・河村や維新に目の敵にされている大村秀章にも、かつて愛知県知事選で圧勝した2011年当時には「愛知維新の会」を立ち上げたり、当時人気絶頂だった橋下徹の政治塾だったかに参加して橋下の「指導」を受けるだのしていた「黒歴史」がある。この件に関してネット検索をかけて引っかかったのが、下記の恐るべき一件だ。

 

toyokeizai.net

 

 上記リンクは東洋経済オンラインの2012年5月23日付記事だ。大村は自身が主宰していた地域政党日本一愛知の会」の勉強会の講師として、なんと竹中平蔵を招いていた。

 上記記事には大村と橋下、および大村と河村の関係に関する興味深い文章があるので以下に引用する。

 

(前略)大村知事は「橋下さん(徹大阪市長)からは『名古屋では大村さんが(維新の会を)やってください、お願いします』と言われましたからね」と明らかにしている。つまり、いま地方で勃興している政治塾ブームの元祖である大阪維新の会の正統なフランチャイジー、というのが大村知事のスタンスだ。

 

 一方で、同じ愛知県内には、「減税日本」代表を務める河村たかし名古屋市長が率いる「河村たかし政治塾」もある。こちらは正統なフランチャイジーではありませんよ、というのが大村知事のメッセージだろう。

 

 両者は互いの存在を意識しながらの塾運営となっている。とはいえ昨年2月のトリプル選挙で共闘した間柄でもあり、2つの塾には重複して加入している塾生も少なくない。2つの政治塾がくっついてしまえばスッキリするのだが、そうはならない。両者の間には深い溝が刻まれているためだ(詳細は5月7日発売の週刊東洋経済臨時増刊『進化する名古屋』をお読みください)。(後略)

 

(“大村愛知県知事の「東海大志塾」が竹中平蔵氏を講師に招き勉強会を開催”(山田俊浩)=東洋経済オンライン 2012年5月23日付記事)

 

出典:https://toyokeizai.net/articles/-/9246

 

 大村秀章といえば河村たかしに誘われて愛知県知事選(2011年2月6日投開票)に立候補した人だが、翌年には既に河村と対立していたようだ。そして大阪維新の会橋下徹)との関係は、2012年にはむしろ大村の方が河村よりも良好だった。当時の河村は野心をギラつかせていたので、自身も河村以上の野心家である橋下がそれを嫌ったものだろう。公開の場で行われた橋下の河村・大村に対するレクチャーでも、より酷評されたのは河村の方だった。結局河村も大村も何度か行われたこのレクチャーに参加しなくなった。そういういきさつがあったために、大村は維新に「目をかけてやったのに裏切りやがって」と憎まれることになり、河村は河村で野心家同士の反発から維新とは一定の距離を置いているのではないか。ただ高須克弥に対してなら維新も心置きなく応援できるのだろう。

 大村と河村の思想信条や政策を比較すれば、河村が歴史修正主義者の極右であるのに対して大村は普通の保守だし、より新自由主義度が強いのも河村の方であることは明らかだが、大村も平気で竹中平蔵ら悪名高いネオリベとつるむことができる政治家であることは認識しておいた方が良いだろう。今の「リベラル」には大村を無批判で称賛する者が少なくないようだが、そういう態度では困ると言いたい。

 とはいえ今回の愛知県知事リコール不正署名問題では、敵の本丸はあくまで高須克弥であり、河村たかしであることはいうまでもない。

 例によって蛇足を書くと、かつて河村を熱心に応援したオザシン(「小沢信者」)どもが現在河村に関して沈黙しているのは、卑劣きわまりない態度である。