kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

ロイターと産経で天と地ほども違う「税調専門家委員会」の消費税議論の報道

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100413/fnc1004132014017-n1.htm より。

鳩山政権、増税路線に転換?背景に財務省の思惑にじむ
2010.4.13 20:13


 任期中の消費税率引き上げを「封印」した鳩山政権が、増税路線にかじを切り始めた。菅直人副総理・財務相は13日、「(増税は)必ずしも景気にマイナスではない」と発言したほか、政府税制調査会は14日に学識経験者で構成する専門家委員会を開き、消費税見直しに向けた本格議論をスタートする。着々と増税への布石を打つ政府だが、その裏には増税を「悲願」とする財務省の思惑が透けて見える。


読売の報道も、産経とほぼ同様だった。

ところが、同じニュースでもロイター通信の伝え方は全然違う。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-14818320100414

消費税上げの是非で踏み込まず=税調専門家委
2010年 04月 14日 23:29 JST


 [東京 14日 ロイター] 政府税制調査会は14日午後に開いた専門家委員会で、消費税についての議論を開始した。しかし、終了後会見した神野直彦委員長(関西学院大教授)は、消費税引き上げの是非や幅などは政府税制調査会で決めることで、有識者からなる専門家委員会では「踏み込んだ議論をするつもりはない」とし、消費税上げの必要性の議論は「特にしていない」と述べた。

 焦点のひとつである消費税の使途については、社会保障財源と結び付ける議論は出たが狭い意味での目的税化を支持する意見はなかった。

 税調会長の菅直人副総理兼財務・経済財政担当相と税調会長代行の仙谷由人国家戦略担当相がそろって消費税増税に前向きの発言をしているが、同専門家委員会では、消費税の使途や逆進性対策など構造問題を中心に議論した。

 使途に関しては、消費税を社会保障財源に充当するということを明確にすべきとの主張が出たが、その場合でも狭い意味の社会保障目的税化を支持する声はなかったという。また、社会保障財源として所得税が好ましいとの意見もあったという。また逆進性対策では、所得税なども含めた税体系全体で検討すべきとの考えや、複数税率、給付付き税額控除などの考え方が挙がったが、いずれも、複雑な納税環境整備が問題点として指摘された。

 消費税引き上げの経済への影響については、経済的に悪影響を及ぼすとの意見があったという。したがって、増税財政再建と結び付けて議論するのではなく、社会保障の充実と結び付けて議論する必要があるとの意見が出たが、この場合、社会保障の財源としては所得税の方が好ましいとの意見もあったという。


神野直彦教授の著書を読んだ人間であれば、私ならずとも、神野教授が委員長を務める専門家委員会ではこういう論調が支配的になるのは当然だと思うことだろう。それは、マスコミや財界が期待する議論とはかけ離れているのだが、これが野党時代の民主党社民党に多大な影響を与えた学者の思想なのだ。

神野教授を専門家委員会の委員長に招いたのは、菅直人財務相のたっての要望によるものだが、その菅氏がマスコミの論調に易々と流されているほか、社民党福島瑞穂党首も、菅財務相同様経済には弱いとみえ、とにかくこの2人が全然戦力になっていない。今の政府は、亀井静香の奮闘でなんとかもっている状況だ。もちろん鳩山由紀夫首相に思想など何もないし、小沢一郎は何を考えているかわからない。

野党では、「た」党(by mewさん、タトゥーみたいだよね)が極端な消費税増税派であるために、それと差別化でもしようとしているのか、あれほど谷垣禎一総裁が熱心に消費税増税を求めていた自民党は、参院選マニフェストでは「消費税増税」を封印する構えらしい。そんな状況で政府・民主党が消費税増税を叫ぶのは、参院選にマイナスであるばかりではなく、日本経済に多大なダメージを与える「売国的」(笑)政策だと思うのだが、「経済音痴」の菅財務相弁理士の資格を持つこの人には経産相の方が適任だったと思う)や無思想の鳩山首相にはそれが理解できないのかもしれない。

困ったものである。