衆院愛知10区の立民候補予定者である藤原規眞氏のツイートを見て驚いた。
日雇い労働者時代、派遣先の工場に正社員が「視察」に来た。スーツにヘルメット。俺らは丸腰。
— 弁護士 藤原のりまさ(立憲民主党 一宮市 岩倉市) (@CDP_AICHI10) 2023年5月1日
指示されるがままに、正社員御一行様が通りすぎるまで頭を下げ続けた。テメェら絶対に抜き返す!などと心の中で中指を立てながら。
正規と非正規の待遇差がなくなるメーデーであらんことを。#メーデー
日雇い労働者時代って、この人弁護士だろ?と思ったのだった。
しかし調べてみると本当にその通りだった。下記は藤原氏のウェブページより。
「弁護士っぽくない」と言われがちですが、これでも弁護士です(本当)。
弁護士らしく見えない最大の理由は、弁護士キャリアよりもむしろ弁護士になる前に食いつないでいた日雇い労働者のキャリアの方が長いからであります。
発端は司法試験の7連敗ですが、今回はそれには触れないことにして・・・。日雇い労働時代の仲間とは、今も連絡を取り合っています。
現在の日本は、ひとたび正社員の地位を失うと二度と元に戻れないような殺伐とした社会です。
実際に私の「日雇い仲間」は、共に働いた当時から10年経った今も、非正規労働者(派遣・パート・日雇いなど)として歯を食いしばって働いています。「まさかの時」に備える預金もなかなか貯まりません。当然です。給与が低く抑えられているのですから。
そして、コロナの危機に見舞われました。経済が危機に立たされるとき、まっさきに職を失うのは非正規労働者の方々です。
日頃給与が低く抑えられ、蓄えができないにもかかわらず。「コロナ解雇」も2021年1月上旬の段階で8万人を超えました。弱い立場の人から先に職を失い、放り出される。
大量の非正規労働者を生みだした責任を政治が果たしていかなければなりません。まずは、急場をしのぐための十分な給付をすること、そして、働く人を使い捨てにする現在の労働法制を改めることです。かつての私のような苦しみを味わう人が少しでも減るように。
私は就任当初には「提案型野党」を掲げて自民党にすり寄り、参院選に大敗してその路線が敗因だったと総括されてそれを受け入れたくせに党内権力の座に居座って維新にすり寄り、そのあげくに維新に足蹴にされて統一地方選で油揚を維新にさらわれた泉健太など全く支持しないので、立民の議員や候補者たちについてもかなり疎いのだけれど、現在の地元である東京15区で未だ総支部長になっていない井戸まさえ氏*1や、この藤原氏には注目している。
藤原氏は年初に泉が乃木神社に参拝した時に暗に泉を批判するツイートを発し、立民信者に「君は本当に立憲の候補なのか」との反応を返されたりもしていた。だが今の立民に必要なのは、泉のように「バスに乗り遅れるな」式の動きしかできず、安倍晋三暗殺に伴って大きな政治の地殻変動が起き始めてもそれに全く対処できない指導者ではなく、藤原氏のような候補を他にも多く発掘して、新時代に対応したリベラル政党に変わることではないかと思う。
このところ弊ブログに繰り返し書いている通り、「弱い立場の人から先に職を失い、放り出される」は今後も当分続く。それは自民党政治の長年の新自由主義的悪性の必然の帰結だが、維新はそれをさらに加速させる、自民党よりももっとたちの悪い最悪の政党だ。現在泉がすり寄っているのはそんな政党なのである。だから「既成政党は選択肢になかった」と語る、今回の地方選で当選した某氏の若い女性市議が朝日新聞のオピニオン面に登場して何を言おうが、その有料記事を某元共産党系の政治学者が「プレゼント」したところで、維新の執行部が過激な新自由主義政策を改めるはずなどない。新自由主義に関する海外の学者の大著の翻訳にもかかわった人がいったい何をやっているのかと腹が立つ。
残念ながら愛知10区の情勢は厳しい。ただでさえ自民党が強いのに、前回の衆院選では某元号新選組が候補を立てやがった。その候補はかつて民主党で長島昭久の「国軸の会」に参加した経歴を持つ、極右とおぼしき政治家だったが、新選組では猫をかぶっていた。幸か不幸か、この候補は本来なら比例復活で当選できたところ、得票率が10%に満たなかったために落選した。おそらく山本太郎の激しい怒りを買ったことだろう。新選組では落選と当時に組みの構成員を失うという鉄の掟があるらしいから、現在はこの人は新選組の構成員ではない。
しかしそんな掟もさることながら、極右ではないかと疑われるそんな候補を、立民でも稀少ではないかと思われる「弱い立場の人に寄り添う」候補にぶつける、組名に元号を冠する政党など全くの問題外だと思う次第である。なんであんな政党を支持する人がいるのか、維新支持者に対してと同様、私には不思議でならない。
しかしまあ、仮に安井美沙子の票を藤原氏の票に足しても自民の江﨑鐵磨には及ばず、それどころか藤原氏は比例で復活当選した杉本和巳にすら及ばなかった。
先の統一地方選で、名古屋市議選では維新が減税日本に惨敗したが、あれは同じような新自由主義政党同士での選択なら名古屋市民が「地元のネオリベ」を選ぶというだけの話だ。名古屋市の外に出ると、あるいは国政選挙においては愛知県にも十分維新は浸透している。
なにしろ、昨年の参院選において、愛知県での比例得票数は立民と維新でほとんど差がなかった。以前にも弊ブログからリンクした「立憲ナビ」の下記ツイートに数値が示されている。
#立憲選挙ステーション#立憲ナビ#参院選2022
— 立憲ナビ (@RikkenNavi) 2022年8月1日
◆解説
泉代表に変わった参院選2022。政党支持票と言われる比例票で立憲が維新に上回られているのは19都府県に拡大。
立憲衰退の著しい奈良県が2位に上昇(2.01倍→3.05倍)。近畿全域と四国3県ほか、北海道と東北以外で維新が立憲を上回る選挙区が発生。 pic.twitter.com/yjMySLRcnY
立民支持者の方々には「それでも泉健太執行部を支持しますか」と言いたい。