kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「小渕優子政権」を渇望する?植草一秀(笑)

植草一秀の劣化が止まらない。

富国有徳小渕恵三氏対巧言令色野田佳彦氏: 植草一秀の『知られざる真実』 より。

自民党小渕優子議員が衆議院本会議で代表質問に立ち、野田佳彦氏と小渕恵三氏との間には、天と地の違いがあると述べた。

 小渕恵三元首相は小渕優子議員の実父にあたるから、身内のことをへりくだる風習のある日本では、小渕議員の発言が顰蹙を買う可能性はあるだろう。

 しかし、その点を離れて考えれば、小渕議員の指摘は正鵠を射ていると思われる。

小渕元首相は小渕政権が目指す方向について、「富国有徳」との言葉を掲げた。

 いまの日本に欠けている最大のものは、徳のあるリーダーであると思う。

 本当に徳のある人物が、政治の最前線から排除されていること。これが、現代日本の最大の不幸である。


植草が以前から小渕恵三を礼賛していたことは知っていたが、それにしてもものすごい持ち上げぶりだ。

小渕元首相の姿勢には、徳が感じられた。

とまで書いている。

だが、1998年から2000年までの総理大臣在任期間に小渕がやったことは何だったか。

君が代・日の丸」だとか通信傍受法(盗聴法)などもあるが、植草が得意としているらしい「新自由主義批判」と関係する経済・労働問題でも、1999年の派遣法改正(実質的には改悪)がある。これと小泉政権時代の2004年の同法改悪はセットであり、この二度の改悪によって日本は「派遣労働の国」になってしまった。

ちなみに民主党菅直人代表時代の99年には同法改正に賛成し、岡田克也代表時代の2004年には反対した。小沢一郎は、99年改正当時には自自公連立与党の政治家だった。当時菅直人小沢一郎が犯した誤りは明白で、最近、植草が「悪徳ペンタゴン」の一員と呼んでいる枝野幸男は「99年の派遣法改正に民主党が賛成したことは誤りだった」と語っている。その枝野が「悪徳ペンタゴン」の一員なら、枝野でさえ「誤りだった」という99年の派遣法改正当時の総理大臣・小渕恵三を礼賛する植草とは一体何者なのか。

最近の植草は、野田佳彦(「野ダメ」)を「ポチ3号」と呼んでいる*1。「ポチ」とはもちろん「米国の犬」という意味であり、「野ダメ」がその通りの人間、いや犬であることについては私にも異論はないが、なぜ「3号」かというと、小泉純一郎「1号」であり、菅直人が「2号」なのだという。

だが、日本政府の「対米隷従」は何も小泉純一郎政権時代に始まった話ではない。敗戦以来ずっとそうだったといえるし、曲がりなりにも日本独自の路線を追求した内閣も、「三角大福」の時代、つまり1980年までで終わりだろう。大平正芳の急死を受けた「つなぎ」の内閣に過ぎなかった鈴木善幸内閣のあと、1982年に中曽根康弘が総理大臣に就任したが、この中曽根こそ「ポチ1号」だった。

植草の命名には、小泉と菅の間の4人の総理大臣をすっ飛ばしているという問題もあり、特に安倍晋三内閣官房副長官だったかの頃に「アメリカを疑うのは失礼だ」と発言したほどの、歴代総理大臣の中でも最悪の「ポチ度」を示した人間だが、この安倍を植草はスルーしている。というのは植草の著書を読めば明らかだが、植草は安倍晋三のシンパなのである。植草は政権交代前には平沼赳夫城内実を持ち上げていたことがあり*2、基本的に「右翼」といえる人間だ。

植草の「右翼好き」はともかく、最大の問題は小渕恵三もまた「アメリカのポチ」だったことだ。小渕政権当時、栗本慎一郎が「小渕は保守本流でありながらアメリカの要求を丸呑みした」と指摘したことがあった。アメリカの要求とはすなわち新自由主義的な政策のことである。先に挙げた1999年の派遣法改正がその一環であったことはいうまでもない。「ネオリベ嫌い」の右派の間で、ときに小渕恵三が高く評価されることがあるが、彼らがその根拠とする小渕政権時代の積極財政でさえ、「内需拡大政策をとれ」とのアメリカの指示があったためだとする説もある。

結局植草の主張などご都合主義に過ぎないということだが、異様なまでに小渕恵三を礼賛する植草のブログを読んでいると、そんなに小渕が好きなんだったら「小渕優子政権樹立」を目指す方向に転換すれば良いのにと思う。だって、小沢一郎にはもう先はないし、「隠れ原発再稼働支持」、「隠れTPP推進」、「隠れ『野ダメ』支持」、「隠れ橋下徹支持」などの昨今の小沢のていたらくでは、いつまでも小沢一郎にこだわっていたのでは有料メルマガの発行部数も落ち込む一方であることは間違いないと思うからだ。

[追記]

小渕政権の「対米隷従」の象徴ともいえる「周辺事態法」(日米ガイドライン法案)についても触れる予定だったが、うっかり書き落としていたので追記しておく。

*1:http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-f028.htmlなど。

*2:現在も植草のブログには城内実のブログへのリンクが残っている。