東京都の小平市長選は新人同士の争いだったが、野党系候補が勝った。しかし、1980年代前半に東京都西部に住んでいた経験のある私は、小平市は今回の選挙結果に現れたよりももっと野党、というより当時の革新系が強い土地柄だったという印象があるので、そんな東京西部でもずいぶん自民系が強くなっていたんだなあと思った。
以下、朝日新聞の前田直人記者のツイートより。
もともと小平市は、4期務めた小林正則市長が社民連・さきがけ・民主党出身で、野党共闘の基礎がありました。ただ今年は都議選や衆院選を控え、新人同士ということで自公も勝ちに行った選挙だと思います。ちなみに選挙戦最終日に自公推薦候補の応援に入ったのは、石破茂元自民党幹事長だったようです。
— 前田 直人 (THE ASAHI SHIMBUN) (@Nao_Maeda_Asahi) 2021年4月4日
東京でもいわゆる三多摩は、市民運動をベースとしたリベラル・左派と言われる層が厚い地盤が比較的多いのですが、都議選でもこのあたりがどう作用するかで結果がガラリと変わります。2017はそんな小平でもトップ当選は都民ファーストでした。あの風は今年、どこへ向かうのでしょうね。
— 前田 直人 (THE ASAHI SHIMBUN) (@Nao_Maeda_Asahi) 2021年4月4日
かつての「リベラル・左派」支持層からは小池百合子の「都民ファ□ストの会」に流れた人たちがずいぶんいた。2017年の都議選は今思い出してもいまいましい。そしてその傾向は、都ファの勢い自体は衰えて都議選で再び自公が組むことになった今になっても続いている。
その一つの表れが、熊谷俊人・新千葉県知事への圧倒的な支持だろう。比較的最近、某「リベラル」ないし都会保守系のブログが、「熊谷知事を立憲民主党の党首に」などとする記事を公開したのに呆気にとられたが、ああいう新自由主義者に惹かれる民主・民進系「リベラル」の人たちは今なお少なくない。もっとも、彼らの中には最近の立憲民主党と共産党の接近を快く思わない人たちが少なくなく、彼らの多くは日本維新の会への支持に回っているようだ(国民民主党や山本太郎の某新選組にはほとんど凪がれていないように見える)。
とはいえ数としては立民・共産の提携を支持する人たちの方が多数だ。しかし最近の共産党には「左の公明党」と評するべき傾向が強くなりすぎているように私などは思う。選挙での提携は提携として、言うべきことはきちんという姿勢が共産党及びその支持者たちからかなり後退してしまっているのではないか。たとえば参議院の広島再選挙での野党候補は、長野県の衆院補選とは大いに様相が異なって、東京電力系の国民民主党参院議員・小林正夫が大々的に応援しており、そのせいか原発については何も言わない。野党における原発推進系の国会議員の最たる存在である小林に対する批判や懸念の声が、共産党やその支持層からほとんど聞かれないことに私は奇異の念を抱く。
小平市では市議会の補選も行われ、定数3を4人で争ったが、唯一の落選者は共産党公認候補だった。自公は同じ無所属の候補を推し、その候補者の得票は立民・共産両党の得票の合計を上回った。もう1人無所属で立候補した31歳の女性候補が当選したが、やはり保守系らしい。彼女の立場の詳細はちょっとネット検索をかけただけではわからなかったが、どうも維新系でもなさそうだ。
とはいえ市議補選では保守系が立民と共産の両公認候補の合計得票を大きく上回った。保守系のツイートを見ると、この補選の結果で保守系が市議会の過半数に達した、これで市政はねじれ状態になったなどと言っている。
小平市長及び市議補欠選挙。結果は革新系候補の小林洋子氏(立民)が当選。大変残念です。しかし、補選では保守系候補である外山氏・石津氏が当選。議会は保守派が多数派になった模様。それは良い事かと。小林洋子市政は船出から捻じれ状態で運営しなければならない。これから、少々面白いですね。 pic.twitter.com/mv1EvPTem4
— 小平保守ちゃんねる (@masam281) 2021年4月4日
東京都西部でもこんな状態なのに、何やらタブーが結構ありそうな「野党共闘」に対する内側からの批判もろくにないまま、秋までには必ず行われる衆院選を迎えても良いのか。
大いに気がかりだ。