衆参5補選はやはり予想通りの結果になった。弊ブログは一昨日(4/22)公開の記事に下記のように書いていたのである。
明日の衆参5補選でもっとも起こりそうだと思う、というより危惧しているのは、衆院和歌山1区で維新が勝ち、残り4選挙区は自民が全勝する結果だ。和歌山1区の維新勝利はまず動かないと私は予想しているが、仮に和歌山1区以外自民全勝という結果になった場合、それは立民代表・泉健太の「維新すり寄り路線」の破綻を示す以外の何物でもないから、泉は直ちに立民代表を退くべきだ。衆院千葉5区だけの1勝3敗でもダメだと思う。衆院山口2区と参院大分のいずれかを含む2勝2敗以上ならそこまでは泉退陣論を声高には言えなくなってしまうが、果たしてどうなるか。
URL: https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2023/04/22/234937
私が住む東京都江東区では区長選も区議選も翌日開票だし、衆参5補選のNHK出口調査を見る限りどうやら5補選は私が想定していた最悪の結果である「自民4勝1敗で1敗は衆院和歌山1区」という結果になりそうだったので、補選の開票速報は追わずに寝た。起きてまずいくつかのツイートを見たが、まことん氏もぷろもはん氏もツイッター政治おじいちゃんお化け氏もnaoko氏もみな補選の結果には触れていないので結果は「お察し」だった。
立民の泉体制発足以来ずっと泉擁護の論陣を張っていたこたつぬこ(木下ちがや)氏はどうかというと、まず下記のツイートを発していた。
ロボさんも言っていたが、野党系にこれだけ無党派が流れるのは10数年ぶり。それで党内政局とは、2010年代にはなかった展開。 https://t.co/KYxwF0EhZ3
— こたつぬこ🌾野党系政治クラスタ (@sangituyama) 2023年4月23日
これで立民全敗(実質0勝4敗)の結果だったことはほぼわかった。参院大分は本当の大接戦で、千葉5区もかなりの接戦だったが、山口2区はかなりの差がついていた。同じ衆院山口2区の補選があった2008年と今年で一番違うのは、2008年には選挙戦中に平岡秀夫の票が大きく伸びたのに、今回はそれがなかったことだ。党内政局になって当然だ。こたつぬこ氏は「2010年代にはなかった」というが、2021年にはあった。あの年の衆院選は多くの選挙区で接戦だったが、小選挙区制の特性が強く出て「野党共闘」は敗れた。当時立民で執行部批判の論陣の急先鋒だったのが泉健太であり、泉は枝野幸男の代表辞任を受けた代表選に勝って「提案型野党」路線をとったが、昨年の参院選でお話にならない惨敗を喫して提案型野党路線の放棄を余儀なくされた。しかし維新へのすり寄り路線はそのままだった。参院選後一時立民の政党支持率が伸びる一方維新の政党支持率が落ちたので、泉の支持者たちは「維新との提携は立民にはメリットしかない」とホクホクしていたが、それはぬか喜びだった。統一地方選が近づくと両党の支持率の関係は昨年の参院選当時に戻ってしまったのである。それは三春充希氏のツイートに貼られたグラフにはっきり示されている。
政党支持率の平均(10%未満拡大)
— 三春充希(はる)⭐未来社会プロジェクト (@miraisyakai) 2023年4月18日
今週発表されたANN、毎日、読売・NNN、選挙ドットコム・JX通信の世論調査を反映しました。各社世論調査の平均は、無党派層34.7%、自民34.4%、維新7.2%、立憲6.4%、公明3.4%、共産2.8%、国民1.8%、れいわ1.6%、参政1.0%、社民0.4%、政女0.3%です。 pic.twitter.com/Iyz9dZrPhZ
かくして泉立民は今回の衆参補選でも敗れた。泉体制のままでは立民は衆院選を戦えないことはもはや明らかだ。
維新については、兵庫県在住の立民支持者であるぷろもはん氏のツイートだったが、下記のツイートが目立った。
和歌山やはり維新優勢…
— ぷろもはん🕊🌈💙💛 (@promoterno26) 2023年4月23日
