共産党が野党共闘を破棄するらしいが、理由はこんなとこなんだろうな。
何らかの理由があって共産党含めどこの政党も言わないけど、小選挙区比例代表並立制の下では、小選挙区で勝てない政党は比例区で1人でも多くの当選を得るため、小選挙区にはできるだけ多人数の候補者を立てる必要があるんですよね。とにかく小選挙区候補者を立てないと比例で当選できない選挙制度。
— 國本依伸 (@yorinobu2) 2024年9月30日
小選挙区候補がいなければその選挙区で党外政党の政策を宣伝することは基本的になくなるのだから、その選挙区において比例票は望めなくなる。だから選挙区で勝てない候補を立てることは、政党にとって必要経費なかんずく固定費みたいなもの。
— 國本依伸 (@yorinobu2) 2024年9月30日
だから共産党が立憲民主党に選挙区を譲ったのって、小選挙区そのものを譲ったというより比例票を一部諦めたのが本質。文字通り「身を切る改革」。「見返りは民主主義」ってのは自党の議席減らしてでも立憲の議席を増やさないと日本の民主主義を守れないという、当時の情勢に則した冷徹な戦略。
— 國本依伸 (@yorinobu2) 2024年9月30日
共産党は中選挙区時代も全選挙区立候補してたけど、中選挙区制が続いていたら、費用対効果を考えてとっくにやめているのではなかろうか。真面目に頑張る少数政党は議席取れなくなる小選挙区制を導入したのが、日本憲政史上最大の間違いだったと思う。
— 國本依伸 (@yorinobu2) 2024年9月30日
この最後の「少数政党は議席取れなくなる小選挙区制を導入したのが、日本憲政史上最大の間違いだった」というのが問題の本質だ。
ただ、その問題を解決するためには、別の問題が山ほどある中選挙区制への回帰などではなく、合理的で世界的にも多く採用されている比例代表をベースとしつつ、その比例代表制にも問題があるからそれに修正を加えた制度、たとえば小選挙区比例代表併用制とか、かつて「みんなの党」が提唱していた「一人一票」の比例代表制(但しこれには定数の大幅削減という大きな難点があるが)などの制度への移行が議論されるべきだと弊ブログはずっと書いてきた。あまりにも議論にならないので最近は諦め気味であまり、というよりほとんど記事にしてこなかったが、私の考えはそれらをさかんに記事にしていた頃と全く変わっていない。
共産党の問題点は、2015年に小沢一郎と組んで始めた「野党共闘」で、強硬な小選挙区制論者である小沢に「忖度」でもしたのか、選挙制度の改変を長期目標にする程度の努力すらせずに事実上棚上げしてしまったことだ。
そしてその必然的帰結として党勢が低下すると、もう持ちこたえられなくなりそうな段階に達して初めて路線を180度転換し、野党共闘の破棄を決めた。このあたりが上位下達、トップダウンの政党の弊害だ。
外部から見ると、つい最近ネオリベ的主張を修正したばかりの蓮舫の都知事選出馬を大々的に応援していた時とは打って変わっての野党共闘破棄だから、唐突感がある。
結局、1990年代前半の「政治改革」の破綻が現在の国会の荒廃を招いたといえるわけで、現在はその総括が求められている時期だ。
この件に関しては、弊ブログにさとうしゅういちさん(広島の新選組系の方)から多くのご指摘のコメントをいただいている。ブログ主(古寺多見=kojitaken)の現状は、ひところの最悪期は脱したものの、まだブログに十分な時間をとることができずにいるため、それらを反映した記事がなかなか書けずにいる。
共産党の今回の転換は、つい先日までの「立民への過剰な忖度」から一転して「スターリン主義(権威主義)的な急激な路線転換」に至ったものだろう。こうなったことについては、最初にリンクした國本依伸氏のXが指摘する小選挙区制の問題があったため仕方ない面もあるが、外部から見れば選挙制度再改変の努力がほとんどされてこなかったようにしか見えないことなど、ここに至る過程は本来執行部が総括を行うべき案件だろう。
でも2021年衆院選の敗北も総括しなかったことだし、野党共闘の総括もどうせしないのだろう。
なお、立民に関しては維新との選挙協力など論外だ。ひところこたつぬこ(木下ちがや)氏がよくリポストしていた連合左派の「レバ子」氏が下記Xに書いた通り。
そして維新との共闘論も不要です。組織がすでに半壊しかけている維新の会において野党一本化は単純に大阪の党組織を温存させるだけ。散々今まで、攻撃を行なっていたのにこんな時分になって協調しようというのは彼らの苦しみの表れです。維新の党組織は打倒。労働者の党が雇用破壊の党になります。
— レバ子@Labor Struggle (@laborkounion) 2024年9月30日
維新との選挙区調整など敵に塩を送って自分の首を絞めるような愚挙だ。でも野田佳彦ならそれをやりかねない。
枝野幸男は代表選中にお忍びで兵庫県に入った時に「維新と一番やり合えるのは私だ」と言ったが、それは公式の発言ではなく、それを代表選の争点にはしないまま代表選に敗れた。おそらくそれを正面に押し出すと代表選に不利になるとの計算でもしたのではないかと思うが、どうせ負けるのであれば大々的に維新との対決姿勢をアピールすべきところだった。しかし「覆水盆に返らず」だからいまさら言っても仕方がない。野田佳彦を選んだのが立民の多数意見であり、前回2021年に泉健太を選んだ時と併せて、現在の立民(新立民)とはそういう政党だということだ。