昨日は政治のことを書けなかったので今日は書く。
昨日(10/7)なんと言っても目を向いたのは、元号新選組がウクライナ戦争で即時停戦論に立って事実上プーチンのロシアを支持する伊勢崎賢治を衆院選比例東京ブロック1位候補に内定したことだ。このことによって、東京で比例ブロックに新選組の党名を書くことは、ウクライナ戦争でプーチンを支持することを表明するのと同義になった。この事実を、新選組を投票先の候補として考えている東京都の有権者は投票先の判断材料として十分考慮に入れなければならない。
ネットでは野田佳彦、枝野幸男、安住淳の選挙区に新選組が候補を立てたことに目くじらを立てる人が多いが、選挙区に誰を立てるかは政党の自由なのでどうしようもない。新選組は少し前に櫛渕万里が立つ東京14区に共産党が候補を立ててきたと言って怒っていたが、なんのことはない、今回の伊勢崎擁立によって櫛渕もほぼ比例復活不可能となった。新選組の政党支持率は今年(2024年)の春くらいがピークで、現在は当時の半分程度に落ちている。昨年春には比例ブロックで6議席くらいが望めそうな情勢だった。前回2021年は3議席だったが愛知10区で安井美沙子が得票率10%に満たずに比例復活できなかったために比例東海ブロックで獲得できたはずの議席をみすみす公明党に譲ることになった。現在はピーク時からは支持がほぼ半減したとはいえまだ3年前と同じくらいの党勢は保っているようだから、比例ブロックで前回の潜在獲得議席分も合わせて4議席くらいは獲るのではないかと私は思っている。しかし東京での比例ブロック2議席目はどう考えても無理だから、櫛渕は事実上落選に追い込まれたも同然だ。私はいずれ櫛渕は新選組から立民に移るのではないかと予想している。なぜなら半年前の東京15区補選で櫛渕は酒井菜摘を応援し、須藤元気を応援した山本太郎と異なる動きをしたこともある上、櫛渕が新選組から立つことになっている東京14区は立民(手塚仁雄)と新選組の取引によって立民が候補者を下ろしたからだ。これは今になってみれば、櫛渕はいつでも立民においで、と手塚が櫛渕に誘いをかけたようなものだと思える。
その東京15区は、保守が自民の大空幸星(新自由主義系)と無所属(元維新)の金澤結衣(新自由主義・極右系)に割れたが、今回は野党も現職の立民・酒井と共産党の小堤東に割れる。これに地元出身の無所属・須藤元気の5人の争いになるが、保守も野党も割れたことで、須藤が漁夫の利を得て当選する可能性が出てきたと私はみている。須藤は補選ではかなり自民党支持者から票を得ていたので、自民党が公認候補を立てる本選では須藤は難しいと思っていたが、保守も野党も割れたのでは地元出身の須藤の目が浮上するのではないかと思うのだ。区内では前回衆院選前後の頃にはポスターは柿沢未途のアホ面ばかりが目立ったが、現在は酒井菜摘も大空幸星も金澤結衣も小堤東もポスターはあまり見かけない。一番見ることが多いのは須藤元気のポスターであって、運動量から言っても須藤にアドバンテージがありそうに思われる。これは私が誰に投票するかとは別の話で、何度も書いた通り、私は選挙区は酒井、比例は社民に入れる。しかし情勢は残念ながらいずれも芳しくない。
そのほかに注目したのは一昨日に行われた愛知県の岡崎市議選に関するレバ子氏のいくつかのXだった。以下にリンクする。いずれも開票速報の途中のポスト。
開票率95%を超えている岡崎市議選は大激戦です。既に3,000票を確保した候補者は29名。おそらく彼らは当選確実でしょう。残る定数は後6。重徳和彦系列「チャレンジ岡崎」は大苦戦を強いられています。労組系列もまだ安泰と言えないのが2議席ほど。日本維新の会はおそらく擁立3に対し獲得は0です。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
確定得票で維新は全滅した。ざまあ
チャレンジ岡崎既に5人の候補が落選危機です。その中には現職も含まれます。むしろ重徳和彦が大いに支援した候補は新人ながら既に3000票を固め、上位をうかがっている状態です。お騒がせ市議として全国区になった現職三塩候補もほぼ落選の可能性が大です。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
「チャレンジ岡崎」とは元維新の立民右派・重徳和彦系の会派だが不振だったらしい。
岡崎市議選で議席を維持した日本共産党も前回2人で得票が10000票近くありましたが、今回は今の所7,000票ほどで、3割近い票が溶解しています。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
重徳和彦系列の市議会派「チャレンジ岡崎」の記録的な惨敗は立憲民主党の右に票田はなく、コツコツ左派票と中間派を積み上げる戦術が必要です。
共産党2候補の確定得票数を確認したら、2人合わせて7049票だった*1。共産党は岡崎市議選で3割弱の票を逃し、それらは権威主義(スターリン主義)を強める一方の同党を有権者が見放した分だとみるほかない。また重徳系が「記録的惨敗」を喫したことは、「右にウイングを広げる」方向性をとっても立民にいいことはないことを改めて示している。なおこのことは、「提案型野党」路線を掲げた泉健太の立民が2022年の参院選で比例票を36.5%も減らしたことで既に示されていることだ。
レバ子氏は「コツコツ左派票と中間派を積み上げる戦術が必要です」と書いているが、レバ子氏のXを今でもしばしばリポストするこたつぬこ(木下ちがや)氏は、こういうポストはリポストしない。
デンソー労組出資の鈴木英樹市議もこのままだと千票以上の得票減です。中電労組の新人議員瀬戸候補は地道なドブ板と大きな支持母体を有効に使った選挙選で前任者より得票を伸ばしています
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
ジェイテクト労組の新人白井候補とフタバ産業労組の加藤市議はなんとか当選圏には入れそうですが、2人とも大幅な得票減です。次期選挙に不安は残ると思います。中電、東レ、名鉄以外は全部自動車総連傘下の労働組合です。自動車産業労組の選挙活動も今が間違いなく転換点です。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
