kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

菅直人はブレーキとアクセルを同時に踏んでいる

枝野は金持ち増税論者。小沢の方が新自由主義?+小沢との面会+菅夫人が本出版 : 日本がアブナイ! より。
最近、このブログを頻繁に引用するのは、小沢一郎マンセーのブログ全盛の中にあって、果敢に菅直人を擁護する論陣を張っているからである。

 まず、ある人から枝野幹事長について「高額所得者に増税することを主張しているというのは本当か?新自由主義ではないのか?」ときかれたので、そのことについて。

 本当です!(**)

 枝野幸男氏のことを何故か、新自由主義者扱いするメディアやブログがあるのだけど。
前原グループにいるからかな?・・・一応、菅グループにも属しているし。今週は、選挙の時に、JR労組と覚書を交わしたとかで、サヨク扱いされてるけど。^^;>

 枝野氏は、もちろん、自由主義を前提にしているし。行政改革については、ムダをなくして、政府がスリム化すべきだと主張しているけど。<その辺りでは、みんなの党渡辺喜美氏と考えが合うようだ。>


上記は、先月、鳩山前首相が退陣を表明したあと、民主党代表選が行われた際に、私が『きまぐれな日々』で繰り返して書いたことと同趣旨である。当時私は、「いまだに菅直人枝野幸男に幻想を持っている」などとして批判された。

とはいえ、「政府のスリム化」について渡辺喜美ごときと気が合うようでは、枝野幸男社民主義志向とも新自由主義志向ともつかない日和見主義者といわざるを得ない。政府支出を縮小してしまったのでは、「強い財政」、すなわち強力な再分配を行うことなどできない。

「ムダの削減」は当然必要だが、ムダを削減して政府支出を縮小するのは間違っている。削減したムダ、つまり、理不尽に高級官僚らを潤わせていたお金を支出するのをやめるのではなく、再分配に振り向けなければならないのである。

渡辺喜美と気が合うようでは、「社民党と同じ」かもしれないが、「社民主義的」とはいえない。社民党福島瑞穂も、「ムダの削減」以上のことはあまり言わないから、その点では枝野幸男と大差ない。

 むしろ、ある意味では、小沢一郎氏の方が、新自由主義者だ(orだった?)と言っていいかも知れない。
 
 平野貞夫氏など小沢氏の側近や支持者たちは、小沢氏が自由党を作った時の理念を実現して欲しいと考えていて。近時は、小沢氏に、民主党で実権を握るかor新党を結成をして、自由党が作った「日本一新11法案」を実現することを願っているようなのだが。

 これは、規制緩和、民営化を促進し、法人税所得税の減税をする経済政策を構想したもので、小泉路線ほど過度ではないものの、新自由主義の考え方に基づくものだと言っていい。(@@)


これも、当ブログや『きまぐれな日々』でずっと主張し続けていることである。最近、平野貞夫メーリングリストを始めたとかいう話だが、1993年に小沢一郎が上梓した『日本改造計画』を引用していた。この本で小沢一郎は、「ナイアガラの滝には柵がない」という話(カマヤンによると嘘っぱちらしい*1)を例に引いて、自己責任論を力説しているし、憲法改正論も同書に明記されている。要するに、小沢一郎本人はどうだか知らないが、取り巻きの平野貞夫らの考え方は、今でも旧自由党時代から引き継ぐ新自由主義のままであり、何も変化していないのである。


しかし、ここからが『日本がアブナイ!』のブログ主・mewさんと考えが異なるところなのだが、菅直人も全然ほめられたものではない。とくにいただけなかったのは、同ブログが紹介している下記のくだりである。

首相が中曽根康弘元首相の政権運営を参考に「本気でやり遂げたいのは、財政再建の糸口をつかむことだ」と決意していると明らかにした。


これは、菅首相夫人・菅伸子氏の著書に書かれていることらしいが、菅首相中曽根康弘政権運営を参考にしていると聞いたら、小野善康神野直彦金子勝各氏ら、菅首相に影響を与えてきたとされる学者たちはがっくりと肩を落とすだろう。

中曽根康弘は日本における新自由主義の開祖。しかも、中曽根の税制改革こそ、財政のビルトインスタビライザー機能を破壊し、日本の財政危機を引き起こした元凶なのである。

読者の皆さまには、「ビルトインスタビライザー 中曽根」を検索語にしたGoogle検索をおすすめするが、要するに税制における累進性が、不況期には国民生活へのダメージを和らげ、好況期には景気の過熱を冷やす効果があるという話である。つまり、経済を安定させる。裏を返すと、好況だろうが不況だろうが「安定した税収」のある消費税は、バブルを過熱させ、不況を長引かせるだけの、弊害の多い税制といえる。前記のビルトインスタビライザー機能の破壊を始めたのが中曽根康弘であり、その後小渕政権の時代までかけて完全に破壊した。そこに小泉・竹中が現れて、日本をどん底まで突き落としたのである。小泉・竹中は単にダメを押しただけともいえる。

ここらへんは、菅直人がブレーンにしている学者たちの間では共通認識になっていると思うのだが、ブレーンたちの意見と真っ向から食い違うはずの「中曽根元総理政権運営」を参考にするという菅直人は、いったい何を考えているのだろうか?

これでは菅直人経済右派からも経済左派からも批判されるのは当然だ。経済左派から見れば、菅直人の政策の一部は、まぎれもない新自由主義政策である。菅直人は、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなものであり、無定見もいいところだ。同じことは枝野幸男にもいえる。

本来、社民主義寄りの立場をとってしかるべき政治家たちが、いまだに「新自由主義」に強くとらわれているのが、菅政権の迷走(鳩山政権もそうだったけれど)の原因だと私は思う。

今、日本を変えたいと思う政治家が政策を立てる前になさねばならないことは、中曽根康弘を徹底的に批判することだ。小泉・竹中に対する批判は菅直人枝野幸男でも行っているが、彼らが中曽根を批判したとはついぞ耳にしたことがない。

中曽根康弘の権威を根絶やしにするまで徹底的に中曽根を批判し尽くさない限り、新自由主義を克服することなどできないと、声を大にして言いたい。

中曽根康弘財政再建を参考にする」と公言する総理大臣など、日本には必要ない。