今回の事件に絡んで、ロッキード事件の話を持ち出す場合、当時の三木首相は捜査にストップをかけなかっただけで、それをもって「国策捜査」とはいえないのではないかという指摘があった（こちらのコメント欄）。明らかになっている事実を鑑みた時、確かにその通りであって、今後は定義を明らかにしない「国策捜査」という表現を用いることを見合わせたい。
今回の事件についても、法務大臣や総理大臣に事前の了解を求めないまま、小沢一郎の秘書を逮捕したはずはないと私は考えているが、その後の検察による異常な捜査や、マスコミへのリークをどう説明するかで、いくつかの仮説が立てられると思う。
1つは、『きまぐれな日々』にいただいたコメントとして紹介した、麻生太郎首相が直接関与し、指揮していたのではないかとの見方。つまり麻生太郎首相による陰謀説である。これについては、各所から批判を受けている（笑）。確かに、この説だとロッキード事件への三木武夫のかかわり方と比較して、麻生太郎がより能動的に捜査にかかわることが可能であると示せなければ、説得力は出てこない。そのための仮説は、これから考えることにしようか（笑）。
早朝のテレビに出演していた与謝野馨によると、法相だろうが首相だろうが検察は止められないと言っていたが、これが正しいとすると、今回の「無様な捜査」は、単なる「東京地検の劣化」が原因だということになってしまう。これなら陰謀論ではないが、それはそれで情けない話だ。
そして、佐藤優による「青年将校の暴走」という見方が、大久保秘書逮捕直後から出されていて、これに対して、そうであるなら「青年将校」は矛先を民主党ではなく自民党政府に向けるはずだとの反論がある（有名ブログなど）。これを説明するために、「国士サマ脳の検事」、つまりネット右翼のような思考回路を持った検事が暴走しているのではないかとの見方がある。そうだとしたらこれまた情けない話だ。でも、弁護士の中からも稲田朋美のような人間が出てくるくらいだから、ましてや検事にそんな人たちが多数いても不思議はないのかもしれない。まあこの説にしたって一種の陰謀論であることには違いはない。いずれにしてもろくでもない話だ。
ところで、ロッキード事件に絡んだ鬼頭史郎判事補の、偽メールならぬ偽電話事件をふと思い出した。こいつも確か右翼だったと思う。
ニセ電話事件 - Wikipedia
