kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「伊勢崎賢治氏らウクライナ戦争即時停戦派が呼びかけた署名運動が悲惨。1日200人未満しか賛同者が増えず2週間で3000人未満。伊勢崎氏は自分が作った声明文がダメダメなことを認めて猛省すべきだ。」(「Everyone says I love you !」)

 宮武嶺氏のブログ記事より。

 

blog.goo.ne.jp

 

 例の和田春樹や伊勢崎賢治らが旗を振ったウクライナ戦争即時停戦を呼びかける署名運動の話。以下引用する。

 

 この声明文に名を連ねた方々もちょっと見たことがないくらい著名人が名を連ねており、私が個人的に「うぉ!」と思ったのは大好きな硬骨の作家高村薫氏、前法政大学学長の田中優子氏、ジャーナリストの金平茂紀氏。

 他にも、東大名誉教授の上野千鶴子氏、哲学者で神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏、九条の会事務局長で東大名誉教授の小森陽一氏、同じく東大名誉教授の姜尚中氏、東京外国語大学名誉教授西谷修氏などなど、リベラル派の市民にとっては夢のような豪華メンバーが揃っています。

 ところが、4月5日に集め始めたこの声明への賛同者はもう2週間以上経過した4月19日現在で、たった2700人にも満たない状況。

 つまり1日平均で200人も賛同者が増えていないわけで、まずは「数は力なり」であるはずの署名運動としては惨憺たる惨敗の拡散状況と言えるでしょう。

 

 水島朝穂早稲田大学教授や内田雅敏弁護士という法律家も加わっているのですが、私が属している法律家用のメーリングリストにも一回も誰もこの署名活動を紹介しません。

 水島先生も自分のブログでも紹介しないし、金平茂紀氏とはわたくしFacebookでお友達なのですがこれまた全く黙殺した状態。

 ロシア軍によるブチャ虐殺についてロシア側がウクライナのでっちあげたフェイクだと反論していたのに対して、金平氏報道特集は実際にロシア軍による虐殺であるということを実証したわけですから、そんなロシアに対しても公平な金平氏が一回でもシェアして賛同を呼びかけたら、何千人という市民が一斉に賛同すると思うのですが、金平氏もこんな署名運動は存在しないかのような扱いです。

 ひょっとしたら水島先生も金平氏も無断で名前を借用されたんだろうかと思うほどです(笑)。

 イギリスによるウクライナへの劣化ウラン弾供与に反対する署名については、公表の翌日にはもう私のところにまわって来たのと比べると雲泥の差。

 どこの法律家のメーリングリストでも平和運動市民運動のメーリスでも誰一人としてシェアしないということは、やはりこの声明文の中身が知性のある大人にとっては恥ずかしすぎる内容だからだとしか言いようがありません。

 

 この声明文の少なくとも前半は伊勢崎氏が起案したことは明らかで、第1段落の

「いまやNATO諸国が供与した兵器が戦場の趨勢を左右するにいたり、戦争は代理戦争の様相を呈しています」

だとか

「ロシアを排除することによって、北極圏の国際権益を調整する機関は機能を停止し、北極の氷は解け、全世界の気候変動の引き金となる可能性がうまれています。」

等の部分は伊勢崎氏がこれまでも何度も主張してきた独自の内容です。(後略)

 

URL: https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/dc9952d45ddf9c76f5969e50f3c2e8a2

 

 要するに、親ロシアの伊勢崎賢治が主要な部分を起案したトンデモ声明文なのに、それに多くの識者たちが名を連ねてしまっているという話。伊勢崎のトンデモぶりには上記ブログにコメントしている私の宿敵、というより向こうが私を目の敵にしているから応戦しているだけなのだが、その御仁でさえ伊勢崎を批判して

とりあえず伊勢崎氏は早いとこれいわ新選組から離れてください (*_*)

と懇願するほどなのだが、宮武氏によれば

本文に書くと差し障りがあるので触れませんでしたが、この記者会見にはれいわ新選組代表の山本太郎氏も応援に駆けつけ、挨拶した、って長周新聞に書いてありましたから、関係を断つのは無理でしょう。

とのことだから*1山本太郎は今後も伊勢崎と癒着し続けるのだろう。まあ宿敵氏に限らず三春充希氏なども、統計データの収集と解析には最大限の敬意を払うけれども、新選組シンパであるうちはその政治的発言に信を置くことはできない。権威主義の危うさに対してあまりにも無防備だと思うからだ。それに三春氏の場合はウクライナ戦争の認識についても私の宿敵氏より伊勢崎に近いのではないかと疑われるから、なおさら懸念は大きい。新選組についていえば、あのような独裁政党には集合知が働かない点が致命的だ。

