kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

前回参院選をもとに都知事選の票を読むのが妥当でないというのには、選挙の枠組みが合わないという事もあるけれど、それ以前に当時と今とでは各党の支持率や集票力そのものが大きく違う (三春充希氏)/小池百合子は「非自民」どころか「自民と共犯関係」に (尾中香尚里氏)

 私は蓮舫の応援には前にも書いた通り正直言ってあまり燃えないのだけれど、小池百合子の打倒には大いに燃える。それは私は小池が石原慎太郎やら橋下徹やら小泉純一郎やら故安倍晋三やらと同じくらい危険かつ悪質な政治家だと信じて疑わないからだ。だからたとえば下記いくつかのXには全く同意できない。

 

 

 そんなことはない。小池は石原と同じくらい超悪質だ。極右の度合いから言っても過激な新自由主義者であるという点をとっても。

 

 

 猪瀬と舛添を一緒くたにしているが、2016年に小池が都知事選に出てきた時には猪瀬直樹は小池を応援する立場に立っていた。舛添は公私混同の素行には大いに問題があったが、自らが母親を介護した経験から、テレビで目立ち始めた頃の「新保守」の新自由主義的スタンスからか、都知事時代には修正資本主義的な「旧保守」のスタンスに変わっていた。2014年の都知事選で舛添が勝った頃に講談社現代新書から出版された『憲法改正のオモテとウラ』には下記のアマゾンカスタマーレビューがついている。

 

曇り雨のち晴れ

★★★★★

 立憲主義を知らないで憲法改正?(自民党憲法改正第二次草案が載せてある)

2014年3月6日に日本でレビュー済み

 

舛添氏は自民党の「憲法改正第一次草案」2005年、事務局次長として実質の整理まとめ役を担った。しかし、舛添氏が離党した後、2012年に「憲法改正第二次草案」が策定され公表されています。舛添氏は関与していない。

舛添氏は元学者であり、憲法は「立憲主義」「個人の尊重」が大前提であることは明確に認識している。ところが、「第二次草案」を読んで驚き、「立憲主義」さえ理解していない政治家に任しておいていいのか、とこの本で力説している。

「第一次草案」を作る過程の様々な意見や政治的圧力などをのべながら、その推移を丹念に披露してくれています。そして、ところが、政治の世界では、権力・存在感争いが優先され、「立憲主義」への無理解に危惧感を明確に述べています。

立憲主義とは、憲法は国家権力に歯止めかけ、抑制する思想が根底にある」憲法の成り立ちからの、根本命題なのです。憲法の本質的命題ですから、安倍内閣の行おうとしている「解釈改憲」で、集団的自衛権を認めようとすることは、この立憲主義を破壊する、暴挙と言うことができる。舛添氏は「第二次草案」を読んで、これはもう憲法とは言えないと言い切る。

舛添氏は改憲派であるが、安倍氏とは法認識の根底がとは違う。

憲法改悪推進派の色んな論理を知ることが大切です。この本には、現憲法と「自民党憲法改正第二次草案」がページの上下で、比べられるように載せられているので、どういう風な憲法を安倍政権が作ろうとしていたがが、よくわかり、便利である。

 

URL: https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2U6L4YR2TE1LZ

 

 翌2015年に成立した新安保法制の議論で多くの人々に認識されるようになった「立憲主義」の観点を舛添は打ち出していた。その点で舛添は改憲論者であるとはいえ、少なくとも極右の小池百合子と比較すればはるかに「立憲」を党名に冠する保守政党だと私がみなしている立憲民主党(立民)に立場の近い政治家だったといえる。

 舛添は2019年にも適菜収との対談でも下記の発言をしている。

 

私は2005年に発表した自民党の新憲法第一次案の責任者でした。だから、憲法改正については強い思いをもっています。このときは、宮澤元首相や橋本龍太郎元首相といった重鎮が元気でおられて、いわゆる安倍さん的な主張はすべて退けられました。

たとえば、自民党の右寄りの方は天皇国家元首にするべきと主張しましたが、私は象徴としての天皇だからこそ、尊厳が守られると訴え、これを退けた記憶があります。

ですが、自民党が野党時代の2012年に発表した第二次案は酷い内容です。憲法学的にめちゃくちゃなんです。

憲法とは、国家権力から個人の基本的人権を守るために、主権者である国民が制定するものです。近代立憲主義憲法は、個人の権利・自由を確保するために国家権力を制限することを目的とします。「人の支配」(国家権力の支配)ではなく、「法の支配」、つまり、法によって権力を拘束するのです。