ここだけは自民に勝ってほしいが…
関西以外の人にはわからんやろけど…
それだけ維新は危険なんだ…
上記ツイートには私も同感だ。
私は現在では「関西以外の人」だが、関西というか大阪出身だからかもしれないけれども維新発足前の2008年1月に橋下徹が大阪府知事になった時からブログで橋下を、のちには橋下と維新の批判をずっと続けていて、橋下や松井一郎や吉村洋文や維新を肯定的に評価したことなど一度たりともない。しかし年々維新批判の言説が通用しなくなってきている。それに大きく影響しているのが新聞、特に政権に批判的とされる朝日や毎日などの論調の変化であって、これはこうした新聞社の論調を決める世代の若返りに伴って、例えば朝日はかつては民主党(そのさらに前には社会党)がその論調を気にするような新聞社だったのが、今では維新にすっかり融和的になった。朝日と比較すると論調の幅が広く、その平均がより右寄りと思われる毎日の場合は、維新への迎合が朝日よりもさらに目立つようになった(但し毎日の大阪社会部に属する一部の記者は良い意味での例外だが)。維新の政党支持は30〜50代が厚いが、その年齢層の記者たちが新聞の論調を担うようになったことが朝日や毎日が維新寄りになった最大の理由だと考えられる。
このように、維新の支持拡大には構造的な原因がある。維新は、自らにすり寄ってくる泉立民の連携要請をいったんは受け入れたものの、統一地方選の前になると立民・小西洋之の発言を口実にして立民との連携を凍結した。これは維新の党益を考えれば当然の判断である。そもそも選挙が近づいたら維新との連携なんか解消されるだろうと立民のリベラル派議員の会合で言われていたという話をどこかで読んだことがあった。今回はその当然予想されたことが起きただけである。三春充希氏のツイートは、某新選組の評価に関しては意見が私と全く合わないが、下記のツイートには強く同意する。
和歌山の事件のせいじゃないよ。小西氏の発言のせいでもない。去年の参院選で見えていたものが今あらためてあらわれただけだ。
— 三春充希(はる)⭐未来社会プロジェクト (@miraisyakai) 2023年4月23日
下記は上記ツイートへのコメント。
維新とべったりすぎて
— ガチレフ (@T1Vt6VE5URY1nu0) 2023年4月23日
維新を利することになった…
そういうことだ。野党第一党が野党第二党である維新にすり寄ってくれたことは、数か月前の泉支持者たちのぬか喜びとは裏腹に、維新にとってはメリットしかなく立民にとってはデメリットしかなかった。維新は平時には泉立民がすり寄ってくるにまかせておいて、いざ選挙前になれば立民との連携を打ち切れば良いだけの話だったのだから。そして維新はそれを実行した。泉は「そこをなんとか考え直してほしい」と維新にすがりついたが相手にされなかった。政治は結果が全てだから、泉がとるべき道は可及的速やかな代表辞任しかない。
さしものこたつぬこ氏も立民党内政局化は不可避と見ているようだ。
いずれにしろ、立憲民主党は重大な岐路に立ちましたね。 https://t.co/ZKe7NhpQVU
— こたつぬこ🌾野党系政治クラスタ (@sangituyama) 2023年4月23日
「立憲民主党の岡田克也幹事長は23日夜のNHKの番組で次期衆院選について「いつあってもいいように準備しておく。早ければこの国会の最中にもあるかもしれない。常在戦場で臨みたい」と述べ、早期の衆院解散に備える考えを示した」
— こたつぬこ🌾野党系政治クラスタ (@sangituyama) 2023年4月23日
ほぼ解散の流れはできましたね。 https://t.co/PMiDa3aKXi