上記2件のポストから、労組系も振るわなかったことがわかる。共産、重徳系、労組系のいずれにとっても芳しくない結果だったようだ。
ただ前回保守系でトップ当選だった廣重市議が当落上を争い、保守系も全体的に微減し、他市の有力者が秘書など市議候補として送り込まれる展開に岡崎市の自民党支部の力関係はまた大きく変わりそうです。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
かといって自民党も振るわなかったと。
今回の岡崎市議選で大きく票を伸ばしたのは、若い経歴がいい保守系候補でした。自民党は官界や民間大企業、行政に人脈があり、手垢のついた清和会からそうした若い保守エリートに入れ替えがあるかもしれません。組織として明らかに弱っていますが、それを分厚い人脈でカバーをする組織です。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
小林鷹之のような人材はうってつけなのでしょう。もはや事前運動と変わらない公明党も選挙前からかなり組織的に動いていました。それに対抗するのなら野田佳彦の重厚感とやらも多少は意味があるかもしれないですが、彼自身ポカもある人です。このままいけば必ずボロを出す。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
しかし小林鷹之も総裁選では失速し、安倍晋三が死ぬ少し前に突然持ち上げ始めた高市早苗があわや当選のところまで行った。まだまだ清和系の惰性力も残っている。
野田佳彦がいずれボロを出すだろうというのには同感。
もし野田がある程度政権に橋頭堡を築くつもりなら、やはりガラリと路線転換を図りネオリベラルから脱却した路線でないと、自民党はビクともしないでしょうね。保守票を部分的に切り崩すのは有効。ですがそれはコアになり得ない。と言っても、もう遅いのかもしれません。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
このXにも同感。レバ子氏は連合の人で、立民と民民を軸にすることを目指しているようなのでそれには賛同できないが、個々のXには見るべき主張が少なくない。
たとえばトマ・ピケティに関する下記のいくつかのXにも共感するところ大だった。
日本の場合は上位1%と残り99%の差はアメリカより広くなく最近はむしろ少しだけ縮まっています。この事実から日本は格差が広がっていないという見方ができるという学者もいましたが、上位10%になるとアメリカと同様の格差を確認できます。1%というものはミスリーディング。ここから様々な議論ができます
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
トマ・ピケティの流行した「21世紀の資本」では最後に「もっと市民はお金や経済を学ぶべき。富裕層は自分の利益を守ろうとする。数字から逃げても、何も変わらない」という事を述べています。利益を守るものは必ず都合のいい数字しか使わないです。殊更アメリカ「のみ」比較する統計も意図があります。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
2,010年代のピケティブームは、様々な議論が行われ広く市民に経済を語るチャンスでしたが、一過性のものに終わり大変残念です。そもそもピケティは疑問を投げかけ、現在の天井なきグローバル経済が正しいかどうか一種の議論の場を提供しただけで、その政策課題は政治家に単純に消費された印象です。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
ピケティブームが消費されるだけに終わってしまったとは、弊ブログも何度も書いたことだ。あの時はブームをスルーするのに徹していた安倍晋三と菅義偉はやはり狡猾だなあと敵ながら感心したものだ。
2015年のピケティフィーバーの真っ最中に、ピケティは来日し当時民主党の代表だった岡田克也、執行部の長妻昭、細野豪志と会見しています。岡田、長妻、細野の遍歴を見ればなんともおかしな組み合わせでした。元々3人とも温度差あれど、一定のネオリベラリズムの推進派だったのですから。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
これにもほぼ同感で、細野豪志はもちろん、岡田克也も長妻昭も基本的にはネオリベ側の人だ。こういう点ではレバ子氏は私よりも過激で、氏は枝野幸男をもネオリベ認定している。私は(2007年頃以降の)枝野は立民党内ではもっともマシな部類だと思っている。昔のネオリベ政治家時代の尻尾を残しているなと思うこともないとは言わないが。
といってもその後超党派の「国際連帯税の創設をめざす議員連盟」が結成され、日本でも一種のピケティブームはありました。ピケティは民主主義を守るため、もっと闘えと来日公演で訴えていましたが、ブーム過ぎ去り現在国際連帯税はおろか「税」そのものの不信感だけが強くなりました。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年10月6日
上記Xには事実認定に誤りがある。私がネットで調べたところ、「国際連帯税の創設をめざす議員連盟」は2008年の設立で、ピケティが『21世紀の資本』を出す5年前のことだ。以下Wikipediaより。
国際連帯税創設を求める議員連盟(こくさいれんたいぜいそうせつをもとめるぎいんれんめい、英: Parliamentary Group on International Solidarity Levy)は、2008年2月28日、国際連帯税推進を目的に自民党衆議院議員の津島雄二を中心に設立された日本の超党派の議員連盟。略称はPGISL。通称「国際連帯税議連」。
議連のメンバーにはなんと小池百合子がいる。
とはいえ
ブーム過ぎ去り現在国際連帯税はおろか「税」そのものの不信感だけ強くなりました。
との指摘はその通り。
私のみるところその主犯の一人は山本太郎だ。その山本が新選組比例東京ブロックの1位にウクライナ戦争で事実上ロシアを応援する伊勢崎賢治を立ててきた。今月の衆院選ではそんな元号新選組に厳しい審判を下す必要がある。