したがって、「国家」の対極にあるのが「個人」です。そこで、現行日本国憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される」と規定してあります。ところが、第二次草案は、「全て国民は、人として尊重される」と変えてしまっています。「人」の対極は犬や猫といった動物であり、「個人」のような「国家権力」との緊張感はありません。

この文言の修正を見ると、第二次草案は立憲主義憲法なのかと疑問を呈さざるをえません。

 

URL: https://gendai.media/articles/-/67453?page=3

 

 こういうのを読むと、少なくとも石原慎太郎小池百合子と比較すれば舛添要一の方がまだ「少なく悪い」政治家だったとしか私には思えない。小池は、私から見れば石原に劣るとも勝らない極悪政治家以外の何者でもないのである。

 

 別の方のXから。

 

 

 あの当時(2016〜17年)の小池が本当に「自民党と戦ってた」なんていえるだろうか。たとえば石原慎太郎に直結する猪瀬直樹などは舛添から小池に都知事が代わる局面では「都議会自民のドン」を批判する形で間接的(実質的)に小池を応援していた。他の大都市とは違って都議会の構成は未だに自民と都ファという二大保守政党が大半を占める歪(いびつ)な構成になっていて、この2党に公明党が加わって強権的な議会運営をしている原因はどうやらかつての「都議会自民のドン」にあるらしく、それはそれで大問題ではあるのだが、小池がやろうとしたのは新保守による旧保守への挑戦に過ぎず、それは大阪で橋下徹松井一郎が、松井の古巣である自民党に仕掛けた「挑戦」と何の違いもないと私は認識している。

 で、民進党代表時代の蓮舫は、事あるたびに私が引き合いに出すと宮武嶺さんに言われてしまったけれども、(テレビキャスター時代に)「小池百合子さんの背中を眩しく見ていた」と言いながら連携を持ちかけるなどしてすり寄ったのだった*1。そんなこともあったから私は蓮舫がどうしても好きになれないのだが、とはいえ小池と比較すれば「少なく悪い」政治家であることは間違いないから、都知事選で二人が激突することになれば、鼻を摘んで蓮舫に投票するしかないと考えている。

 以上、前振りがあまりにも長くなったがここからが本論。

 このところ小池からは急速に民心が離反しているように見えるが、蓮舫もずいぶん票を減らしたじゃないかという話がある。たとえば前述の宮武嶺さんのブログを見ていたら、下記のコメントがあった。

 

blog.goo.ne.jp

 

Unknown (暗黒大将軍)
2024-05-29 12:24:22
小池は今日29日の定例議会で出馬表明するとのことでしたが取りやめましたね

今迄「噂止まり」だった蓮舫がホントに出てきたことで読みが狂ったのでしょうか
今さら「やっぱり出馬しません」とは普通は言えないと思いますがなかなか正式の出馬表明をしない場合有力な後継を探してるのかな、とも受け取れます

その蓮舫ですが、2010年(171万票)、2016年(112万票)、ここや古寺多見氏のところでも取り上げた2022年は共産山添拓の後塵を拝する(67万票)でした
特に実績もないが2期目に70万票増やしてる小池に比べてこの辺が不安なところです

まぁ「悪役同志の対決」「落ち目の女王対決」ってことで「ガイガン vs メカゴジラ」「タイソン vs ロイ・ジョーンズ」ってな5ch 書き込みもありました

また「蓮舫知事だけは阻止したい」と焦るネトウヨ界隈からオワコン田母神以外に夏の陣道明寺、天王寺の気概でラスボスが出てくるのかもしれません

 

URL: https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/9eac5e86de9ce5cbed828779960952a7

 

 この件に関しては下記Xに対する三春充希氏の論評に全面的に同意する。

 

 

 このポストは下記Xに対する批判。

 

 

 ポストしたのは山本太郎及び元号新選組の信者ではないかと疑われる。呆れたことに、この論者は田崎史郎なんかに乗っかっている。

 三春氏の論評は下記。

 

 

 蓮舫が67万票しか獲れなかった2022年参院選は、弊ブログがもう何度書いたかわからないけれども、現立民代表の泉健太が「提案型野党」路線に走った愚挙によって立民の比例票を3分の1強も減らしてしまった選挙だった。泉の「提案型野党」路線さえなければ100万票以上が見込めた蓮舫が67万票しか獲れなかったのは泉のせいであって蓮舫のせいではない。

