2日間更新できなかった間に、「さざ波」発言のあと「緊急事態宣言は屁みたいなもの」との妄言をツイートで発した高橋洋一が内閣官房参与を「辞任」した。もちろん事実上の更迭だが、それは菅義偉の本位に反するものであって、菅にしてみれば世論の反発を受けて「泣いて馬謖を斬る」といったところだろう。
この高橋洋一は「りふれは」で、「リフレ派左派」の間でも高橋に対する批判が憚られる悪しき空気があったことをしばらく前に書いた。そのせいで、リフレについて書く意欲がすっかり失せてしまったほどだ。
さらに遡ると、2009年の民主党(当時)への政権交代の際、政権交代を望む者たちの間で、高橋の「埋蔵金」理論がもてはやされたことがあった。「埋蔵金」とは特別会計の剰余金や積立金を指す。民主党は小沢一郎が代表を務めていた2007年当時に、同党が打ち出していた政策の財源として、特別会計を見直して15兆円を捻出するという政策を打ち出していたから、高橋の「埋蔵金理論」は当時の政権交代派に大歓迎された。一方、財政再建原理主義者の与謝野馨はこれを批判した。「埋蔵金」という名前をつけたのも与謝野らしい。
私は当時、「財政再建信者」の与謝野は論外だけれども、「埋蔵金」なる一過性かつ本当に掘り出せるものかも疑わしい財源を当てにする小沢民主党の方針にも疑問を持っていた(事実、埋蔵金を当てにした民主党の鳩山由紀夫政権は思うような予算を組むことができなかった)。その前から高橋洋一が竹中平蔵の手下だったことは知っていたから、与謝野(「財政再建派」)も高橋(「上げ潮派」)もともに新自由主義陣営の中の別々の流派に過ぎないのではないかとずっと思っていたし、このことを当時(政権交代よりももっと前)からブログに書いていた。事実、高橋洋一は「上げ潮派」といえるのは自身と中川秀直、それに竹中平蔵の3人だけだと言ったことがあるらしい。
私のこの考えは今も変わらない。だから、「リフレ派左派」に加えて、12年前の政権交時に高橋の「埋蔵金理論」をもてはやしていた連中にも総括を求めたい。小沢一郎の政策にはずっと竹中平蔵流の経済思想が根づいていたのだ。
一方、現在の立憲民主党支持者の中に、やたらとプライマリーバランスにこだわる連中が少なからずいることについても「相変わらず与謝野の亜流みたいな人間が後を絶たないんだな」という冷ややかな思いしか持っていない*1。10年以上前の惰性が今も続いているのだ。
それはそうと、高橋辞任のどさくさに紛れて時計がなくなったりしてはいないだろうか。気をつけた方が良い。