まあそうだろうな。今後物価高がさらに進む可能性が高いから、そうなるとまた岸田政権への逆風が強くなる。大規模な軍事費増強は他の政府支出を圧迫するから、それへの批判も高まる。中長期的に見れば自民党が伸びる要素など何もないのである。だが例外的に現在の流れであれば、早期に総選挙をやれば自民党は勝てる。自民党の党内政局を考えても、岸田は統一教会問題でお荷物になりつつある安倍派の勢力を殺ぐことができる。損得の算盤を弾けば、サミット後の6月解散、7月総選挙をするのが得策だと岸田文雄が考えるのはごく自然なことだ。それがあるから、立民の泉辞任は可及的速やかに行われなければならない。
以下はこたつぬこ氏のリツイートより。泉支持ないし容認的だった人たちのツイートばかりである。
2016年の民進に今の立憲が何故見劣りするのかというと、ここぞというところで勝てていないからなんですよね
— きょんきょん (@Kyonkyon_senkyo) 2023年4月23日
それが野党よりの無党派を落胆させ士気を下げている https://t.co/asoq4QBi3N
上記ツイートからリンクされた下記ツイートに強く同意する。
でもでもだって、地方選全体では増やしてるもん、実質勝ちだもん、だなんて妄言を耳にタコができるほど聞くことになるんでしょうが、1番の見せ場で勝ちきれない時点で負けは負けなんですよ
— 💉💉💉ものかは💙💛 (@mnkw_LL) 2023年4月23日
はっきり言って、全国規模の地力では劣るけど勝つべきところでしっかり勝ち切る維新に完全に見劣りしている
「地方選全体では増やしてる」については泉自身も統一地方選前半の結果を受けて「善戦」などと抜かしていたと記憶するが、立民は関西を壊滅させている。それもかつては大阪だけだったのが、兵庫、奈良、京都、和歌山と次々に維新が勢力を伸長させている。
こたつぬこ氏のリツイートに戻る。
立憲は国政で勝ちきれない、現状では少党分立状態の野党で相対的に最大手の政党でしかないという事は殆どの人の共通認識ではと思うけど、長い時間をかけて堅固な中道左派として党勢拡大するのか大きな塊を作っていくのか(その場合は相当右ぶれを覚悟する必要がある)という問題は決めないと本当に厳しい
— masa @もっと良い未来 (@masa_CDP) 2023年4月23日
後者の「大きな塊」路線についていえば、それからこぼれ落ちる人々が今後急増することが目に見えている。なぜならこの路線を取る場合、それは維新に見られる自民党以上に過激な新自由主義政策を必然的に含むから、自民と「大きな塊」を合わせた二大政党は、ともに両党からこぼれ落ちる多くの人々を「疎外する側」に立つ政治勢力になるからだ。「大きな塊」論はつまるところ保守二大政党論でしかない。「大きな塊」論に立つ人たちは自分では現実主義者のつもりなのだろうが、私には現実の日本社会が分析できていない人たちにしか見えない。だから「大きな塊」論を私は強く否定する。結局「大きな塊」論は某新選組や参政党その他の主に右派ポピュリズムの政党を利するだけだ。現在は立民にしても共産にしても新選組や参政党その他のポピュリズム政党への票の流出を許しまくっている状態だから、まず中道の立民と左翼の共産の両方に変わってもらわなければならないと私は考える。そのためには泉健太と志位和夫の両者の辞任は十分条件ではないけれども必要条件ではあるというのが私の変わらぬ意見だ。立民については「堅固な中道左派として党勢拡大する」道を選ぶしかないと思う。
補選の結果が出たので、立憲は執行部をどうするという話にはなる。
— カクレ💙💛クマノミ_選挙情報収集 (@EastIrumaEW) 2023年4月23日
党内政局を避けたいと言っても、やはり民意は民意となる。
解散がちらついている以上、今のままの態勢で突入できる状況にはない。
— カクレ💙💛クマノミ_選挙情報収集 (@EastIrumaEW) 2023年4月23日
これは本当にその通り。
最後に千葉5区について触れておくと、この補選でネトウヨが自民党公認の英利アルフィヤ候補をdisりまくったことが立民候補に有利になるのではないかとの観測もあったが、選挙結果はそうはならなかった。ネトウヨの凋落を示す選挙結果だったといえるかもしれない。立民が「漁夫の利」を得ることはできなかった。