 この大量の得票減の屈辱が蓮舫による激しい泉批判につながったと私は考えている。私は蓮舫も好きではないが泉はもっと本当に大嫌いだから、蓮舫と泉とのバトルでは蓮舫の側に立つことはいうまでもない。これが立民右派支持層は逆で、彼らは安全な地点から泉下ろしの政局を仕掛ける蓮舫は大嫌いだが清水の舞台から飛び降りる決心をした蓮舫は熱烈に支持する、でも都知事選に負けたら衆院選で東京26区から出てくるであろう蓮舫は大嫌いだ、などと言っている。私は前述の通り「小池百合子の背中を眩しく見ていた」蓮舫は嫌いだけれども泉を批判する蓮舫はその点に限っては支持する。そして清水の舞台から飛び降りる決心をした蓮舫をそれなりに評価する点だけは立民右派支持層と同じだ。文字通りの「呉越同舟」になる。

 

 

 本当にその通りだと思う。

 小池百合子に対しては軍師氏が下記の論評をしている。

 

 

 

 小池百合子の出馬表明先送りが「怯んだ」ためか、それともまだ攻めの姿勢を失わずに冷静に「タイミングをずら」しているだけかでも、情勢は大きく変わる。

 先の衆院東京15区で、乙武洋匡の推薦に公明や民民が直ちに乗ってこなかった時の小池の対応は悪かった。小池が気を取り直して反転攻勢に出たのは、告示3日後の4月19日に日経とTBSが「酒井菜摘大量リード」の情勢調査を出してからだった。私は自宅の固定電話で小池の乙武応援メッセージを受信したが、あの小池が本気を出してきたことに背筋が凍る思いがした。やや大袈裟に書くと、電話を受けてあんな恐怖を感じたことはなかった。同様の経験をした他の江東区民の方のヤフコメを弊ブログで紹介したこともある。同様の電話メッセージを受けた江東区民は少なくないに決まっているから、あれがどのくらい乙武の得票に影響するか気が気でならなかった。選挙の最終盤では維新の金沢結衣の失速は明らかだったから、私がもっとも警戒したのは乙武だったが、いざ蓋を開けてみたら乙武は酒井菜摘どころか須藤元気にも金沢結衣にも、それどころか飯山陽にまで負けて5位に沈んだ。つまり江東区民は焦った小池百合子からの応援メッセージにはほとんど心を動かされなかったということだ。

 これは、発信する側が攻めではなく守りの姿勢に立っていると、受信する側がそれを敏感に感じ取って発信者が共感できないことを意味するのだろうと考えている。

 今の小池の気持ちが攻勢なのか守勢なのかはわからない。テレビのワイドショーなどは惰性で動くから今のところほぼ全面的に小池側に立っているようで、その点では選挙戦に入って黒川敦彦一派のやらかしなどが起きる前には注目度が高いとはいえなかった補選とは全く異なるかもしれないが、補選の時にもYahooに流れるニュースなどでは当初「八王子市長選に勝って勢いに乗る小池都知事乙武洋匡氏を立ててきた」などと、小池側が勝つかのような前提に立ったニュースばかり流していた。まさか乙武が5位に沈もうなどとは、メディアの最初の情勢調査の数字にしか表れなかった*2

 このように、全数調査結果である投票結果を見なければ民意がわからないこともある。衆院選で私が投票した選挙区の候補が当選したのは15年ぶりだったが、それよりも小池百合子が推した候補が5位に沈んだことの方がよほど嬉しかった。あの補選は小池の息がかかった候補を相手にしていたから燃えに燃えたのだった。しかも昨年12月にはその小池の息のかかった候補に苦杯をなめていた。

 今日最後に挙げるのは尾中香尚里氏の下記記事。

 

www.mag2.com

 

 この記事で注目したのは下記のくだり。

 

「非自民」どころか「自民と共犯関係」に

 

自らが「排除」した議員らが結党した立憲民主党希望の党を上回って野党第1党となり、自民党と対峙する勢力として成長するなかで、小池氏はもはや、国政復帰にあたり「非自民」のスタンスを取ることは不可能になった。当然である。自らの政治生命を一瞬で奪おうとした小池氏を、立憲が許すはずもないからだ。いきおい小池氏は、国政復帰には自民党の力を借りざるを得ない。

 

一方の自民党も、裏金事件で国民の支持を大きく失うなかで、東京の選挙での不戦敗を避けるため、知名度のある小池氏と連携して「勝ち」を印象づけたい。

 

小池氏と自民党の間にそんな「共犯関係」が生まれるのは必定だった。それを白日のもとにさらしたのが、今年4月の衆院東京15区補選だ。もっとも、自民党の支持を得るかどうかで陣営は混乱。補選では立憲の新人候補が圧勝し、小池氏が推した候補は5位に沈んだ。