 しかし山本太郎や三春氏の話は本論ではない。私は宿敵氏に

「KじたKん氏」はコメ欄も必ず読む、むしろ本文よりコメ欄を愛読しているんじゃないかと思う

と陰口を叩かれているので(もっとも以前は「爺」とか「犬」とか呼ばれていたような気がするのだけれど)、氏のご期待通りブログ記事のコメント欄のやりとりを紹介したい。但しメインで取り上げるのは宿敵氏のコメントではない。

 

 記事に「なう」と名乗る方が下記のコメントをした。

 

Unknown (なう)
2023-04-20 17:39:24
ウクライナとロシアは戦争中なのだから、双方の情報ともプロパガンダと思って、精査すべきと思います。
ウクライナ現地に行っても、案内するガイド、英語または日本語の通訳を通じての説明をする人がプロパガンダ要因でないとは言い切れません。
私は、イラク大量破壊兵器はないと言った国連の査察官だったスコットリッターさんの見解を相当程度信頼しています。(アメリカの軍人だったのに、自分の立場も顧みず本当の事を言った人)
その視点で見ると、伊勢崎氏の見解も無下に否定されるものではない様に思われます。
また、9年前の雑誌、岩波の「世界」をじっくり読みなおした友人は、ウクライナ正義・ロシアプーチン悪の決めつけは、公平でないと言っていました。
自衛隊は長年ソ連を仮想敵国にしてきたのでロシアに共感することはないですし、私も「おそロシア~~」などとふざけたことも有るくらいで、ロシアをマイナスに見る癖が強くある事を自覚する必要を感じています。

 

 こういうDD論者(どっちもどっち論者)って結構いるんだよなあ。

 この論法でいえば、日中戦争当時に蒋介石の国民党は既に腐敗していて、それが毛沢東共産党との内戦に敗れた原因になったわけだけれども、その国民党の腐敗を理由に「日本の侵略だけではなく中国国民党の腐敗にも目を向けよ」と言ってるようなもんだと私は思うんだけど、違うんだろうか。

 DD論者から一番欠落しているのは「戦争反対よりも先に侵略反対という立場をとる」ことだろう。伊勢崎はその代表格だ。

 それに「9年前の岩波の『世界』」ってなんだよ。そんなものを引き合いに出すなよ。当時と今とではウクライナの指導者が違う。2014年はヤヌコーヴィチからポロシェンコに大統領が代わった年だろう。2019年にポロシェンコからゼレンスキーに大統領が代わり、敗れたポロシェンコはゼレンスキーがロシアに融和的だとして批判していた。

 一時期ネットで流行ったらしい「おそロシア」云々などはむしろ、巨悪プーチンの本当の恐ろしさを矮小化する戯言として批判されており、そのことを弊ブログが取り上げたこともあるのだが、「なう」氏はその観点からの「おそロシア」批判もご存じなさそうだ。

 上記「なう」氏のコメントを「暗黒大将軍」氏が批判した。

 

Unknown (暗黒大将軍)
2023-04-20 23:17:34
未だに「ロシアばかり悪者にするな」のお経を繰り返す奴らは、じゃああのロシアの言い分の「どこ」を受け入れて、ウクライナや世界が具体的に何をすればいいのか、にはほぼ言及しないよね

まぁ逆張りやDD論を「賢いこと」みたいに勘違いしてる奴らって西側世論をよく研究してるロシアにとっちゃカモだし、伊勢崎を含めたその手の底辺世論の存在によってロシア側にも貢献してるよね、日本って(笑)

 

 再び「なう」氏が投稿。

 

Unknown (なう)
2023-04-22 00:15:48
IMF日本代表理事の小手川大助氏のレポートを読みました。
この方は、プーチンの我慢と忍耐をはっきりおっしゃっています。
私から見れば、ロシアのウクライナへの侵攻は突然でしたが、
分かっている人から見れば、全く突然でもなんでもなかったのかと驚くとともに、日本の中枢にいる人たちは当然そういう情報に接しているはずです。
なのに、ロシア悪・恐ろしい隣国のイメージが完全に日本を覆ってしまいました。
何か意図が有って誘導されているのではないかと、小手川大助氏のレポートを読んでから、自分と日本の行く末に不安を感じています。

 

 悪いが「プーチンの我慢と忍耐」ねえ、と鼻で笑ってしまった。だって政敵を次々と毒殺させるあのプーチンのことですぜ。で、最後は「何か意図が有って誘導されているのではないか」ですか。なう氏が属しているであろう界隈では定番であるに違いない陰謀論ですな(笑)

 これに再び「暗黒大将軍」氏が反撃した。

 

