kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

暫定税率と環境税(1) 社民・共産・みんなの党は環境税導入に賛成、経団連が強硬に反対

http://www.asahi.com/politics/update/1221/TKY200912210330.html より。

 首相は暫定税率について、「仕組みはいったん廃止するが、税率は維持する。ガソリン価格は下がっており、国民の思いも地球環境にだいぶ優しくなっている」と述べた。

 暫定税率分の税収を確保する新しい仕組みとして、温暖化対策税(環境税)を2011年度にも導入するまでの「つなぎ税」の導入を検討する意向だ。首相は「温暖化対策税を1年かけて検討し、結論を出したい」と語った。

つまり、暫定税率分は2011年度から環境税に組み替えられる。小沢一郎暫定税率分の維持を鳩山由紀夫首相に進言したということになっているが、あれは演技だ。温室効果ガス25%削減の中期目標を掲げた鳩山由紀夫首相の最初からの意向を反映したものであることは明らかだろう。

この件に関して、各党の主張を見ていこう。

まず、社民党の主張から。
http://www5.sdp.or.jp/central/topics/04sanin/seisaku/y1.html

[2]環境税(炭素税)の導入
 地球温暖化対策を実効あるものとするためには、排出量取引や森林の吸収率算定などの柔軟措置(京都メカニズム)に依存するのではなく、工場の排出規制や自動車の排ガス規制など排出源対策の強化を図るべきです。そのためには環境税(炭素税)の導入が最も有効です。環境税とは、二酸化炭素を排出する行為に課税するものであり、それによって企業や消費者(マイカーの運転者等)に、二酸化炭素を排出する行為を回避させることを目的(経済的誘導効果)としています。社民党は現行石油税と同様、蔵出しの段階での課税を考えていますので、企業や消費者は購入時に環境税を負担することになります。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091216/stt0912162020013-n1.htm

社民党も予算要望 子ども手当の所得制限に反対
2009.12.16 20:15

 社民党は16日、平成22年度予算編成に向けた要望書を取りまとめ、首相官邸平野博文官房長官に提出した。「子ども手当」には所得制限を設けないことや、ガソリン税などの暫定税率の廃止と環境税導入を求めるなど、計16項目にわたる。

 阿部知子政審会長は要望書提出後、記者団に、「今は民主党の中にも所得制限をやろうという意見があるが、(社民党は)所得制限は行わない」と強調。暫定税率廃止と環境税導入については「同時期やらないと、大きな税収の落ち込みができる」と説明した。

つまり、社民党は「子ども手当」に所得制限を設けず、暫定税率廃止と同時の環境税導入を求めていたワケだ。鳩山首相の判断は、環境税導入こそ1年先送りしたけれど、社民党にとって満足できるものではないか。

共産党の立場は、社民党ほどはっきりしていないが、昨年1月の共産党系ブログ記事には下記のようにある。
ポラリス-ある日本共産党支部のブログ 日本共産党も「環境税」を提唱

日本共産党も「環境税」を提唱

 今週(1/20)の日曜版、本日のしんぶん「赤旗」で、「道路特定財源」の問題点と日本共産党の提案を書いているが、どちらの記事でもその最後に「環境税」の導入を提案している。

 日本共産党は、以前いわゆる「環境税」の導入には慎重な態度であった。
確か、企業による環境負荷低減の責務と投資を反故にして国民に責任と負担を転嫁することになるという観点からであったと思う。

 しかし、今日の「赤旗」では、環境税」の導入を提案していると書いている。
他の執筆者はともかく、私は迂闊にも、今日初めてこの「提案」を知った。

 たとえば、本日のしんぶん「赤旗」では、以下のようになっている。
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Q. 「環境税」などエネルギー課税はどうするのですか。

A.CO2を考慮
 先にふれたように日本共産党は、無駄な道路をつくり続ける“自動装置”になっている道路特定財源一般財源化し、上乗せされた暫定税率はやめるという考え方です。そのうえで、エネルギー課税については考える必要があります。

 現行のエネルギー課税のあり方を抜本的に見直し二酸化炭素(CO2)の排出量を考慮した環境税を導入することを提言しています。

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しんぶん「赤旗」Web 版で「環境税」を検索したところ、初出は下記
「総選挙にのぞむ日本共産党の政策」 2003年3月10日付け のようです。

21世紀の持続可能な経済社会のために、環境・エネルギー問題に真剣に取り 組む
 〈5〉危険な「原発だのみ」をやめ、地域の自然エネルギー開発など、
      安全なエネルギー供給をめざす
  (2)風力や小水力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの開発を促進する

