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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「れいわローテーション」に関する長谷川羽衣子インタビュー(AERA dot.)を批判する

 長谷川羽衣子氏のインタビューがAERA dot.に掲載された。

 

 

 上記は噴飯もののツイートだと思うが、批判は後回しにしてまず記事を引用する。

 

dot.asahi.com

 

野党からも批判噴出「れいわローテーション」に“当事者”は何を思うのか 長谷川ういこ氏が語る「本音」

2023/01/29 10:00

 

憲法の趣旨に反する」「1日でも国会議員ができてしまう」……与野党から激しい批判にさらされている、れいわ新選組が打ち出した「ローテーション制度」。同党の山本太郎代表は、水道橋博士氏が議員辞職したことを受け、残りの任期5年半を、全国比例で落選した5人がローテーションで務めると発表した。批判が噴出する状況を“当事者”はどう感じているのか。昨年7月の参院選で“比例3位”となった同党の長谷川ういこ氏に思いを聞いた。

 

*  *  *

 

 長谷川氏が最初に山本代表から「れいわローテーション」の話を聞いたのは、昨年12月末のこと。

 

「Zoom会議で、今回のローテーションの対象となる5人が招集されました。山本代表は『水道橋博士から議員を辞任する意向を聞いた。もし、そうなった場合はローテーション制の導入を考えている』と説明されました。突然のことだったので、みんな顔を見合わせながら驚いていました。ただ、私はかつてドイツの緑の党でローテーション制が採用されたことは以前から知っていましたので、これは面白い試みだと思いました」

 

 その会議に集められたのは、昨年7月の参院選比例代表で次点だった大島九州男参院議員、3位の長谷川氏、4位の元衆院議員で弁護士の辻恵氏、5位の拉致被害者家族会元副代表の蓮池透氏、6位の元新宿区議の依田花蓮氏の5人だった。

 

 「会議では『それでいいんじゃないか』という意見が多数でした。大島さんは本来なら5年の任期があったわけですから、いささか疑問があったかもしれません。ですが、度量の広いことに『比例代表は党の議席だから』と受け入れておられました。なので、その会議で『もし水道橋さんが辞任ということになったらローテーション制をやりましょう』と合意ができました。ただその時は、私は水道橋博士とは直接コンタクトを取っていなかったので、詳しい病状はわかりませんでした」

 

 水道橋博士氏は昨年11月にうつ病を発表し、休職状態が続いていた。年が明けた1月16日、山本代表は水道橋博士氏が議員辞職願いを届け出たと発表した。同日、山本代表が「れいわローテーション」構想を明らかにすると、与野党から批判が噴出した。

 

 自民党世耕弘成参院幹事長は「参議院議員憲法で6年という任期が与えられている。憲法の趣旨に合致しない対応だ」「しっかりと腰を据えて、仕事に取り組むことが求められている」などと批判した。

 

 さらに、野党第1党の立憲民主党岡田克也幹事長からも「1日でも国会議員ができてしまう」「毎年1人という方法は決してよいことではない」と苦言を呈した。

 

 これらの批判について、長谷川氏はこう反論する。

 

自民党衆院議員であれ、参院議員であれ、任期途中でお辞めになって、知事選などにお出になる議員は毎年のようにいます。任期途中での参院から衆院への鞍替えもよくあります。それは憲法の精神に反してないのですかと問いたいですね。また、衆議院はいつ解散があるかわからないので、ごく短期しか務められないこともあり得ます。これまでも、2カ月間だけ、1週間だけ国会議員だったという方はいらっしゃいます。それもダメなんでしょうか。現状でも、制度的には1日だけ国会議員というケースもあり得るということです」

 

 前述のように、国会議員の「ローテーション制」はドイツの緑の党が導入した事例がある。長谷川氏は2012年から19年まで「緑の党グリーンズジャパン」(世界各地にある緑の党をモデルとして結成された日本の政治団体)の共同代表を務めていた。それゆえ、ドイツにおいて「ローテーション制」がどのようになったのかもよく知っていた。

 

「実はローテーション制はドイツの緑の党ではうまくいかなかったんです。『議員を職業とする職業政治家になってはいけない』というのが1980年の結成当初からドイツの緑の党の考え方で、2年で議員を交代するローテーション制を採用していました。そして1983年に連邦議会で初めて議席を獲得しました。ところが、党の創設期のメンバーでスター的な存在だったペトラ・ケリーさんという女性議員が、自身が2年務めた後に『やはり辞めない』と辞職を拒否したんです。それで、ローテーション制は最初からグラグラになってしまった。結局、党内の議論で、ローテーション制は廃止されてしまいました」

 

 それゆえ、もし「れいわローテーション」が成功すれば、世界でも珍しいケースとなる。

 

 これまで、れいわは比例代表の「特別枠」を使って3人の障害者を参院議員にした“成功例”がある。

 