Unknown (暗黒大将軍)
2023-04-22 01:20:28
チェチェンじゃ10年もかけて一般市民とテロリストの区別もせず3万人虐殺しまくった男が「我慢と忍耐」とやらを忖度してもらえるんだから、あのプーチンって奴は恵まれてますよね(笑)

国連もOSCEも誰も確認してない「ロシア系住民14000人の虐殺」も忖度厨の皆さんなら動かぬ証拠をもってるんだよね?
「何か意図があって誘導されてるのではないか」なーんてボヤッとしたこと言ってるなら堂々と証拠つきの擁護をすりゃいいんじゃないの、証拠があるんだろうから

 

 さらにコメント欄に現れたのが「秋風亭遊穂」氏だった。

 

Unknown (秋風亭遊穂)
2023-04-22 01:20:34
 呼びかけ人の考えには酷い事実誤認がある。

 まず、この戦争を侵略戦争ではなく内戦と定義していること。伊勢崎は大国の干渉しない内戦はないと言うが、内戦と侵略戦争は全く異なることは言うまでもない。親ロ派ウクライナ人が武装闘争していていたのは事実だが、それは2014年以降のこと。クリミア強奪と、ロシア系住民の保護を口実にしたクレムリンの軍事介入がされたが、これはずっと以前からロシアの戦略として持っていたことが研究者によって指摘されていた。

https://www.utp.or.jp/book/b300442.html

引用開始----
ロシアが再び大ロシア主義に転じると、旧ソ連地域の民族関係は急速に緊張する可能性が高い。それは、カザフスタン北部やウクライナのドンパス地方のようなロシア人が多く住んでいる地域の「回収」、ロシア連邦の外に住むロシア人の保護を要求する動きにつながる可能性があるからである。
引用終わり----

 また、ミンスク合意はウクライナが破ったと羽場久美子が断言。(さすがに伊勢崎は「諸説ある」と言葉を濁した)
 なお、ミンスク合意の諸問題、以後の経緯は、小泉悠『ウクライナ戦争』(ちくま新書)に詳述されている。

 さらに、カラー革命を米国が仕組んだと言わんばかりのウクライナ国民の主体性を無視している点。(ウクライナ政府がロシア系住民を抑圧しているという認識もあるためだろう。)
 これは会見で志葉玲が厳しく批判をしていた。

 このような事実認識でいれば、どっちもどっち論になるのだろう。停戦すれば犠牲はなくなるとおそらく考えているようだが、タリバンが掌握したアフガニスタンで前政権に協力した人々が拘束を恐れている姿を知らないのだろうか。同様の人権抑圧が懸念される。停戦の困難さは現在のスーダンでも見るとおり。戦闘地域以外のロシア占領地に国際社会は介入できないだろう。また、ロシアによる戦争犯罪に触れないまま即時停戦とは、呼びかけ人たちは「法の支配」をどう考えているのだろうか。

 署名は広がらないだろうが、ただ、今後の西側諸国のウクライナ支援には不安を覚える。年金問題に揺れるフランスのマクロン批判はすさまじい。米国の機密文書流出も、ウクライナに都合の悪い(真偽不明の)情報も出た。徴兵逃れをするウクライナ人の報道も現れた。そしてブラジルが中国、インド、インドネシアと共に仲介をする動きがある。これにマクロンが加味するとも。ルラ大統領は米国の武器支援を批判し、ゼレンシキーに譲歩を促している。一方、ロシアは極東で軍事演習ができるほどの余裕があり、ウクライナ南部では民間軍事会社コンボイが展開する。ウクライナには厳しい現実が迫っている。
 今後も、ウクライナへの関心を持ち続けていきたい。即時停戦派の事実誤認に惑わされぬように。

 今年の世界報道写真大賞ウクライナの写真家Evgeniy Maloletkaに贈られた。母子のその後は、皆さんもご存じかと思う。

Climate, community, impacts of war: 2023 World Press Photo Contest winners announced
https://www.usatoday.com/story/news/world/2023/04/20/2023-world-press-photo-contest-climate-community-war-ukraine/11703439002/

 

 このコメントになると個々の事実について知らないことも多くて歯が立たないが、一般論として「停戦すれば犠牲はなくなる」ことなどないというのは本当にその通りだと思う。

 でもなかなか面白かった。最近はブログというメディア自体が以前のような盛況とはいえない時代になったけれども、さすがにリベラルブログ最大と思われるアクセス数を誇るブログだけのことはあると改めて感心した次第。

*1:なお宿敵氏の願望に反して、私は山本太郎が伊勢崎らの記者会見に「応援に駆けつけ」たことは知らなかった。確かに長周新聞が報じている(https://www.chosyu-journal.jp/heiwa/26312)。