NHKは日本偏向協会として出直しを図るべし: 植草一秀の『知られざる真実』 より。
吹いた。確かに、昔から大相撲には八百長疑惑はつきものだけれど、「マスゴミの偏向報道」批判の文脈で出し抜けにこんな陰謀論が出てくると笑える。前から思うのだが、植草センセにはコメディアンのセンスがある。
ところで、民主党代表選を暑かった、じゃなかった扱ったNHKスペシャルなんて私は見なかったけれど、こんな発言があったんだって。
藤井氏は参議院選挙で敗北した総理が4人いることを紹介した。宇野首相、橋本首相、安倍首相、そして今回の菅首相である。過去の3人の首相は、全員、参院選敗北の責任を取って首相を辞任した。辞任していないのは菅首相だけである。
えーっ、4人どころじゃないでしょう。
- 1971年(佐藤栄作)与党敗北
- 1974年(田中角栄)与党敗北
- 1977年(福田赳夫)与党辛勝(?)*1
- 1980年(大平正芳*2)与党大勝
- 1983年(中曽根康弘)与党勝利
- 1986年(中曽根康弘)与党大勝
- 1989年(宇野宗佑)与党惨敗
- 1992年(宮澤喜一)与党勝利
- 1995年(村山富市)与党惨敗*3
- 1998年(橋本龍太郎)与党惨敗
- 2001年(小泉純一郎)与党大勝
- 2004年(小泉純一郎)与党敗北
- 2007年(安倍晋三)与党惨敗
- 2010年(菅直人)与党惨敗
1974年の田中角栄は、参院が与野党伯仲(当時は「保革伯仲」と呼ばれていた)になった、かなりの敗北だったし、1995年に至っては自社さ政権の自民党も社会党も大敗して新進党が躍進したんだよね。で、1996年の総選挙が「政権交代」を賭けた選挙だったんだけど、自民党が勝ち、新進党はその後、野中広務や加藤紘一の「一本釣り」によって党勢をどんどん縮小させたんじゃなかったっけ。
国政選挙と党首選挙の違いこそあれ、今回の小沢一郎敗北で思い出すのは、1996年の衆院選なんだ。あの衆院選では、自民党対新進党という対立構造自体が気に食わなかった。だってもはや保守二大政党制だったからね。それでも共産党は26議席、社民党は15議席とっていた。
その後、新進党解党、自由党結成、自自連立、自自公連立、自由党分裂と連立離脱(自公保連立)、民由合併と進んで、今度は自民党と民主党の保守二大政党制になった。でもって、郵政総選挙、安倍改憲政権成立、参院選での第一党交代、大連立騒動、西松事件で小沢辞任、政権交代選挙、小鳩ダブル辞任、参院選で民主党惨敗と続いた。
政治は離合集散を繰り返したけど、国民の生活はどんどん悪くなっていった。特に1998年がターニングポイントで、この年に急増した自殺者が未だに減らないし、この年から2006年まで9年連続で民間給与所得が減少した。もちろん、前年の消費税増税の悪影響が大きい。だけど、それだけじゃない。
植草の著書を見ると、小渕政権への評価が異様に高いんだけど、小渕時代にだって自殺者は減らなかったし、小渕政権下の1999年に政治が何をやったか思い出してみようか。なんたって労働者派遣法の改定があるよ。ガイドライン法、国旗国歌法、通信傍受法などもあったけどね。当時の与党・自由党や野党・民主党はどんな態度をとったんだっけ。割と最近、枝野幸男が1999年の派遣法改定に賛成したのは誤りだったと言ってたっけかな。小沢一郎はあの時の選択について何か言ったことがあるんだろうか?
とにかく、1999年の政治はろくなことをやらなかった。小沢一郎はあの時与党にいたんだよ。あの小渕政権を積極的に評価していることだけでも、植草の言説がイカサマであることがよくわかるよ。
書いてるうちに空しくなってきたし、本当に頭痛がひどくなってきたのでこれくらいにするけど、これでも左派が小沢一郎を支持するって言うんだから信じられない。