kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「れいわ新選組による不意打ち的なローテーション制の採用は、安倍元総理と同じく立憲主義の精神に違反している」(コメント欄より)

 昨日公開した下記記事にコメントをいただいた。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 たいへん共感できる内容だったので、以下にご紹介する。

 

 匿名意見

新選組の動向をみていると、大学院時代に一緒に勉学に励む機会を得た、高名な学者を父にもつカリスマ的な予備校教師が、「本当に賢いのは分からないことは分からないとしつつ、ひとまず棚上げして前に進むことができる子どもである」と言っていたのを思い出します。

教育に関して知らないことが多いですし、好感をもっていた彼の言葉を偏りなく受け止められているか心もとないですが、私は今でも共感を覚えています。

新選組は、ウクライナ戦争のような大きな出来事に対しても、党内権力抗争のような細かく込み入った出来事に対しても、乱暴な結論を急いで出す傾向が強すぎます。松尾匡先生のように設立間もない切迫した時期にある党の事情を考慮して一定の理解を示す態度(マルチが問題になった頃のnote記事)も当初は「ありなのかな」と思っていましたが、そのような同情を差しはさむ余地もないと今では考えています。

人文社会科学は研究対象の複雑さゆえに一義的な結論を導く力をもちえません。しかし、だからこそ、そのような学問に携わる人間には、(本来ならば)現時点では理解できない複雑な出来事に対して沈着に対処する力が備わるはずだと考えます。これは臆病というのではなく、常連コメンテーターさんの言葉をかりれば「知識と論理と実証」によって、わからないことから来る不安と恐怖を耐え忍ぶことができるということです。しかし、山本太郎にはこの力が致命的に欠けています。陰謀論に容易く影響される党の体質からもこのことは明らかです。

そして、ローテーション制に対する「後だしじゃんけん」というブログ主の批判は決定的なものであると考えます。同意いたします。

私は権力を抑制的に行使してこそ個人の自由をはじめて基礎づけることができるという立場です。独裁制でも、共和制でも、民主制でもそれは変わりません。ですので、枝野氏が「立憲主義」を前面に打ち出したとき、人びとの自由を保障するための必要条件を特に強調したものと好意的に受けとめていました。

権力抑制の鍵は手続的制約です(役所的な書面による手続主義のことではありません。念のため)。民意の反映、国民代表たる議員の権利保障という民主政治においてもっとも基本的な事柄にかかわる議員の任期に関し選挙の前に「特例」を打ち出さなかったのであれば、それは憲法ならびに国会法の文理にしたがうという意思を黙示的に表明したものであったと解釈せざるをえません。また、そのように解釈できるからこそ、大島氏は立候補したし、国民は大島氏に投票したのです。そうでなければ、われわれ日本国民は何をよりどころにして政治に関わればいいのか理解できない。山本太郎の意思を忖度しろとでもいうのでしょうか?何か不分明なことがおきたときのために予め党に決定権を委任しておけとでもいうのでしょうか?

れいわ新選組による不意打ち的なローテーション制の採用は、安倍元総理と同じく立憲主義の精神に違反していると言わざるをえない。そのことによって、第一に、大島氏の政治に関与する権利を大きく侵害した。第二に、大島氏に投票した国民の権利を侵害し、あわせて選挙制度に対する国民の信頼を破壊した。

問題の焦点は、ローテーション制の可否ではなく、れいわ新選組における権力行使のプロセスが立憲主義の精神に違反していることでしょう。

党の主張の内容が左派的な心情に訴えるということで見逃してよい問題であるとは思えません。

 

 僭越ながらコメントの要点を箇条書きします。

 

  • 権力を抑制的に行使してこそ個人の自由をはじめて基礎づけることができる
  • 権力抑制の鍵は手続的制約
  • れいわ新選組による不意打ち的なローテーション制の採用は、安倍元総理と同じく立憲主義の精神に違反している
  • 問題の焦点は、ローテーション制の可否ではなく、れいわ新選組における権力行使のプロセスが立憲主義の精神に違反していること
  • 党の主張の内容が左派的な心情に訴えるということで見逃してよい問題であるとは思えない

 

 いずれも本当にその通りだと思うばかりか、新選組の手法が立憲主義に違反しているとの観点は私にはなかったので、この点をご教示いただいたことに感謝します。

 私は今回の騒動についてこうした視点からの議論がもっとなされるだろうと思っていたのですが、ローテーション制を擁護する側はもちろん、批判する側からも全然出てこないのに失望していたところでした。

 そんなところに上記のコメントをいただいたので大いに意を強くしました。どうもありがとうございます。