 エネルギーの自給率の引き上げや地球温暖化対策をすすめるためには、エネルギー効率の徹底した向上とともに、環境に配慮した自然エネルギー源の開発・活用に本格的にとりくむ必要があります。風力、太陽光・熱、小水力、波力、地熱や、畜産や林業など地域の産業とむすんだバイオマス・エネルギーなどは、地域に固有のエネルギー源です。さらに、電気やガスを「収穫」することで新たな収入が生まれ、雇用や技術、副産物の還元などで地域経済に活力を与える可能性ももっています。その実現のためにも、電力会社に買い取りを義務づけ、事業者に意欲をわかせる売り渡し価格を設定すべきです。マイクロ水力発電を促進するために、もともとの利水目的にあわせて発電後も使用できる水利用として、水利権の合理的な調整をおこなうようもとめます。電源開発促進税や石油関連諸税などの税制の見直し、二酸化炭素の排出量に応じた環境税の導入によって、財源の充実をはかります。

(『ポラリス−ある日本共産党支部のブログ』 2008年1月20日付エントリ)

12月13日のNHKテレビ『日曜討論』における、共産党小池晃議員の発言を、下記ブログが紹介している。
テレビ番組で日本共産党の小池議員が発言ー税制改正、環境税・ガソリン税、事業仕分け、普天間基地・憲法ー - 未来を信じ、未来に生きる。

 小池氏は次のように述べました。

 小池 考え方をはっきりさせる必要があると思います。

 いまガソリンや車に対する大減税をやるときなのか。これは違うと思います。国民からも疑問の声が上がっていますし、原油が非常に高騰した昨年のような事態のときに緊急に税率を下げることはあり得ると思いますが、「マニフェストにあるから」というだけでやるということでいいのか。見直すべきです。

 まず地球温暖化対策に逆行します。日本のガソリン税は諸外国と比べて高くありません。しかも、財政の状況があるわけです。

 わたしたちは、暫定税率をなくすのであれば、そのときには環境税を切れ目なく同時に導入していくことが必要だと考えています。地球環境の問題からいっても、国際的にもそれが求められると思います。

 社民党阿部知子政審会長も、「暫定税率の廃止と同時に環境税の導入を」と発言。小池氏は「環境税の議論は国民的な議論が必要で、寒冷地の問題、低所得者に対する手当もつくらなければいけない。国会できちんと議論する必要がある」と力説しました。

鳩山首相が決断した暫定税率分の維持と環境税導入の1年先送りには、共産党も反対しないと思われる。

また、みんなの党衆院選マニフェストに、下記のように明記している。
http://www.your-party.jp/file/manifest200908.pdf

ガソリンの暫定税率一般財源化に伴い撤廃した上で、環境税に組み替え。

さて、ではどこが環境税の導入に反対しているか。いうまでもなく経団連である。
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009120901000381.html

日本経団連環境税の導入に反対 財務相と意見交換

 日本経団連は9日、東京都内で、藤井裕久財務相財務省首脳と税制改革などについて意見交換した。経団連副会長の清水正孝東京電力社長が現時点での地球温暖化対策税(環境税)導入に反対したほか、経団連側から消費税率引き上げや財政健全化を求める意見も相次いだ。

 会合は冒頭を除いて非公開。財務相は会合後、記者団に「環境税をどう考えるかニュアンスは(経団連側に)伝えた」と述べた。経団連側の出席者の一人は「来年度の導入はないと感じた」と話した。

 経団連によると、会合で財務相は消費税引き上げについて「国民の信頼が大事。今は議論する環境が整っていない」と指摘した。

 政府税制調査会の進行役を務める峰崎直樹財務副大臣は、年明けから有識者でつくる専門家委員会を開き、税制の抜本改革と納税者番号導入に向けた議論を始めることを説明した。

2009/12/09 12:14共同通信

経団連は、2006年には「『環境税』で地球は守れません!」と題したパンフレットも作成していた。
http://www.kkc.or.jp/pub/pamphlet/kankyo0611.pdf

環境税導入の1年先送りは経団連の顔を立てた形にもなっている。この件に関しては、今回のような落としどころしかなかったのではないかと私には思える。

ところで、暫定税率分の維持だけではなく環境税の創設にも反対してキイキイ言っている人たち(地球温暖化陰謀論者たちを含む)は経団連のお仲間だとしか私には思えないのだが、経団連の狙いはもちろん消費税増税である。これをお忘れなく。