「『特別枠』というのは自民党が選挙区事情でつくった救済策だったんですが、私たちはそれを使って船後靖彦さん、木村英子さん、天畠大輔さんという3人の参院議員を誕生させました。それにより国会にスロープがついたりと、障害や難病に配慮をするように変わりました。これは世界的にみても画期的なことです。制限された選挙制度の中で最大限の知恵を絞り、いかに自分たちの思いを訴えかけていくかを追求した結果だと思います。私たちは、選挙制度にも一石を投じたい。ローテーション制もやってみなければわかりません。参院選は非拘束名簿式になりましたが、はたしてそれがいい選挙制度なのかという問いかけにもなると思います」

 

 山本代表は街頭演説などで、「党の経済政策は長谷川ういこさんが作っています」と繰り返し語ってきた。長谷川氏は、政府は財政規律にとらわれず、必要な財政出動を行って社会保障や公共サービスを充実させるべきだという「積極財政」を唱える。また、脱原発や脱炭素を進め、持続可能な経済に転換していく「グリーン・ニューディール」も提案し、れいわの公約となった。「れいわローテーション」が順調にいけば、長谷川氏は24年に国会議員となるが、その任期である1年間で何をするつもりなのか。

 

「1年という期間であっても、自分が主張してきた『積極財政』を国会でも訴えていきたいです。またグリーン・ニューディールもより強く伝えていきたいです。脱炭素は成長産業であり、世界の市場規模は500~600兆円になると言われています。今の日本は、エネルギーや食料を他国に頼っていますが、これらを自分の国でつくることもニューディールなんです。1年という準備期間をもらっているので、もっと研究を進めて、専門性を突き詰めていきたいと考えています。あとは家庭をどうするか。今は京都に住んでいるので、1年の間に、子どもの転校をどうするかなどを決めないといけないですね(笑)」

 

 はたして、日本で「れいわローテーション」は成功させられるのか。これからの5年間に注目が集まる。(AERA dot.編集部・上田耕司)

 

出典:https://dot.asahi.com/dot/2023012800005.html

 

 実は上記記事に書かれている長谷川氏の経済政策に私は反対ではないどころか私の意見に非常に近い。また現行の選挙制度については、1990年代の「政治改革」で導入された衆院選小選挙区比例代表並立制に対して、これが国会やメディアで議論された頃からずっと大反対だった。もちろん90年代にネットで意見を発信はしていなかったが、2006年にブログを立ち上げてからは一貫して小選挙区制に反対してきた。そのことは、弊ブログやかつてメインブログとしていた『きまぐれな日々』の過去のエントリを検索していただければおわかりいただけるだろう。

 その上で問うのだが、かつて山本太郎氏やれいわ新選組*1衆院選小選挙区制を軸とした90年代の「政治改革」を批判したり、衆院選挙制度の改革(再改変)を訴えたことがあっただろうか。一度たりともなかったというのが私の認識だ。そしてそれは党代表の山本氏が「政治改革」を推進した小沢一郎氏の弟子筋にあたるために小沢氏への忖度から批判できないか、または山本氏が何も考えていないかのいずれかだろうと推測している。

 また何よりもいけないのは、今回の「れいわローテーション」が参院選の公約で掲げられたものではなく、水道橋博士氏の議員辞職止むなしの事情を受けて「後出しジャンケン」で持ち出されたものであることだ。この点が2019年や昨年の参院選に同党が使った比例区の「特定枠」と根本的に異なる。本当にローテーション制をやりたいのであれば、それを参院選の公約に掲げなければならなかった。今回の唐突なローテーション制実施は、そのプロセスが全く民主主義的ではないどころかその真逆ともいうべきカリスマ指導者の独裁権力の濫用だと断じる他ない。そして、そのカリスマ指導者の独裁権力を利用しようとしたのが他ならぬ長谷川羽衣子氏自身ではなかろうかとの疑念を私は強く持っている。なぜなら、れいわ関係者の中でローテーション制の予備知識があったのは緑の党の関係者にほぼ限られると思われるからだ。本当は長谷川氏自身が参院議員になりたかったから、あるいは山本氏が長谷川氏を参院議員にしたかったから、その手段としてローテーション制が持ち出されただけではないかと強く疑われる。

 今回の「れいわローテーション」は与野党やその支持者の批判を浴びているばかりか、れいわの党内や支持者間にも大きな分断を生じさせつつあるが、ことに頭が痛いのは今回の騒動によって比例代表制そのもののイメージが大きく損なわれたことだ。弊ブログは衆院選小選挙区比例代表併用制その他の比例代表制で当選者数の大枠を決める制度に再改変すべきだとの立場に立ち、その主旨の記事も少なからず公開してきたが、そのような私から見ると、党内の権力争いにローテーション制を悪用したとしか解釈できない今回の騒動は、小選挙区制の維持ないし推進を意図する人たちを助ける「利敵行為」だと断じる他ない。

 このような筋の通らない「れいわローテーション」の撤回をれいわ新選組に強く求めたい。

 また、党代表の恣意的あるいは衝動的な独裁によって運営され、その結果として(今回の騒動に見られるような)パワーハラスメントが生じやすい同党の組織のあり方を抜本的に改めるべきではないかと考える。

*1:「れいわ」及び現元号の漢字表記は弊ブログの禁句と定めているので原則として伏せ字にしているが、本記事では同党に真剣に問いかけたいので例外的に使用した。