 

小池氏は「自民党の力をうまく利用する」気でいたのだろうが、逆に自身が「自民党と同じ」とみなされる立場になった。自民党を「悪役」とすることで力を得てきたのに、国政で自民党と鋭く対峙する「立憲の顔」が自らの対抗馬となったことで、小池氏は実際に自民党の支援を受けるか否かにかかわらず「自民党側の候補」と位置づけられることになる。実際、蓮舫氏は27日の出馬会見で「政治とカネの自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする」「変節して自民党返りをしている小池さんでは改革はできない」と述べ、小池氏の「自民党色」を強く印象づけた。

 

URL: https://www.mag2.com/p/news/600010/2

 

 尾中氏が書く「小池と自民党の『共犯関係』」が最初に生まれたのは昨年12月の江東区長選だった。

 区民なのでよく覚えているが、木村弥生前区長の辞職が決まって再選挙をやると決まった時に最初に嬉しそうなコメントをしたのは維新の無能な代表・馬場伸幸だった。しかし実際には維新の候補はなかなか決まらず、野党で最初に手を挙げたのが立民の酒井菜摘だった。私は自民党からは当然山崎一輝が出てくるとばかり思っていたが、地元のBBSを見ると自民党の情報に詳しい人が「一輝出ないよ!」などと書いていた。私は半信半疑だったが、そのうちに小池百合子都ファ)が大久保朋果を送り込んできて、その方の情報が正しかったと知った。

 思い返せば、その頃から自民党の江東総支部と都連会長・萩生田光一との間に綱引きがあり、萩生田が小池と手を組んで大久保を都庁から送り込んできたものだろう。

 これで一気に維新の腰が砕けた。結局維新は公募で候補を立てたものの供託金没収の大大大惨敗を喫し、そのダメージが衆院補選の結果にも影響した。維新も自民も候補が決まらないため一時は期待を持たせた酒井も、大久保の出馬が封じられた時点で負けが確定的になった。

 しかし、今にして思えば酒井の出馬こそ小池を「自民党との『共犯関係』」に追い込んだ最初のきっかけだったといえる。その酒井に出馬を決意させたのは、昨年4月の最初の区長選で立民区議としては唯一(といっても当時の3人中の1人に過ぎないが)木村弥生を応援したという高野勇斗区議ではなかったか、というのが私が最近持つに至った仮説だ。高野氏は当時自身が区議選に出馬していた(2021年の都議選に出馬して落選)。まさか高野氏なり酒井氏なりが最初から小池を引っ張り出すつもりだったとまではとても思えないが、結果として小池を泥沼にはめたのだから、区長選への酒井の出馬の意義はどんなに強調しても強調しすぎることはないとさえ私には思われる。

 このカンフル剤は最初は効きに効いた。なにしろ江東区を東京進出の拠点にしようとたくらんでいた維新の野望を吹っ飛ばしたのだから。しかしこれには大きな副作用があった。しかも二度目の八王子市長選(萩生田の地元)では効き目が早くも薄れて自公小池三者連合が勝ったものの接戦となり、3選目の目黒区長選以降は衆院戦東京15区補選で酒井にリベンジされたのを含めて3連敗した。

 前記尾中氏の記事には下記のブコメもついた。

 

小池百合子氏の大誤算。蓮舫議員の都知事選「電撃出馬」が炙り出した“自民党返りの変節”と“政治生命の危機” - まぐまぐニュース!

去年12月の江東区長選なんか小池百合子が連れて来た都庁職員を自公と組んで当選させる位神通力があった。今や応援した候補者が尽く負けてる(<a href="https://www.tokyo-np.co.jp/article/329747" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://www.tokyo-np.co.jp/article/329747)。

2024/05/29 14:35

b.hatena.ne.jp

 

 高野区議は最近、自らの発信に注目してほしいとXのポストに書いていたが、確かに氏の発信から目を離せなくなったと思う今日この頃。

*1:私が思い出したのは、2001年の国会で当時民主党代表だった鳩山由紀夫小泉純一郎に「共闘」を申し入れたことだった。鳩山の本性も新自由主義者にほかならないことをはっきり示している。

*2:逆に、最初の日経とTBSの情勢調査には乙武の勢いのなさがはっきり表れていた。結局最終結果もその通りになったわけだが、なぜ選挙の中盤から後半にかけて、乙武の勢いが増したかのような情勢調査が現れたのか。今思い返すとその方が不思議だ。